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ドイツの無茶な政策より無謀な政策をしている日本

2019-02-06 21:53:33 | エネルギー問題

ドイツが目指す「脱原発」「脱石炭」は本当に実現可能か

こんな無茶なエネルギー政策は他にない
 

ありえない目標

ドイツでは、温暖化のせいでまもなく地球が滅びるというシナリオが広まっていて、ほとんどパニックに近い。

温暖化の原因はCO2ということで、「CO2削減」が現代ドイツ教の教義。しかも、メディアと環境団体が煽りたてるので、国民のあいだでは石炭火力をすぐに止めろという声が日増しに高くなっている。

特に褐炭という質の悪い石炭の方は、CO2を多く排出するため、それを燃やしている電力会社は極悪人扱い。皆、「早く止めなければ手遅れになる!」と、かなりヒステリックだ。

昨年末からは、中学生や高校生までが、毎金曜日に学校をさぼって街に繰り出し、「自分たちの未来のために」とデモを始めた。無責任な大人への抗議だそうで、プラカードには「かけがえのない惑星を救え!」「もう我慢できない!」などと書いてある。

〔PHOTO〕gettyimages

そして、巷のアンケートでは、大多数の国民がそういう子供たちの行動を「正しい」と評価。学校も黙認どころか、さぼってもいいという許可を出していたらしい。

ドイツの学校では、長年、原子力や火力を悪として教育してきたのだから、この成り行きは教育がもたらした果実である。デモをしている中学生や高校生も楽しそうだが、教師も誇らしいのではないか。

私ももちろんCO2削減に異存はないが、とはいえ、たかが人間の力で、地球の温度を下げるなどという大それたことが、はたしてできるものなのか?

さて、ドイツでは原発が2022年に止まる予定だ。つまり目下のところ、国家の目標は、「脱原発」+「脱石炭」。こう書くと、日本で羨ましがる人が出るかもしれないので、その必要はないということをこれから書きたい。ドイツだって、両方をやめるなど、実は至難の技なのである。

ところが、ドイツ政府は果敢にも、その至難の技を目指しており、去年は脱石炭の具体策を練るため、「石炭委員会」を招集した。委員会に課せられたのは、石炭火力を止めることで生じるさまざまな障害を想定し、国家経済の被害を最小限に留めるためには、いつ、何をどうすれば良いかという計画の策定。

審議は相当に手こずったらしいが、1月26日未明、ようやく大まかな脱石炭の青写真が発表された。それによれば、石炭火力は遅くとも2038年にはドイツから消える予定だ。

電気代がさらに上がる

ちなみに、2011年、福島第1原発の事故のあと、脱原発の前倒しについて審議したのが、やはりドイツ政府が招集した「倫理委員会」だった。ところが「倫理委員会」のメンバーには、原発やエネルギーの専門家がおらず、その代わり、「倫理委員会」の面目躍如、神学者が入っていた。

その結果、結局、2022年までの完全脱原発が決まったのだが、7年半が過ぎた今、再エネ賦課金(電気代に乗っている再エネ経費)の負担が平均家庭で月2800円にも膨らんでいる。今やドイツの電気代は、1位だったデンマークに追いつき、まもなく追い越す予定だ。去年9月には、脱原発の経費が無駄に掛かりすぎているとして、連邦会計監査院が警告まで出した。

今回もそれと似たようなことが繰り返されている。石炭委員会31人のメンバーは、政治家、企業、労働組合の代表、研究者などからなるが、目立ったのがグリーンピース、BUND(ドイツでディーゼル車の走行禁止を訴えて勝利を収めている環境団体)、DNR(環境団体の連合組織)といった名うての環境保護団体の代表。また、研究者も再エネや環境畑の人が多かった。

環境保護団体の特徴は、一言でいうなら、経済上の見地を完全に無視することだ。

石炭委員会」の試算では、脱石炭により電気代がさらに上がる。だから、そのままでは産業と国民の家計に負担がかかりすぎるので、大々的に補助を注ぎ込む。さらに、鉱山、発電所、関連企業閉鎖のあとの地域の荒廃を防ぐために、公共投資を増やし、産業の誘致をする。

中央官庁の移転なども検討されているというが、僻地に引っ越したがる省庁があるとは思えない。ババ抜きのようになるのではないか。

また、電力会社、ならびに事業を閉鎖する企業には賠償金も支払われる。自由資本主義の国では、企業の経営権を見返りなしに奪うことはできない。また、解雇される労働者にも、様々な補償がなされる。若い人には新たな職業訓練も用意される。

石炭委員会の正式名が「成長・構造変遷・雇用委員会」というのは、このように、諸々の大規模な構造改革が必要になるからだが、しかし、どんなに頑張っても、すべての失業者を吸収できるほどの構造改革がスムーズに進むとは考えにくい。

いずれにしても、炭鉱を閉鎖しなければならない3州には構造改革の費用として2040年までに400億ユーロ、その他、毎年、20億ユーロが補助されることになる。ただ、実はこれは氷山の一角。上限はまだ決まっていない。また、緊急の経費として、2021年までに15億ユーロの特別予算も組まれているという。

ただ残念なのは、これだけのお金をかけて脱石炭をしても、それが国家経済にも環境にも、あまり役立たないことだ。ドイツが節約したCO2の排出権は他国が安くで買い取れるし、電気代の高騰は経済を停滞させる可能性が高い。産業の空洞化が進む危険も無視できない。

〔PHOTO〕gettyimages

再エネで本当に大丈夫なのか

しかし、最大の問題はというと、実は別のところにある。石炭火力を全部閉鎖したあと、その代わりの電気をどうするかだ。石炭委員会の考えでは、再エネをさらに増やす計画らしいが、本当にそれで大丈夫なのか。

