遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国 早くも緩め始めた北朝鮮制裁

2018-07-16 23:58:58 | 北朝鮮 全般
 6月12日の米朝首脳会談の共同声明では、CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)について具体的に触れられることはなく、以後の実務者協議に先送りされました。
 その実務者協議を進めるべく、ポンペオ米国務長官が6~7日訪朝したり、6月の米朝首脳会談の共同声明で合意された遺骨返還の実務者協議開催が行われ様としました。
 しかし、北朝鮮の姿勢は、ポンペオ米国務長官との会談直後に会談内容について米国を批難する声明をだしたり、実務者協議を無断欠席するなど、米朝協議を否定する行動に出初めています。

 北朝鮮:「非核化揺らぐ」 高官協議後、談話で米非難 - 毎日新聞
 米朝:遺骨返還協議 北朝鮮が欠席 - 毎日新聞

 ひとえに金正恩が3度にわたり訪中し、習近平にすがりつき、後ろ盾を得たことと、トランプ大統領の会談時の内容先送りの緩慢な姿勢によるもので、トランプ大統領をなめた姿勢に転じたからなのですね。

 そして、対北朝鮮交渉で、主導権を取り戻した習近平。米国との間で始まった貿易戦争で、トランプ政権に対抗する為に、北朝鮮制裁をカード化しようとしている様相をみせてきた様です。
 
市場にナマコ 宿泊旅行黙認 中国、緩む北制裁 (7/16 読売朝刊)
 貿易摩擦 対米取引力ードに

 北朝鮮に非核化を迫る上で要となる中国の経済制裁が緩みつつある。トランプ米政権が貿易摩擦などを巡り対中圧力を強める中、習近平政権は、制裁の緩みを事実上黙認し、北朝鮮の「後ろ盾」としての影響力を対米力ードとして見せつけたい思惑とみられる。  (中国遼寧省丹東 東慶一郎、北京 比嘉清太)

■中朝国境
 15日、鴨緑江を挟んで北朝鮮の新義州を望む丹東。降りしきる雨の中、対岸に向かう約200人の中国人観光客が次々とバスに乗り込んでいた。
 地元旅行業者によると、6月中旬の金正恩朝鮮労働党委員長による3度目の訪中以降、
北朝鮮への泊まりがけのツアーの予約が一気に増えた。予約は7月末までいっぱいという。
 当局は昨年11月、北朝鮮への日帰り以外の団体旅行を禁じた。中国を含む国際社会の再三の制止を無視した北朝鮮の核・ミサイル開発への中国独自の制裁だ。だが旅行業者は、「
当局のチェックが5月頃から突然緩くなった」と明かす。
 市場でも
「北朝鮮産の天然ナマコ」が公然と売られていた。国連安全保障理事会の制裁決議で北朝鮮の海産物は輸入禁止となっているが、中国人が北朝鮮から大量に持ち込んだという。「年明けがピークだった」(中朝貿易関係者)という密輸取り締まりは明らかに緩んでいる
 中国税関当局によると、今年1~6月の北朝鮮との貿易総額は70億7000万元(約1190億円)と前年同期比で6割も減った。そんな
北朝鮮への救いの手となるツアーや密輸の黙認と、国境地帯に広がる「制裁緩和ムード」は、習政権がトランプ政権に発したシグナルとも言える。

