新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

「まる・さんかく・しかく」は禅の真髄か? (前編)

2016-11-06 11:47:02 | 美術館・博物館・アート

10月1日、東京国立博物館(トーハク)に出かけた際、本館平成館に挟まれた場所にある喫煙所近くのゴミ箱の写真と共に、

まる・さんかく・しかく…穴の形は一つじゃない

tweetしました。
MISIA「LOVE BEBOP」

まる・さんかく・しかく…愛の形は一つじゃない

にひっかけた戯れだったのですが、きのう、トーハク特別展「禅 心をかたちに」を観たとき、実はこのゴミ箱「禅」展の開催に備えたトーハク戯れかも知れないと思い至りました。

というのも、特別展「禅 心をかたちに」の会場に入ると、初っぱなから、巨大白隠慧鶴「達磨像」(20101月に九州国立博物館(九博)「京都 妙心寺」展を観た際(記事はこちら)には、この作品は展示されていなかった…)に圧倒されたのですが、ふと気がつくと、入口の頭上では、●▲■に切り抜かれたパネルが天井の役目を果たしていて、さらに、その上から照明が当てられて、床に●と▲くっきり

ここに至って気づいたのは、●▲■にとって大きな意味を持っていること

(円相)だけを書いた禅僧のを何度も拝見したことがありましたし(Ketith Jarrett「Changeless」ジャケ写を含む)、出光美術館所蔵の、江戸時代中後期の禅僧・仙厓義梵の書は、そのまんま、

○△□です

出光美術館の説明によれば、

」「△」「という図形のみを描いたシンプルな図。左端には「扶桑最初禅窟(日本最古の禅寺)」聖福寺の仙厓が描いたとする落款を記すのみで、画中に作品解釈の手がかりとなる賛文がなく、仙厓禅画の中では最も難解な作品とされるが象徴する満月のように円満な悟道の境地に至る修行の階梯を図示したとも、この世の存在すべてを三つの図形に代表させ、「大宇宙」を小画面に凝縮させたともいわれ、その解釈には諸説ある

なんだか身も蓋もないのですが、なんでも、「悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされる」(Wikipedia)、だそうで、こちらのサイトによれば、「三角は仏と一体になることを表しています。(中略) 三角は、坐禅をする時の坐相(坐禅中の姿勢)を表しています。とらわれのない心で、仏と自己が一体になっている姿なのです」、そしては、「枠に囲まれ、とらわれた心を表しています。その枠の中から一歩踏み出すことによって、とらわれのない自由の境地に達することが出来るといいます。禅には決まった入り口はありません。枠から踏み出した一歩がその入り口なのです」だとか。

そして、「禅」展の前半・第1会場では、後半・第2会場ではが、それぞれ壁にモチーフとして使われていました。
ちなみに、上に挙げた仙厓義梵「○△□」は出展されておりません。折悪しくというかなんというか、所蔵する出光美術館「大仙厓展 -禅の心、ここに集う」が開催中で、そちらで披露されてます。

また、後半・第2会場、「第3章 戦国武将と近世の高僧」の冒頭には、瑞巌寺所蔵の伊達政宗甲冑像写真パネルが展示されていました。これまた折悪しく三井記念美術館で開催中の「松島 伊達政宗と瑞巌寺」展にお出ましの由。
そういえば、6年前に松島に行ったとき、たまたま瑞巌寺宝物館では特別展「白隠禅師禅画墨蹟展 貳」が開催中で、白隠慧鶴の作品をたっぷりと拝見したんでしたっけ…

   

さて、特別展「禅 心をかたちに」凄まじいボリュームでした
会期(10月18日~11月27日)が大まかには2期(10/18~11/6と11/8~11/27)、細かくは6期に分かれて展示替えが行われることもあるでしょうが、出品目録A4サイズで8ページもあります。そして、図録も分厚くて、お値段は3,000円 展示品もさることながら、説明パネルが良くできていて図録を買おうかどうか迷ったのですが、断念しました。
正直、疲れました。よほどにハマっていてかつ体力気力が充実していないと、前期・後期とも観に行く気にはなれないかもしれません…。

   

で、「禅」展での一番の眼福は国宝・油滴天目大阪市立東洋陶磁美術館蔵)
茶道陶磁器疎い私でもほれぼれとする美しさ
「水面に浮かぶ油の滴に見える金・銀・紺に輝く斑点から油滴と呼ばれています。油滴は釉薬に含まれる鉄分が雄(釉?)の表面で結晶したもの」だそうですが、観る角度によって様々な色に輝く油滴の美しさといったら、「奇跡の一品としか言いようがありません。

   

次は、一番「あれっ?」と思った作品。

浜松・方広寺から脇侍と共にお出ましの「宝冠釈迦如来」です。
南北朝時代観応3年(1352年)院吉・院院派3人(親子)の仏師が造ったものだそうで、宝冠をかぶったお釈迦さまというのは珍しい

そして、ヘアスタイルご注目

お釈迦さまを始めとする「如来」のヘアスタイルは、菩薩のようにきらびやかな大日如来を除き、パンチパーマのような螺髪(らほつ)」が定番なのですが、このお釈迦さま髪を結い上げています。

