━━━━━━━━━━━━━━ 1、江夏正敏の「闘魂一喝!」 「外国人による“医療保険の不正利用”は許されない」 ━━━━━━━━━━━━━━ 最近、週刊誌で「日本の医療費が中国人に食い物にされている」「帰国した中国人にも日本の医療費がタカられている」 「中国人が中国で子どもを産んで、なぜ日本が42万円も払うのか」という見出し踊っていました。実は、この問題は2~3年前から話題にはなっていました。 現在、政府は外国人労働者を受け入れるために出入国管理法を改正しようとしています。 さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで訪日外国人の目標を4000万人に設定しています。 つまり、これから、多くの外国人が日本に来ます。さらに定住して仕事をする人も増えるのです。その際の社会保障は大丈夫なのでしょうか。 私も現場を回って、有権者の皆様とお話をすると、この問題は結構、関心が高いのです。 ということで、今回のメルマガは、外国人による公的医療保険の不正利用の実態を確認し、その対処法を考えてみます。 ●国民健康保険とは。 問題となっている国民健康保険とは、75歳未満の自営業者や非正規の労働者、無職の人らが加入する公的医療保険のことを言います。 現在は、健康保険に加入する会社員や生活保護受給世帯などを除き、国内に住所を持つ人は、90日以上の在留資格を持つ外国人を含め、原則加入義務を負っています。 保険がきく医療であれば、自己負担が1~3割だけで診療を受けられます。その代わり毎月、保険料を納めなければなりません。 ●何が問題なのか。 今回の問題のポイントは、“3カ月”日本に滞在するビザなどを取得できれば、外国人でも日本人と同等に、格安で高度な医療が受けられる点です。 制度を悪用して、一部の外国人が、たいして保険料も税金も払ってないのに、日本の医療にタカって、食い物にしているところが問題なのです。 ●そもそも1年以上の在留資格が必要だった。 そもそも、外国人が日本人と同じように公的医療保険に加入するには、1年以上の在留資格があるか、 または、客観的な資料等により、1年以上日本に滞在すると認められることが条件でした。 ●民主党政権下の住民基本台帳法改正(改悪)が原因。 ところが、民主党政権下で行われた2012年の住民基本台帳法改正(改悪)に伴い、 外国人の国民健康保険加入には1年の在留期間を満たす必要があったのが、90日(3カ月)以上の在留資格を持てば加入できるようになったのです。 この改悪により外国人登録法が廃止され、「内外人平等の原則」の下で、外国人が日本人と同様に国民健康保険を使えるようになったのです。 本当に日本を愛し、日本に永住して税金や保険料を納める外国人が国民健康保険を使う分には、文句はありません。 しかし、日本にタカリに来る外国人は許してはならないでしょう。 ●偽って「留学」「経営」ビザを取得してくる外国人。 医療目的で来日する外国人は本来、医療滞在ビザを取る必要があります。その上、国民健康保険に加入できないため、医療費は全額自己負担となります。 しかし、「留学」「経営」などと目的を偽ってビザを取得し、日本で国民健康保険に加入した後に、高額治療を受け、帰国するケースが出てきました。 その場合、1~3割の自己負担で高額な治療を受けられるのです。 ●3カ月以上在留する外国人は国民健康保険加入が義務。 もう一度復唱しますが、「留学」や「経営」などで日本に3カ月以上在留する外国人は、国民健康保険への加入が義務付けられているのです。 このように国民健康保険加入のハードルが下がったことや、医療の高額化などにより、 支払額に上限がある日本の医療制度の“魅力”が高まっていることが、不正利用や悪用の背景にあります。 ●ブローカーの暗躍。 このように、ゆるくなった制度の隙を突くかたちで、保険資格の取得を手引きするブローカーが出てきました。 こうなってくると、まるで日本の保険証は「医療の割引チケット」のようにとらえられているという医療関係者もいるほどです。 ●ペーパーカンパニー。 例えば、「経営」ビザは、資本金500万円以上で会社を設立し、その代表取締役が申請できるものです。 そこで、ブローカーは、ペーパーカンパニーを設立して、ビザを申請できるように仕組みます。 