昨日(2013・2・19)、夕刊が一斉に大阪府教育長人事を報じた。中西正人氏の後任に、和泉高校の民間人校長・中原徹氏(42)の起用を松井一郎知事が決めたというのだ。最悪の人事だ。大阪のほとんどの教育関係者が、もう世も末だと思っただろう。
卒業式で教頭に命じて、教職員の口の動きを監視した。静かに口を閉じている人を、あいつはどうか、こいつはどうかと順に監視する。背筋が寒くなる風景だ。斉唱を命じながら、自分らは心ここにあらずできょろきょろする。卒業を祝う心などどこへやら。こんな人物が教育行政の事務局のトップになる。教育委員たちは非常勤だから、教育長が全体を取り仕切る。
中原氏は府教委の人事異動のルールも無視して、自分の気に入らない教員をほうり出す。教育条例をめぐる暴言の数々。
さらに今年度、教科の教育内容に露骨な介入をした。3年生の現代国語では、定番の教材・森鴎外の『舞姫』をあつかうが、これに対して、そんなものはするな、受験用の問題の練習をやれと命じたのだ。なんという破廉恥。レベルの低さ。教員免許をもたない人物とはいえ、あまりのことだ。教師にとって、『舞姫』はあつかうには大変な作品だ。力量がいる。生徒にとって、漢語ばかりで読み取ること自体が困難だ。だからといってこれを避けたら、一気に低きに流れる。
中原氏は、長い時間をかけて『舞姫』にとりくんでもすぐには学力は付かない、だったら問題演習をやる方が受験学力がつくという考えなのだろう。全国一斉学力テストのためにドリルをくりかえすのと同じだ。正規の授業を変質させるのは教育の崩壊につながる。困難を承知で作品に立ち向かい、読み取り、鑑賞し、解釈し、表現する、これが学びというものだ。これを抜きにして安易に成果を求めようとするのは、力を持たない学力、死んだ学力をめざすことになる。
わたしは戦前戦中の学校のことを調べたりしている。そのひとつに学校教練がある。軍事教練だ。1925年に陸軍現役将校が中学校以上の学校に配属され、教練の制度化がすすんだ。その成果を検証するため陸軍による査閲が行われた。直前に査閲用の練習、予行演習をくりかえす学校が出てくる。陸軍省は、そのような眼前の成果のみを追い求め、一時的に外形を整えようとするがごときは断じて避けるべきであると注意をしている。わたしは教練、軍事教育を否定する。しかしその軍事教育においてさえ、試験対策に走ることを否定している。
国語はにわか仕立ての試験用の勉強がいちばん効かない教科だ。受験生自身がよく知っている。大阪教職員組合の調査研究でこの事実が証明された。機会をあらためてこのブログで紹介したい。
『舞姫』をやらずに受験対策のようなことをやる方が教師にとってずっと楽だ。でもまじめな教師はそんな逃げは打たない。だが、いまの大阪の、維新が教育界を荒らしまわる風潮のもとでは、受験対策に走る教師をすばらしい教師だと持ち上げるようになっている。わたしは、中原氏のような教育観を持つ人物が教育行政の中枢にすわることは、教育の本質を腐らせることになると危惧する。
卒業式で教頭に命じて、教職員の口の動きを監視した。静かに口を閉じている人を、あいつはどうか、こいつはどうかと順に監視する。背筋が寒くなる風景だ。斉唱を命じながら、自分らは心ここにあらずできょろきょろする。卒業を祝う心などどこへやら。こんな人物が教育行政の事務局のトップになる。教育委員たちは非常勤だから、教育長が全体を取り仕切る。
中原氏は府教委の人事異動のルールも無視して、自分の気に入らない教員をほうり出す。教育条例をめぐる暴言の数々。
さらに今年度、教科の教育内容に露骨な介入をした。3年生の現代国語では、定番の教材・森鴎外の『舞姫』をあつかうが、これに対して、そんなものはするな、受験用の問題の練習をやれと命じたのだ。なんという破廉恥。レベルの低さ。教員免許をもたない人物とはいえ、あまりのことだ。教師にとって、『舞姫』はあつかうには大変な作品だ。力量がいる。生徒にとって、漢語ばかりで読み取ること自体が困難だ。だからといってこれを避けたら、一気に低きに流れる。
中原氏は、長い時間をかけて『舞姫』にとりくんでもすぐには学力は付かない、だったら問題演習をやる方が受験学力がつくという考えなのだろう。全国一斉学力テストのためにドリルをくりかえすのと同じだ。正規の授業を変質させるのは教育の崩壊につながる。困難を承知で作品に立ち向かい、読み取り、鑑賞し、解釈し、表現する、これが学びというものだ。これを抜きにして安易に成果を求めようとするのは、力を持たない学力、死んだ学力をめざすことになる。
わたしは戦前戦中の学校のことを調べたりしている。そのひとつに学校教練がある。軍事教練だ。1925年に陸軍現役将校が中学校以上の学校に配属され、教練の制度化がすすんだ。その成果を検証するため陸軍による査閲が行われた。直前に査閲用の練習、予行演習をくりかえす学校が出てくる。陸軍省は、そのような眼前の成果のみを追い求め、一時的に外形を整えようとするがごときは断じて避けるべきであると注意をしている。わたしは教練、軍事教育を否定する。しかしその軍事教育においてさえ、試験対策に走ることを否定している。
国語はにわか仕立ての試験用の勉強がいちばん効かない教科だ。受験生自身がよく知っている。大阪教職員組合の調査研究でこの事実が証明された。機会をあらためてこのブログで紹介したい。
『舞姫』をやらずに受験対策のようなことをやる方が教師にとってずっと楽だ。でもまじめな教師はそんな逃げは打たない。だが、いまの大阪の、維新が教育界を荒らしまわる風潮のもとでは、受験対策に走る教師をすばらしい教師だと持ち上げるようになっている。わたしは、中原氏のような教育観を持つ人物が教育行政の中枢にすわることは、教育の本質を腐らせることになると危惧する。
安易に成果ばかりを求めようとする
しかしホント文化とかそういうのに対する
敬意や理解の無い心が貧相な連中ですね
しかし舞姫懐かしいですね
俺も高校の時習いました
ちゃんと授業を受け持った先生のほうがいいよ。
大阪人も舐められたものです。
そうそう、本題ですが、後期受験高校を和泉にして、ブログをみたら、「平和教育と国防・・・」の講義と「自衛隊信太山駐屯地で隊員と昼食交流会」・・・なんじゃこりゃ?もうびっくりして、娘も「絶対こんなん行けへんし!!」とテンション下げ下げ!3月4日が出願だというのに・・・・校長は中原からどなたに交代するのかわかりませんが、中原が教育長になれば、府下全域の教育にあんな考えを押しつけるのかと思うとぞっとします。
Afternoon Cafeというブログを運営している秋原葉月と申します。
橋下市長や維新の会に対する批判をよくブログで書いているのですが、差し支えなければこのエントリ-を転載させていただけないでしょうか。
突然ぶしつけなお願いをして申し訳ありませんが、許可をいただけると嬉しく思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
早速転載させていただきました。拙稿のURLをおしらせいたします。
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1308.html
お体をお大事になさってくださいませ。今後も貴ブログを楽しみにしています。