もっとも、螺髪宝冠似合わないのですけど、それを言えば、如来らしい簡素な衣宝冠似合わない

どうしてこんな造形なんでしょ

でも、脇侍文殊・普賢菩薩ともども、写真(ポストカード)で見る以上にステキな仏さんだちでした。ホント

   

次は、一番Lovely な作品。
みんな大好き伊藤若冲「旧海宝寺障壁画のうち群鶏図」(京都国立博物館蔵)。
ニワトリの絵といえば若冲若冲といえばニワトリの絵、、、とまでは言い切れないかもしれませんが、少なくともニワトリ大好きだったに違いない若冲による水墨群鶏図です。
脚を踏ん張り見得を切るようなニワトリとか、長い尾羽をなびかせるダイナミックなニワトリとか、若冲自家薬籠中のニワトリが大暴れなんですが、画面の端っこに、雌鶏につかず離れずのヒヨコcute
ほとんど二筆くらいで、さらっさらっと描いただけっぽいのですが、あれぇ~ って感じの可愛らしさです。
超細密・極彩色で描くかと思えば、酔っ払いが宴席で戯れに筆を走らせたかのようにも描く若冲さすがです

   

次は、一番残念だったこと。
それは、教科書にも載っているトーハク所蔵の「一休和尚像」展示されていないこと(後期でも展示予定なし)。
「禅」展では、若々しく、そして結構イケメン「一休宗純像」(奈良国立博物館蔵)が展示されていて、これもアリなんですが、私にとって一休さんの肖像といえば、髪ぼうぼう&髭ぼうぼうのこちらの肖像なんですが、一度観たきりの作品すし、こちらも拝見したかった…

   

次は一番へぇ~だった、「宋版史記(黄善夫刊本)」国立歴史民俗博物館蔵)。
これは、写真がないので拙い文で説明しますと、史記1ページを、その2倍くらいの大きさの紙の左下or右下に貼りつけ、余白に注釈が書き付けられたものです。

漢の司馬遷が撰した「史記」の宋版本で、集解(宋・裴〓【はいいん】)、索隠(宋・裴〓)、索隠(唐・司馬貞)、正義(唐張守節)の、三種の注釈を合わせた合刻本として現存最古の完存本であり。「史記」研究上世界的に貴重な資料である。第二冊の「集解序」の末尾に、「建安黄善夫刊・于家塾之敬室」の木記があって、今回重要文化財に指定された、同氏所蔵の「前後漢書【かんじよ】」と同版型であることが判明し、南宋慶元年間(一二世紀末)の印行本と考定されている。その印刷も鮮明で、刻字も誠に端正である。文化遺産データベースより)

だそうで、「付記を含めた三種合刻本として世界でほぼ唯一の完本」(説明板より)というだけだと、ほぉ~ ですが、「一番へぇ~」なのは、その来歴です。
妙心寺58世南化玄興から直江兼続に伝えられたのだとか。
直江兼続といえば、上杉景勝家臣で、天下人(てんかびと)からみれば陪臣
NHK大河ドラマ「真田丸」では、ちょいと頼りない景勝公を支える実力派側近兼続なんですが(直江状朗読が良かったぁ~)、大名ではない兼継が、妙心寺のトップから貴重本セットを伝えられたり、国司としての官職「山城守」を持っていたりと、実質大名級の扱いだったのかもしれませんな。

   

一番キモかったのは、、いうまでもありません

「秋の上野は芸術の秋 (その5)」でも書いた「羅睺羅尊者」(萬福寺蔵)です。

厳ついお顔もさることながら、ぐいっと開いたお腹の内側が赤いのが、なんともキモい
これは、頼まれたとしても「お持ち帰り」したくありません

「禅」展を観終わって、平成館1階の休憩スペースで一息ついていたら、羅睺羅尊者の顔ハメ看板で、実際に羅睺羅尊者のお腹からを出して記念撮影している人がいました
撮った写真をどうするんだろ…
魔除けにはなるかもしれない…

   

最後に、一番楽しかった作品。
京都・鹿王院「十大弟子立像」です。
十二神将像は、12躯それぞれが思い思いポーズをとっているのが普通ですが、十大弟子像は、涅槃像土萬福寺羅睺羅尊者は別として普通のお坊さん(普通じゃないけど)が立っている姿が普通です。
ところが、鹿王院「十大弟子立像」は、10人が思い思いの格好をしていて、とりわけ意外っつうか、何してんだ? なのが、Internet Museumから拝借した下の写真でセンターに陣取っている須菩提(しゅぼだい)。

一見、紐を結び直しているようにも見えるのですが、十大弟子編上靴を履いているはずはないし、一体何しているのでしょう

謎を残したまま、特別展「禅 心をかたちに」の見聞録おしまいです。
が、、、、トーハク総合文化展には、「禅」展への協賛というかオマージュというか、そんな展示がいくつかありましたので、後編ではその話を書くことにします。

つづき:2016/11/08 「まる・さんかく・しかく」は禅の真髄か? (後編)

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