遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

「改革・解放政策」導入から40年を迎える中国 習近平の向かう方向は?

2018-02-15 23:58:58 | 中国 全般
 中国経済の今日の発展を導いた「改革開放」政策。毛沢東の独裁政治で疲弊・困窮した中国を、鄧小平が、政治では集団指導体制を導入し、経済では戦後急成長で復興した日本に学び導入した「改革開放」政策採用といった政経両輪の、独自の社会主義が奏功し今日の繁栄が成し遂げられたのでした。
 しかし、昨年10月の党大会で、ポスト習近平は習近平という独裁体制の構築に成功した習近平は、自身の個人崇拝を強める独裁体制の強化に向けての道を強化し、鄧小平、胡耀邦の「改革開放」政策を引き継ぎ、民間の活力を活かす政策を進める共青団派との対立を深める、国有企業擁護での「一帯一路」政策を進めています。
 「改革開放」政策の40周年が、毛沢東時代の、独裁政治と硬直的国有企業優先の両輪体制へ復古開始の年になりそうな雲行きです。
 読売が、「改革・開放 40年」の特集連載を始めています。「中華の夢」を富国強兵で追い求める二期目の習近平が、どんな方向に向かおうとしているのか、注目したい記事です。

 鄧小平、それを継承する胡耀邦とで始まった「改革開放」政策の歴史記事の抜粋。
 

成長と党独裁並走 時流乗り経済大国に (2/15 読売朝刊)

 中国の改革・開放政策の起点1978年12月、共産党第11期中央委員会第3回総会(3中総会)で、経済建設中心の近代化路線が採択されたこと
だ。習近平総書記(国家主席)はいま、この40年の改革・開放がもたらした経済発展という「果実」を、最大限、自らへの求心力につなげようとしている。

再建
 毛沢東死去で文化大革命が終わった76年、中国は政治的、経済的に荒廃しきっていた。
毛に代わって最高権力者の座に就いた鄧小平は、経済建設を最優先する「一つの中心」や、工業・農業・国防・科学技術を最重要課題とする「四つの近代化」などのスローガンを掲げ、国家再建に乗り出した

 鄧が取ったのは「川底の石を探りながら川を渡る」の言葉で知られる漸進的手法だった。集団化で生産性が低かった農業分野では、安徽省の農村が自発的に始めた、努力次第で収入が増える生産請負制度など成功事例の追認から進めた。経済の対外開放では、80年に深圳などに置いた経済特区で実験的に行い、徐々に全国へと広げていった。
 
鄧は、戦後の焼け野原から発展を遂げた日本を成長モデルとした。78年の来日では新幹線に乗り、自動車や電機、鉄鋼メーカーの工場を視察。82年に補佐役として党総書記となった胡耀邦氏は、当時の中曽根康弘首相と親密な関係を築き、日本の協力を引き出した
<中略>

継承

 習氏は総書記就任間もない13年1月、こう強調した。「(改革・開放の前と後の)二つの歴史はどちらも否定してはならない」
 国内では、右派が毛沢東独裁の誤りを認めるよう求め、左派は「中国の社会は共産主義実現という理想を失い、拝金主義に堕した」(北京の学者)と、改革・開放が不正や乱開発をもたらしたと批判する。習氏の発言が示すのは、体制を揺るがしかねない毛沢東批判には踏み込まず、改革・開放は進めるという「良いとこ取り」の姿勢だ。
 
汚職摘発や環境汚染対策を進める習氏は、ある程度の成長鈍化も容認する「新常態」を掲げ、成長至上主義から一定の軌道修正を図る。2期目政権を発足させた昨秋の党大会では、改革・開放に代表される「中国の特色ある社会主義」が自らの治世で「新時代」に入った、と宣言
してみせた。
 
習氏は自身を、毛沢東、鄧小平と並ぶ「歴史に残る指導者」(党幹部)として意識している
とされる。巨大経済圏構想「一帯一路」や、「千年の大計」と自ら位置づけた河北省の新都市構想「雄安新区」には、改革・開放の延長線で歴史的業績を打ち立てようとの狙いが透けて見える。
 だが、
一連の経済政策は「党がすべてを指導する」のが前提だ。富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)氏は、改革・開放の推進力は閉塞的な文革時代から解き放たれた、ある程度の「自由」だったと指摘。習氏への個人崇拝の風潮が強まり、言論の徹底統制が進む中国で、今後も発展が順調に続くかどうかについては、懐疑的だ。

 「改革開放」政策を継承し民間の活力を重視するのは、共青団派の胡錦濤、李克強。新チャイナセブンに李克強は残りましたが、共青団派のホープで、ポスト習近平候補の胡春華は、習近平子飼い「之江新軍」の陳敏爾共々チャイナセブン入りが果たせなかったことは諸兄がご承知の通りです。
 
習近平の盟友・王岐山と、共青団派のホープ・胡春華の行方 - 遊爺雑記帳

 二期目も、汚職摘発の御旗の元に、政敵退治を開始した習近平。昨秋の党大会では、改革・開放に代表される「中国の特色ある社会主義」が自らの治世で「新時代」に入った、と宣言してみせ、毛沢東、鄧小平と並ぶ「歴史に残る指導者」たらんと、独裁体制固めに邁進している様子ですね。
 ただ、新都市構想「雄安新区」では、改革・開放の延長線で歴史的業績を打ち立てようとの狙いが透けて見えるのだそうですが、「党がすべてを指導する」のが前提なので、改革・開放の推進力の閉塞的な文革時代から解き放たれた、ある程度の「自由」という活力はなく、習氏への個人崇拝の風潮が強まり、言論の徹底統制が進む中国で、今後も発展が順調に続くかどうかは疑問詞されている様ですね。

