だいぶ寒くなってきましたね。赴任地でも、いよいよ3年目の冬、雪にも少しは慣れたつもりですが……。
ということで、今朝の私も真っ黒なジャズで始動しました。それが――
■Midnight Special / Jimmy Smith (Blue Note)
ジャズ・オルガンの巨匠、ジミー・スミスのヒット盤で、共演はスタンリー・タレンタイン(ts)、ケニー・バレル(g)、ドナルド・ベイリー(ds)の特別編成ですが、コンビネーションは完璧です。ちなみに録音は1960年です。
A面1曲目のタイトル曲はミディアム・スローのブルースで、ドヨヨヨ~、という魂のオルガン・グルーヴからタレンタインのふくよかなテナーサックスがブルースを奏でていきます。フススススス~というサブ・トーンとピヒピヒ~というヒステリックな音の両刀使い的なアドリブ展開が最高です。しかしゴリゴリではなく、あくまでもジェントルなソフト感覚が、かえって黒っぽい部分を強調しています。
主役のジミー・スミスは、初期の頃はエキセントリックなビバップのフレーズばかりでしたが、この頃になると、より黒人ソウル感覚を前面に出したアドリブをやるようになり、これもソフト&メローなブラック・フィーリング♪
またケニー・バレルのギターも都会的というか、かなり手癖で弾いていますが、それはセンスの良さの証明でもあります。そしてこのあたりで、周りは完全に黒一色! 寒さこらえて身支度をする私の魂も高揚してきます。
そして2曲目はテンポ・アップしたファンキー曲で、ここでもソフトに黒っぽいタレンタインのテナーが素晴らしく、沸かしたコーヒーが一層、香り高くなるような気がします。もちんジミー・スミスのオルガンもノリノリで、左手とフットペタルで弾き出されるベースのパートもブリブリなグルーヴな生み出しています。重低音を効かせて聴きましょう。
B面はゴリゴリのブルースが2曲と泣きのバラードで構成されていますが、まあ、これはA面だけで満足すべきアルバムかもしれません。それが、もう少し聴いていたいなぁ、という上手いところで終わっているのです。
ということで、B面、つまり3曲目以降は車の中で聴きながら仕事場へ向かう私でした。これがドライブにはピッタリなんですね。そうです、私はCDで聴いているんですが、これがリマスターも良く、ますます愛聴するようになりました。
全体的には、何気なく聞き流してしまいそうな演奏なんですが、全く聴き飽きないというか、聴くほどに凄さが身に染みてくるアルバムなのです。