下の数字を見てほしい。ドイツの応用研究機関(欧州最大)のフラウンホーファー研究所の資料だ。

これは、先週1月24日午前9時のドイツ全体の電源別の発電状況(この他の電源として、石油やゴミなどもあるが、少量なので省略)。この時点での合計の発電量は7652万kW。

各発電量の横のカッコなしの数字は、全発電量に占める割合。たとえば、風力電気はこの時点で、ドイツ全体の発電量の3%を賄っている。さらに、その横のカッコ付きの数字は、それぞれの電源の全設備容量に照らし合わせた稼働率。風力はこのとき、風力全体の持つ発電容量の3.9%分しか発電していなかった(設備量は2018年の数字)。

・風力230万kW 3.0%(3.9%)
・太陽光98万kW 1.3%(2.2%)
・バイオマス506万kW 6.6%(65.5%)
・水力発電(揚水も含む)284万kW 10.8%(51.5%)
 [↑ここまでが再エネ]
・原子力948万kW 12.4%(99.6%)
・石炭と褐炭2567万kW 44.0%(56.6%)
・ガス1549万kW17% 20.2%(52.3%)

興味深いのは太陽光で、設備容量はすでに4555万kWもあるが、この時点での発電量は98万kWで、稼働率2.2%。ドイツの冬は太陽があまり照らないのでこういうことがしょっちゅう起こるが、このときは偶然、風も弱く、それを補うため、石炭、褐炭、ガスの稼働率が高くなっている。

ただ、反対に、お天気に恵まれて、膨大な数のパネルと風力タービンが一斉に稼働し、それが日曜日だったりすると、送電系が満杯で大変なことになる。

また、28日の17時は次の通りだ。合計の発電量が8292万kWで、

・風力2409万kW 29.0%(40.7%)
・太陽光10kW 0% (0.2%)
・バイオマス506万kW 8.3%(65.5%)
・揚水・水力335万kW 4.1%(60.9%)
・原子力920万kW 11.1%(96.6%)
・石炭と褐炭3176万kW 38.3%(70.0%)
・ガス917万kW 11.1%(30.9%)

このときは、太陽はゼロだが、風があるため、石炭、褐炭、ガスを絞って調整している。原子力はベースロード電源なので、黙々と24時間、95%以上の稼働率で動いている。

フラウンホーファー研究所のこのページは、現在の発電量がライブで見られ、とても面白いので、興味のある方は覗いてみてください。英語もあり。

https://www.energy-charts.de/power_de.htm

つまり、これを見るとわかるように、真の問題は、100%近い稼働率で24時間動いている原発が、本当に2022年に無くなり、そのうえ火力も無くなれば、ドイツはどうやって電力を安定確保するのかということだ

なぜ神話ばかりが語られるのか

メディアと環境保護団体は、常に、再エネのバラ色バージョンを語るが、それには安価な蓄電技術が必要だ。

国営第2テレビは、このたびの脱石炭は歴史に残る素晴らしい決定だと礼賛し、局付きの環境専門家が出てきて、「緑のガスというものがあるのですよ。余った再エネ電気をガスに変えて保存して使う! 今のところ、ちょっと高いけれど、そういう方法もある」と希望に満ちた顔で、5年後ぐらいには実用化できるかのように語っていた。

しかし、本当は「ちょっと高い」どころか、大規模な実用化のメドなどまだ全然立っていない。

ドイツは現在、褐炭火力のせいでEUのCO2の排出国ワースト5となってしまっており、必死でそれを挽回するつもりだが、どうもそのために、見果てぬ夢を語り過ぎているように感じる。

〔PHOTO〕gettyimages

そもそも、ドイツには地震も津波もないのだから、本当にCO2を減らしたければ、CO2を一切出さない原発を止めずに動かせば良いのだ。その方が、経済的にも環境にも絶対に良い。

ところが、ドイツが実際にやっていることは、大量のガス火力の新設だ(BDEWのホームページによれば、計画中のものも含めて22基)。再エネがあてにならないことは、メディアは言わなくても、関係者は皆、知っている。

 

つまり、原発と石炭火力を真に代替するのは、目下のところ、再エネではなくて、全面的にガスなのだ。ただ、ポジションはあくまでも、再エネのピンチヒッター。そして、その建設コストも、膨大な待機の保証費用も、結局は消費者の電気代に乗る。あまりにも無責任な政策に思える。

1月13日付のスイスの「ノイエ・チューリッヒ新聞」には、「ドイツのエネルギー転換におけるシステムの不条理」というタイトルの痛烈な批判も載った(https://www.nzz.ch/wirtschaft/deutsche-energiewende-absurditaet-mit-system-ld.1450698)。

これを読みながら、確かに、ここまで理不尽で高価なエネルギー政策を進める国はドイツ以外にないと呆れたが、よく考えたら、残念ながら日本も同じだ。

ただ、こういう金に糸目をつけないエネルギー政策を強引に進められるのも、産業が機能していればこその話だ。しかし、このエネルギー政策ではおそらく景気は落ち込み、そのお金は捻出できなくなる。

なぜ、そういう当たり前のことを誰も言わず、神話ばかりが語られるのか。まことに不可解である。

以上は、川口さんのドイツのエネルギー政策の記事である。

だが、ドイツは、政策的にはまだましかもしれない。

それに引き換えに本は、どうか?

2018年日本のエネルギー政策は、再エネ21~24%にするという。

しかも、規制はない。野放し状態。

更に、先日再エネ推進の自民が、100人を超えたという記事もあった。

ドイツより、悲惨なことになりかねない。

いや、確実に悲惨なことになりつつある。

ドイツのは、無茶なエネルギー政策ならば、日本のは無謀といえよう。

 

 

 


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