 改革・開放による外資導入で、国内外の製造業が集積し、民間活力が旺盛な深圳。最新技術を使ったサービスの見本市の様相を呈し、GDPは、香港を凌駕する勢いなのだそうです。
 

改革・解放 40年 (2/15 読売朝刊)

 中国は今年、「改革・開放政策」の導入から40年を迎える。社会主義体制を維持したまま世界第2の経済大国への道を開いた改革・開放は、米国と並び立つ強国を志向し、「新時代」入りを宣言した習近平政権下でどこに向かうのか
。40年の帰結である中国社会の多面的な姿から探る。

第1部 「新時代」へ [1]
深洲発ハイテク革命 夢の先に統制の影


 昨年12月27日午後2時30分、広東省広州の中級人民法院(地裁)。開廷した民事事件の裁判風景は、一風変わっていた。裁判官と被告の弁護士は法廷にいるが、原告席には液晶モニターが置かれ、原告の弁護士が映っている。この弁護士は約1200キロ・メートル離れた浙江省杭州から、スマートフォンのカメラを介して「出廷」していた。
 中国の国民的スマホアプリ「微信(ウィーチャット)」を利用し、裁判簡素化を図る新法廷サービスの一こまだ。広東省深?を本拠とするインターネット関連企業「騰訊(テンセント)」の技術を使っている。本人確認には顔認証を活用し、裁判の手数料支払いは微信の決済機能で済ませる。陳述を音声認識で自動的に文書にするシステムも裁判所側に提供済みという。
 
「ネットの領域で海外より成長が速いのは、ちょっと誇らしい。微信を最も便利な道具にしたい」
 微信の生みの親でもあるテンセントの高級執行副総裁の張小竜氏(48)は1月、広州での技術発表会で胸を張った。

 顔認証で支払いまでできる無人コンビニ、自動運転の路線バス、カメラがナンバ1を読み取りスマホで決済する駐車場。深圳を歩くと様々な新サービスに出会う。「試験中のものもあるけどね。新しい物が次々と出てくる」(30代男性会社員)と市民は慣れっこだ。
 改革・開放の実験場として1980年に経済特区の一つに指定された
深圳はいま、インターネットやAI(人工知能)、ビッグデータなど最新技術を使ったサービスの見本市の様相を呈する。2017年の域内総生産(GDP)は改革・開放当初の1万1000倍超の約2兆2000億元(約37兆4000億円)に上り、目標としてきた香港を初めて抜く見通しだ。
 
改革・開放による外資導入で、深圳には電子関連を中心に国内外の製造業が集積
。中国企業の中からも、通信機器の「華為技術(ファーウェイ)」やドローンの「DJI」といった世界的企業が誕生した。中国の国際特許申請件数の約半分は深圳からで、企業の研究所や起業の野心を抱いた人びとも集まる。
 
深圳の屋台骨は昔も今も民間活力
だ。共産党の元幹部ですら、「深圳は官の力やしがらみが弱い。夢を持ってやってきた人の努力で築かれた」と認める。
 深圳のビル群を見下ろす蓮花山公園の丘に、「改革・開放の総設計師」と呼ばれた鄧小平の像が立つ。像の近くで、退役軍人だという初老の男性が言った。
 「
毛沢東が新中国を打ち立て、鄧小平が繁栄の道を歩ませた。この下地があって習近平(国家主席)は前に進める

 
その習政権は、最新技術と各産業を融合させ、産業の高度化と新ビジネス創出を奨励している。だがその先に見据えるのは、経済・社会を効率的に運営、統制する新たな社会主義統治システムの構築
だ。
 スマホを通じて集まる消費動向や位置情報、死角のない監視カメラ、顔認証による確認など、「見えざる把握」は着々と進む。
ドイツの中国研究者セバスチャン・ハイルマン氏
は昨年、先端技術を統治に存分に活用する習政権の姿勢をこう名付けた。
 
「デジタル・レーニン主義」
━━。
 深圳のある交差点。赤信号で横断歩道を渡った人の顔と違反回数が交差点脇のモニターに映し出された。
改革・開放を象徴する民間活力が生み出す先端技術とサービス。それは皮肉にも、国家と党の統制強化を柱とする、習氏の「新時代の中国の特色ある社会主義」の一翼を担おうとしている

 しかし、経済・社会を効率的に運営、統制する新たな社会主義統治システムの構築を目指す習近平政権。
 ドイツの中国研究者セバスチャン・ハイルマン氏は、先端技術を統治に活用する習政権の姿勢を、「デジタル・レーニン主義」と名付けたのだそうですが、改革・開放を象徴する民間活力が生み出す先端技術とサービスを、国家と党の統制強化を柱とする、習氏の「新時代の中国の特色ある社会主義」に活かそうとする習近平。
 活力をもって活力をそぐ、文革時代の、個人崇拝の暗黒社会への回帰の足音が聞こえてきそうです。

 「新時代」入りを宣言した習近平政権下で、中国はどこに向かうのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、深圳市などで導入された、「信号無視者顔認証システム」
  中国で導入された「信号無視の防止策」 顔認証で氏名、住所、勤務先まで街頭に表示!? ; 日刊 SPA




  ラベンダーと蝶





竹島に関する動画 / 政府広報 - YouTube

杉原由美子氏による絵本「メチのいた島」読み聞かせ - YouTube


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia


竹島は日韓どちらのものか
日本の国境 (新潮新書)





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2月14日(水)のつぶやき | トップ | 2月15日(木)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事