■「もっけの幸い」
 
米国は制裁の継続で北朝鮮を非核化に追い込もうとしている。だが、北朝鮮と密接な関係にある中国が制裁の「蛇口」を緩めれば、米国のもくろみは水泡に帰すことになりかねない。実際、中国は国連安保理で6月、制裁緩和を求める報道機関向け声明の発表をロシアとともに模索していた。
 中国共産党関係者によると、
北朝鮮は3月の最初の中朝首脳会談前、中朝関係悪化を招いた従来の対中政策が不適当だったとして、「庇護」を求める意向を伝えてきた。習政権にとっては、貿易摩擦だけでなく、台湾や南シナ海を巡っても対立する米国へのカードが転がり込んできた点で、「もっけの幸い」(中国外交筋)だった。
 中国外交トップの楊潔篪(よう・けつち)党政治局員は14日、北京での国際フォーラムで、朝鮮半島問題で中国が「積極的役割」を果たしていると主張する一方、トランプ政権による保護貿易を批判した。
習政権は今後、朝鮮半島問題と米国による対中制裁関税などを「取引」する姿勢を打ち出してくる可能性がある。
 北朝鮮への影響力を誇示する中国だが、国内の北朝鮮専門家からは「対米関係上、北朝鮮力ードを過度に使って米朝関係に介入するのは得策ではない」との慎重論も出ている。

米警戒 対中圧力強化も 制裁効果維持 協力が不可欠

 
トランプ米政権は、米朝対話の進展で中国が制裁緩和に動き出すことを強く警戒している。経済制裁が北朝鮮を非核化に応じさせる強力なテコだと考えているためで、「完全な非核化の実現まで経済制裁を解除しない」(ポンペオ国務長官)方針は堅持する構えだ。
 北朝鮮への金融制裁を担当するムニューシン財務長官は12日、米下院公聴会で「北朝鮮が交渉に応じ、核放棄で合意した大きな理由は制裁だ」と述べ、「中国は我々との協力で非常に重要な部分を担ってきた」と指摘した。
トランプ政権は、制哉の効果を維時するために中国の協力は引き続き不可欠と判断している。
 だが
一方で、中国に対する不信感も強まっている。トランプ大統領は平壌で行われた米朝高官協議後の9曰、ツイッターにこう書き込んだ。「中国は我々の対中貿易政策を理由に、米朝間の合意に負の影響を及ぼそうとしているのかもしれない。そうはならない!」
 トランプ氏の念頭にあるのは、公海上で積み荷を移し替える密輸取引「瀬取り」の手法で石油精製品が北朝鮮に輸入されている実態や中朝国境での取り締まりが緩んでいることだ。米政府は国連に対し、1~5月に小なくとも89回の瀬取りが行われたとする報告書を提出し、全国連加盟国に北朝鮮への石油精製品の輸出停止を通知すべきだと主張している。瀬取りへの関与が疑われる中国企業などへのけん制なのは明らかだ。
 トランプ政権は対中貿易赤字の問題で中国に圧力をかける一方、中国が制裁を維持することは「国連決議に墓つく国際的義務」(米政府高官)との立場だ。
 外交筋は「
中国が北朝鮮問題で非協力的な態度に出れば、米国は対中圧力を貿易、安全保障面で更に高めて対抗する」と予測する。トランプ政権は北朝鮮と取引する中国の金融機関や企業を標的とした制裁の発動もちらつかせながら、中国に協力を迫るとみられる。 (ワシントン 大木聖馬)

 金正恩が「庇護」を求めてきたことは、習政権にとっては、貿易摩擦だけでなく、台湾や南シナ海を巡っても対立する米国へのカードが転がり込んできた点で、「もっけの幸い」の出来事。
 今後、朝鮮半島問題と米国による対中制裁関税などを「取引」する姿勢を打ち出してくる可能性を指摘する読売。トランプ大統領にすれば、米朝協議にとっても、対中貿易戦争にとっても、中朝緊密化で劣勢に立たされていると言える状況に陥っています。

 NATOの軍事費や貿易関税で、EU諸国とも対立を強めているトランプ大統領。中東でも炎上を発生させ、戦線拡大中です。
 
 日米、米英、米露関係をどう保つのか。中間選挙対策と、一連の言動をくくって観るだけで良いのか。要注目ですね。



 # 冒頭の画像は、訪朝したポンペオ米国務長官と金英哲朝鮮労働党副委員長




  コウヤボウキ


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