遊爺雑記帳

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習近平の盟友・王岐山と、共青団派のホープ・胡春華の行方

2018-02-03 23:58:58 | 中国 全般
 昨年10月の党大会では、ポスト習近平は習近平という体制が決まりました。
 習近平の専制政治化に向けて、汚職撲滅の御旗の下に政敵を追放する大きな功績を挙げた王岐山を、定年の内部ルールを破りチャイナセブンに残すのか、ポスト習近平と目される、習近平子飼いの陳敏爾と、対抗派閥の共青団派のホープ・胡春華の両者をチャイナセブンに登用するのかが注目されましたが、いずれも実現されなかったのでした。
 では、王岐山と胡春華の行方はどうなるのかと注目されていましたが、王岐山が異例の厚遇で、全人代の代表に就くこととなり、更に、3月には定年のルールのない、国家副主席に就いて習氏を補佐するとの見方が取沙汰されています。
 しかし、国家副主席には、胡春華を就かせ飼い殺しにするだろうと言うのは、霞山会 常任理事、研究主幹の阿部純一氏。

 
王岐山・元政治局常務委員が全人代代表に - 遊爺雑記帳
 
王岐山の「国家副主席」就任説に異議あり 胡春華は「飼い殺し」の運命? 周到に人事を操る習近平 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.2.2(金) 阿部 純一

 
中国政界の人事予想は外れることが多い。しかし、3月の「両会」、すなわち全国政協と全人代で選出される指導者人事は昨年(2017年)11月の党大会で事実上決定されているから、予想外の人事はありえない。政治局常務委員会の序列に従えば、習近平総書記の国家主席、李克強の国務院総理、栗戦書の全人代常務委員長、汪洋の全国政協主席、そして韓正の常務副総理がその“定石”となる。
 そうした
国家機関の人事の大枠を決める党19期第2回全体会議(2中全会)が、1月18~19日に開催された


 2中全会では、人事以外に憲法の修正も議題とされ、第19回党大会で改正された党規約に盛り込まれた
「習近平の新時代における中国的特色ある社会主義思想」が憲法にも書き込まれることが決まった。巷間取り沙汰された「国家主席の任期を2期10年に限る」という憲法条項の改廃は見送られた
ようである。この条項を変更するのは、次の第20回党大会が開かれる2022年に、習近平が党総書記に3選されてからでも遅くはないからだろう。

■国際的名声がある王岐山
 さて、従来は「両会」で決まる人事には、さほど注目は集まらなかった。今回も、すでに述べたように国務院総理、全人代常務委員長、全国政協主席、常務副総理は確定済みであって、大勢に影響するような人事案件は見当たらない。しかし、従来とやや事情が異なるのは、
「国家副主席」と「国務院副総理」の人事が注目されている
ことだ。

 目下、中国関係ニュースメディアで国家副主席候補の
最右翼に位置づけられているのは、党大会で中央政治局常務委員を退いた王岐山である。王岐山は退任後も中央政治局常務委員会の会議に出席している
ことが確認されており、今後完全に公務から外れるとは予想されていないことから、国家副主席への就任が有力視されている。
 王岐山は党中央紀律検査委書記として習近平の反腐敗キャンペーンを支えたことで、習近平の権力強化に最大級の貢献をした。その王岐山が69歳という年齢によって、「七上八下(再任は67歳まで)」という内規で退任を余儀なくされた。しかし、王岐山の功績に加え、その前職であった国務院副総理時代に築いた国際人脈を考慮すれば、そのまま引退させるには惜しい人材ということになる。

 昨年の党大会開催前に、王岐山はシンガポールのリー・シェンロン首相や、トランプ米大統領の側近であったスティーブン・バノン前首席戦略官と相次いで会談した。党中央紀律検査委書記が外国の要人と会談するのはもとより異例である。ともに相手方のリクエストによってセットされた会談だということであれば、王岐山の国際的名声の所産ともいえる。

 
その王岐山を国家副主席として外交面で活用するのは魅力的なアイデア
かもしれない。米国のブッシュ・ジュニア政権のときのディック・チェイニー副大統領が積極的な外交的役割を果たし「史上最強の副大統領」と称されたケースがあるが、それに似たイメージだろうか。

 ただし、中国では
もともと国家副主席のポストは、大雑把に言えば名誉職あるいは次期首班への待機ポストであった。習近平も、その前任の胡錦濤も待機ポストとして国家副主席を経験してきた。そうだとすれば、王岐山が国家副主席に就任する場合、これまでとは全く意味合いの違う役割が期待される
ことになろう。それが上述したような外交面での習近平主席を補佐する役割かもしれない。

■王岐山の国家副主席登用は無理筋?
 王岐山は立場的に言えば、ヒラの党員に過ぎない。しかし、
王岐山が今後も中央政治局常務委員会会議への出席が合法的あるいは超法規的に認められるならば、彼の影響力を維持するために、それなりのポストに就く可能性があるわけで、それが国家副主席
ということなのであろう。

 だが問題は、ことがそう簡単ではないところにある。中国の国家副主席は、米国の副大統領とは違う。中国の国家主席は、中国共産党総書記が兼ねるから権威がある。
ヒラの党員が国家副主席に就いたところで、その権力の源泉はなにもない。国家副主席が指揮する下部組織もない。王岐山が国家副主席になった場合、その権限の拠り所は、習近平の「支持」しかない

