遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

人民解放軍に文民統制は出来るのか

2013-04-04 23:08:25 | 中国 全般
 先の人民解放軍のフリゲート艦「連雲港」が、東シナ海で海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に対して攻撃管制レーダーを照射する事件がありましたが、外交部の華春瑩報道官は「関係部署に聞いてくれ」と政府が知らない様子を露わにしていました。このことに限らず、中国政府の言動に反する人民解放軍の行動がなされることは、これまでにもしばしば生じていました。
 毛沢東、小平といった、軍を経験して出てきた指導者から、江沢民、胡錦濤といった軍の経験の少ない指導者が続く中、飴で軍をコントロールするトップが続くことで、軍事費が大幅に増え続けてきたことは、諸兄がご承知の通りです。
 党高級幹部の子弟繋がりで、軍に幼馴染が多い習近平は、軍をどうやって制御するのでしょう。常務委員の椅子取りゲームでは、最後の頼みの綱の幼馴染繋がりの軍の支援を得て、胡錦濤の対日軟弱姿勢を突いて大逆転勝利をしたのですが、大恩ある軍に対してどこまで文民統制を効かせることが出来るのでしょう。
 リチャード・ハロラン氏は、人民解放軍は党政治局が決めた安全保障や外交分野の政策を無視するようになってきていると、産経に寄せておられます。
 

人民解放軍 文民統制無視、独立し始めた (4/4 産経【ハロランの眼 太平洋の真中で】)

 中国の軍事力に関する日本の報告書「中国安全保障レポート2012」は冒頭の設問で問題の核心に迫っている。「人民解放軍は文民統制の下にあるのか
」と。
 東京の防衛省の機関である防衛研究所の分析官らは、慎重な言葉遣いで、
北京の共産党と政府はもはや人民解放軍を統制できていない
という重大な懸念が中国内外で表明されてきた、と結論付けている。

 日本人は、分析の際に、中国の指導者を怒らせないように気を使ってきたように見える。中国の指導者は、彼らが中国の国内問題であると考えることについて外部の者が言及するたびに、おおっぴらに腹を立ててきたからだ。
 日本での発見とはやや対照的に、中国についての分析情報を入手できる
米国の国防総省高官らは非公式ではあるが、解放軍は近年、明らかに党と政府の統制から独立し始めている
と話す。
 この分析によると、解放軍の指導者らは共産党の権威に挑戦するというよりも、党政治局が決めた安全保障や外交分野の政策を無視しているのだ。それはまるで解放軍が北京において独立した自律的な権力と政策の中心になり始めているかのようだ。
 いずれにせよ、これらの分析は、米国であれ日本であれ、誰もが中国に関して安全保障や外交の政策を立案する際に、解放軍の態勢と地位を考慮にいれなければならないことを意味している。解放軍の指導者はしばしば自身を文民の政治、経済分野の指導者よりも攻撃的で愛国主義的に見せてきた。さらに、解放軍の将軍や提督の誤算は、外務省や経済関連省庁の誤算と比べ、より致命的な結果をもたらしかねない。
 中国の革命指導者、毛沢東の理論によると、解放軍は共産党の軍事部門であり、政府や国民ではなく党に忠誠を尽くさなければならない。個人レベルでは、解放軍の将校は党に忠誠を誓う。対照的に、米国の将校は憲法の擁護を誓う。 解放軍を指導する権限は中央軍事委員会にあり、軍事委は国防省、陸軍、海軍、空軍、第2砲兵と4総部を指揮する。第2砲兵は中国の核兵器に責任を負う。
 新たに選出された軍事委は、党総書記で国家主席の習近平氏が主席を務める。副主席2人と委員8人はすべて制服を着た軍人だ。習近平氏は政治指導者であり胡錦濤主席の下で軍事委の副主席を務めたとはいえ、軍事委で唯一の文民だ。
 新たな軍事委は胡錦濤体制から習近平体制への移行期にあるが、習氏は党内の序列が上がる過程で解放軍とほとんど接触がなかった。副主席の一人は朝鮮半島からみて黄海の対岸にある済南軍区の司令官だった陸軍の范長竜上将だ。
 もう一人の新副主席は、このポストに空軍から初めて指名された許其亮空軍上将。許氏の昇進は、中国軍の近代化において空軍力の重要性が増していることを反映している。軍事委の議論に文民の声を追加するため、李克強新首相が委員に指名されるという噂もあった。
 恐らく
最も興味深い委員で時勢を表すのは、空軍司令官の馬暁天空軍上将
の指名だろう。馬氏は歯に衣(きぬ)着せぬ愛国主義者であり、副総参謀長として解放軍の外交政策を遂行するためアジア諸国やその他の国を訪問したことがある。
 中国とフィリピンが南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)をめぐって衝突した際、馬氏はテレビに出演し、問題は中比間の係争であり「米国とは何の関係もない」と語った。米国は南シナ海全域での航行の自由を守るよう呼びかけてきた。
 シンガポールで開かれた2010年のアジア安全保障会議で、馬氏はウィラード米太平洋軍司令官(当時)と論争し、米軍に東シナ海と南シナ海の海上と空域での偵察活動を中止するよう求めた。
 馬氏は最近も、北京を訪問した現在の太平洋軍司令官、ロックリア海軍大将と会っている。解放軍報によると、馬氏は中国に対する海空域での偵察の停止要求を繰り返した。ロックリア氏は恐らく異議を唱えたはずだ。