さらに、会社設立に必要な資本金の500万円は、患者が用意できなくても、あたかも持っているかのように見せる“見せ金”として用意するブローカーも現れました。 ブローカーが一時的に貸し付けて、ビザが発給された段階で回収して、次の患者に回しているとのこと。もちろん、かなりの手数料をもらっているのでしょう。 ●医療ツーリズムが不正を後押し? また、政府は、外国人が日本で治療などをするために訪日する医療ツーリズムを勧めています。 この仕組みは、医療機関における治療行為に加え、人間ドック、健康診断、歯科治療、温泉湯治などを対象として90日以内、 本人が入院する場合は1年までの滞在を認める医療滞在ビザの取得を求めるものです。 原則として診療費は全額自己負担であるのですが、それなりに高額となるため、医療保険の悪用をする人が後を絶たなくなりました。 この企画自体は悪いとは思いませんが、制度に隙があるために悪用されている感があります。 医療目的の訪日外国人を増やすならば、医療滞在ビザの取得を必須にしたり、 目的以外の滞在資格を得られないよう入国時の審査を厳しくするなどの措置を取る必要があります。 ●国民健康保険の魅力を推す中国業者。 このような話もあります。「マンションを買って日本に住もう」という謳い文句で、日本の不動産物件を仲介する中国の不動産業者がいるらしいのですが、 彼らが催す日本移住セミナーなどでは、国民健康保険の魅力を盛んに強調しているようです。 日本の国民健康保険のような手厚い社会保障は、中国ではどんなにお金を出しても手に入れられないとのこと。 ゆとりある富裕層は、民間保険に入っているようですが、経済状況が不透明になった場合、どうなるかわからないから、 安心・安全な日本の医療保険とセットで日本の不動産を取得することを勧めているのです。 ●協会けんぽも標的!? 中小企業の従業員などが入る「協会けんぽ」がありますが、これは外国に居住する妻子や両親なども本人が扶養していれば、すべて加入できるようになっています。 これを悪用し、日本の中小企業に勤める外国人従業員から“芋づる式”に保険証の数を増やすことができてしまいます。 ●海外療養費支給制度。 さらに、「海外療養費支給制度」というものがあります。 海外で怪我をしたり、病気にかかったといった場合、帰国後に申請すれば療養費の一部が返還されるという制度です。 日本人にとっては有難い制度なのですが、この制度を国民健康保険に加入している中国人が悪用し、 中国に一時帰国した際に、入院したかのように装って虚偽の申請を行い、療養費をだまし取ったりするケースが起きています。 このような場合、事務方が言うには、海外の病院に確認を取るのも大変ですし、現地の医師とグルになられると虚偽の証明は容易ではないとのことです。 ●高額医療費制度、出産育児一時金。 そのうえ、公的医療保険に加入すれば、自己負担は原則3割となりますが、 負担に月単位で上限額を設ける「高額医療費制度」を利用すると、高度な医療を受けても月数万円程度に抑えることが可能となります。 例えば、数年前に話題になった夢の新薬と言われたオプシーボは、当時の価格で、一回の投与で百数十万円でした。 保険適用となったため、高額医療費制度により10万以下で投与可能となりました。このオプシーボ目当てに訪日する外国人もいるのです。 また、海外で出産した外国人に国民健康保険から42万円の出産育児一時金が支払われる事態も起きました。 本来、出産育児一時金の42万円は、国内での出産を想定しての金額です。 それが、アジア諸国など、日本よりも安い出産費用の国でも、同額を支給することは納得できません。 ●不正把握に高いハードル。 問題山積みの外国人による国民健康保険の不正利用ですが、在留資格の真偽を医療機関や保険者である自治体では把握しづらいようです。 すでに国民健康保険に加入している家族や知人になりすましても、医療従事者が加入者本人かどうか識別するのは困難な状況とのこと。 制度の抜本的見直しの時期が来ているようです。 ●国民の保険料、税金を守れ。 公的医療保険には多額の公費(税金)が投入されています。このこと自体、「本当にこれでいいのか」という問題があるのですが、今回は横に置いておきます。 私たちの保険料や税金が、不当に外国人に食い物にされている状況は良くありません。早急に対策を取る必要があります。 