 王岐山が有能な人物であることは疑いないし、その彼を引退させるのは惜しいという考えも首肯できる。しかし、だからといって
国家副主席にして習近平を補佐するという構図は短絡的すぎる
のではないか。
 というのも、王岐山が外交面で存在感を示せば、外交部をバックとする
楊潔篪国務委員や王毅外相など中国外交を担う責任者が霞んでしまいかねないからだ。楊潔篪は現職の党中央政治局委員だが、政治局常務委員を経験した王岐山には位負けすることになる。結論として言えることは、王岐山を国家副主席に登用するのは無理筋
だということである。

■胡春華は副総理か、国家副主席か
 
もう1つの注目人事である「国務院副総理」について言えば、問題は胡春華・前広東省党委書記の処遇に絡む。胡春華は胡錦濤前主席の系譜を引く共産主義青年団(共青団)系のホープであり、習近平の後継者候補とも目されていた。だが、昨年の党大会で政治局委員に留め置かれ、現在は副総理候補の1人
に位置づけられている。

 
副総理ポストは、1998年以後は4名で構成されている。うち1名は総理の代行任務も含めた常務副総理であり、現在は党中央政治局常務委員の序列7位である韓正
がそのポストにある。残り3名は党中央政治局委員の中から選出される。
 
副総理候補として巷間名前が挙がるのは、習近平の経済ブレーンとして著名な経済・金融担当の劉鶴、前任の劉延東を引き継ぐ文化・教育担当の孫春蘭、それに加え、恐らく汪洋の任務を継承し農業、通商を担当する胡春華
といったメンバーである。
 この3名がそのまま副総理に任命されれば特段の問題はない。ただし、外交担当の国務委員である楊潔篪が党中央政治局委員になったことで、銭其琛(1993-2003在職)以来の外交担当副総理就任の可能性も取り沙汰されており、そうなれば副総理は計5名ということになる。ちなみに、銭其琛が副総理在職時も副総理は4名体制だった。そこで
副総理の人員枠を4名に抑える口実として、牽強付会の誹りを恐れずに言えば、また王岐山以外の人物を国家副主席に配さざるをえないという仮定で議論すれば、胡春華の国家副主席就任が習近平にとって最も心が安らぐ人事
ではないかと勝手に想像したくなる。

 広東省党委書記として経済発展に辣腕を揮った
胡春華が有能であることは疑いない。彼が副総理になって与えられた任務を立派にこなすことも予想に難くない。しかし、それでは困るのが習近平である。自分より若い世代の胡春華がライバルとして台頭すれば自分の権力を永続化させる上で障害となりかねない。だから、胡春華を国家副主席に「棚上げ」し、いわば飼い殺しにするのが習近平にとって合理的な選択
となる。これは、国家副主席の「前任者」である李源潮の置かれた立場とも重なることになる。

 政治の世界は冷酷であり、中国の場合はなおさらであると考えるならば、そのようなシナリオも織り込んで考えるべきではなかろうか。

 中国の国家副主席のポストは、大雑把に言えば名誉職あるいは次期首班への待機ポストなのだと。習近平も、その前任の胡錦濤も待機ポストとして国家副主席を経験してきたのだそうです。一方では、前任者の李源潮の場合は、名誉職というか、飼い殺し。
 王岐山はチャイナセブン退任後も中央政治局常務委員会の会議に出席していることが確認されているのだそうで、王岐山が今後も中央政治局常務委員会会議への出席が合法的あるいは超法規的に認められ、補佐して欲しいのは習近平。国家副主席として外交面で活用するのは魅力的なアイディアかもしれないが、王岐山が外交面で存在感を示せば、中国外交を担う責任者が霞んでしまいかねないことになり、王岐山を国家副主席に登用するのは無理筋だと阿部氏。。

 他方、胡春華。「国務院副総理」か、「国家副主席」の道があるのだそうです。
 有能な胡春華は、副総理になって与えられた任務を立派にこなすことも予想に難くない。しかし、それでは困るのが習近平。若い世代の胡春華がライバルとして台頭すれば自分の権力を永続化させる上で障害となりかねない。胡春華を国家副主席に「棚上げ」し、いわば飼い殺しにするのが習近平にとって合理的な選択となると、阿部氏。
 習近平や、胡錦濤は、待機ポストとして国家副主席を経験しのですが、胡春華を飼い殺しする為に国家副主席にしようとするのだと。。

 阿部氏は、国家副主席には指揮する下部組織がないと指摘されています。が、胡錦濤は共青団派という鄧小平、胡耀邦の流れを継ぐ共青団派という地盤があり国家主席になりました。胡春華はその団派のホープです。団派は習近平の引き抜きや、虎退治で弱体化されていますが、未だ習近平の対抗勢力として存在はしています。
 習近平は、太子党という、政治派閥としては緩いグループの存在でしたが、江沢民の傀儡政権の予定で、その擁護のもとで国家主席になれました。(今ではその大恩ある江沢民・上海閥を虎退治で解体させてしまいましたが。)
 弱体化したとは言え、根の広がりは大きい団派。習近平自身が逆転出来た様に、今は耐えて従順姿勢を見せている胡春華ですが、国家副主席に棚上げされても、団派の基盤を受け継ぎ、習近平独裁体制への不満勢力を結集し、逆転できる可能性が繋がれると期待しますが、どうなのでしょう。

 浙江省時代に習近平に仕えた子飼いの部下たちの「之江新軍」の、陳敏爾や蔡奇。盟友の王岐山。対抗派閥も胡春華。これらの人々による、習近平独裁体制に向けた去就は、まだまだ目が離せませんね。



 # 冒頭の画像は、胡春華広東省党委書記




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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
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