 中国安全保障レポート_2012 ; 防衛省防衛研究所

 富国強兵を唱え、戦争準備指令を出させるなど、軍の強硬派の主張に歩調を合わせる習近平は、江沢民や胡錦濤が甘やかしていた時代より、更に言動までも軍に同調した危険な兆候をみせ始めていますね。
 江沢民や胡錦濤は、軍備の拡張へのお金は出してきましたが、戦争準備指令までは出していません。
 軍トップの軍事委員会主席にも就任した習近平ですが、許其亮氏にしても、馬暁天氏にしても、胡錦濤・共青団の息がかかっているとの情報があります。
 
人民解放軍人事 胡錦濤・共青団派が優勢 - 遊爺雑記帳

 ただでさえ、軍に頭が上がらず制御が危ぶまれる習近平ですが、側近となるべき幹部が胡錦濤・共青団の息がかかっているとなると、更に統制が危惧されます。
 軍にすれば、党内の政局を巡る争いが潜在・継続するなかで、その隙に乗じて党を無視してやりたい放題で対外危機を煽り、軍備拡大を目指せることになりますね。

 共産党は毛沢東が率いて抗日戦闘を経て今の一党独裁国家を築きました。つまり、元は抗日戦闘団だったのです。当然、人民解放軍の中には、その自負があり党の文民を軽視する勢力があっても不思議ではありません。
 習近平が、ソ連の共産党が崩壊したのは、軍を党から切り離して国軍にしたからだと述べていたことは以前に触れました。人民解放軍は、国の軍隊ではなく党の軍隊であることは衆知のことですが、党が軍隊を持っているのか、人民解放軍がルーツで平時には党が行政を行っているのか...。
 人民解放軍が、党を無視した行動をすることが増えてきたと、日米の専門家が危惧し始めているというのです。

 もはや、米軍に次ぐ規模にまで拡大し、更に追いつき追い越そうとする人民解放軍。これが、文民制御不能となり暴走すればどうなるのか。
 ナチス・ドイツが世界大戦を引き起こした様に、日本軍が暴走したように、世界平和が破らる可能性は大きい。

 それを防ぐには、中国国内での一党独裁の崩壊による、自由な選挙による政府の誕生と、その政府による文民制御の効いた国軍の誕生が必要です。
 中国国民の方々の、自覚が求められます。





  この花の名前は、クレロデンドルム

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中国人民解放軍の正体―平和ボケ日本人への警告!!



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