財政における医療費は40兆円を突破し、日本の財政は危機的な状況にあるのでなおさらです。 ●河添恵子氏のレポートによると。 ノンフィクション作家の河添恵子氏のレポート(Will-2017年8月号)において、ある開業医が次のように述べられています。 「国民皆保険が成り立ってきた前提は、医療費が入院と一回の手術と投薬で百万円単位という見積もりだったから。 ところが超高額の新薬が開発され、治療法も変わり、それが保険でも賄われるようになった。 さらに、外国人でも容易に保険証を持って、同等の治療が受けられるようになるなど想定外だからね。 私見として、国保は日本国籍を持っている人だけの権利に戻すべき。さもなければ早々に国民皆保険制度は崩壊する」。 一つの貴重な意見です。 ●カナダでさえ。 カナダは一時期、移民を推奨していまいた。移民(=永住権取得)をすれば、その日から教育、医療など、カナダ人と同等の待遇、保障が受けられます。 そのカナダでさえ、永住権取得は3~4年かかります。また、両親などを呼ぶ家族移民の制度については、「申請から短くても5年以上、10年近くかかる」とのこと。 カナダほどの移民立国であっても、税金が投下されて成り立っている医療だからこそ、短期間でカナダ人と同等の権利を与えないようにしているのです。 ●解決策として。 さまざまな問題を述べてきました。今後、外国人労働者が増えてきます。さらに、東京オリンピック・パラリンピックも控えています。 外国人と共存しながら、日本は主権国家として筋の通った政策を打ち立てなければなりません。この外国人医療費不正利用問題は、政府も取り組み始めています。 例えば「外国人が国民健康保険に加入する際や、加入後に高額医療費制度を利用するときに、厳正な審査や確認をする」 「海外での治療費を還付する海外療養費制度の不正利用を防ぐため、そのあり方を再検討する」 「出産育児一時金制度の不正利用を防ぐため、そのあり方を再検討する」「保険証に顔写真を添付」「国保窓口(市町村)と医療機関の連携強化」 「被用者保険の扶養家族(外国籍で海外在住)の扱い」「日本国籍・外国籍を問わず不正をなくす」などです。 つい先日も、「政府は外国人労働者の受け入れ拡大に関連し、会社員の健康保険の家族への適用に日本国内居住を要件とする方針を固めた」との報道がありました。 さらに、訪日観光客が突然の病気や怪我で診療を受けた後、“未払い”となるという問題もあるのですが、 それに対して「クレジットカード決済の推奨」「未払いをした外国人は再入国拒否」「旅行保険加入の勧奨。(訪日外国人の旅行者の27%が保険未加入)」などの対策も進めています。 ●いきなり日本人と同等の権利付与は違うのでは。 政府にはしっかりと知恵を出していただきたいのですが、個人的には、「日本を愛し、日本になじみながら中長期的に仕事をして居住し、 そして永住、さらに移民(=帰化)へと向かう中に、日本人と同等の社会保障を認めていくようにすればよい」と思います。 ですから、民主党政権が3カ月の在留で国民健康保険の加入を義務化するというやり方は、拙速であったと思うので、そこを元に戻すことも選択肢の一つです。 そもそも、外国に拠点がある外国人に、日本人と同等の権利を付与しようとする考え方が違うのではないでしょうか。 その場合は、外国人で完結した保険制度を作るか、民間の保険で対応すべきだと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━ 2、編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━ 日露平和条約が急展開で動き始めています。 予断は許しませんが、まずはわが党が主張していた方向へ進んでいるようです。 まずは“中国包囲網”の中にロシアを入れることが、日本の国益、そして世界の平和のためには重要です。 ところが国会では、またまた野党が、大臣の資質ばかりを攻撃しています。 ある識者は「今回の国会は目玉がなく暇なんですよ」と述べていました。 これだけ重要な事案があるのに、暇なわけないではないですか。 重箱の隅を突くだけの“野党”は辞めてほしいです。
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