遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の薄型テレビシェア サムスンはシャープ以下に

2012-07-24 23:48:22 | my notice
 薄型テレビでは、日本メーカーの苦戦や撤退の話が続き、世界シェアが21.7%のサムスンの台頭が話題をさらいました。新興国のマーケットニーズにあわせた商品開発と低価格戦略がもたらしたシェア獲得として注目され、薄型テレビに限らず、成長著しい新興国マーケット戦略として注目されました。
 ところがそのサムスンの薄型テレビのシェアが、中国とインドでは下がってきて、中国ではシャープと逆転し、ソニーとも差がなくなってきたのだそうです。
 何故サムスン製品は、中国やインドでシェアーを落しているのでしょう。
 答えは、日本に追いつき追い越せと進めてきた低価格とマーケットニーズへの対応戦略の罠。いまや、地元の企業がサムスンに追いつき追い越せと商品開発と更なるコストダウンが出来る実力をつけてきたなのだそうで、サムスンが追いつかれ、追い越される側になってしまったからなのだそうです。
 

中国やインドで失速するサムスン  :日本経済新聞

 世界最大の家電メーカーにのし上がった韓国のサムスン電子だが、中国とインドの2大新興国市場で主力の薄型テレビのシェアが低下している。欧米先進国市場だけでなく、新興国にも強いといったイメージがあっただけに意外感がある。サムスンのシェア低下を掘り下げていくと、新興国ビジネスに潜む特有のワナが浮かび上がってくる。
<中略>

 サムスンといえば新興国市場に強いというイメージがある。日本企業が価格の高い高品質な製品を新興国にも投入したのに対し、サムスンは新興国の経済水準に見合った製品づくりを目指してきた
といわれる。各地の需要を把握するために「地域専門家」制度を導入し、現地の消費動向を探らせてきた。そのかいあって、中国でもインドでも当初は日本勢を圧倒するシェアを獲得した。
 新興国市場の開拓には
市場規模のいちばん大きなボリュームゾーンを狙えと盛んに唱えられてきた。新興国では年間の所得が3千~5千ドルの所得層が人口に占める割合が比較的に多く、この層をめがけた商品やサービスを開発しなければ成功しない
と半ば常識のように語られている。
 だが、
サムスンの失速はこの理論が事実の一面でしかなかったことを物語る
<中略>

 
中国でもインドでも地元の消費水準や嗜好(しこう)を熟知した企業が育ち、サムスンよりもさらに安い価格で製品を販売し始めたのだ。こうなるとサムスンの優位性は崩れる。
 成長する新興国では年間所得が1万ドルを超える層も増えてくるという事実も見過ごしてはならない。豊かになった層は高品質の製品やブランドに憧れを持っており、ボリュームゾーン向けの製品ではあきたりなくなる。中印で日本ブランドが健闘しているのはこうした層を取り込んでいるからかもしれない。

 ボリュームゾーン攻略ではインドのタタ自動車も苦しんでいる。タタは低所得層向けに価格が20万円程度の超低価格車「ナノ」を発売したが、販売が伸びずに赤字事業となった。インドの9割の世帯は自動車ローンを組んでもナノを購入できる資金的な余裕はなく、低所得層にナノはさっぱり売れなかった。
 皮肉にもナノを買うのは富裕層が多かったという。セカンドカーとしての需要があったからだ。もっとも、それならば無理をして低価格車の販売に注力する必要はない。高所得層に高い車を売る方が利益率は高くなる。最近は、タタも価格が100万円近い普通の乗用車に販売の重点を移しているようだ。

 ボリュームゾーンビジネスといえば新しいイメージがあるが、要は薄利多売ビジネスだ。ボリュームゾーン向けの商品開発に資金や人材を回すのはいいが、その開発コストを回収するために多量の商品を販売しなければならない。だが、そんな努力を繰り返して得られる利益はそれほど多くはない。ボリュームゾーンビジネスにはこんなワナが潜んでいるのだ。
 人口では少数でも
経済成長で豊かになってくる層を待ち構え、この層をめがけて商品を販売する方がはるかに効率的
だ。どうしても新興国のボリュームゾーンに食い込みたいのならば地元企業を買収するのが早道だろう。あるいは新興国の委託生産会社に低価格品を作らせるのも良いかもしれない。新興国市場の開拓では、ボリュームゾーンビジネスのワナにだけははまりたくないものだ。

中国の薄型テレビ出荷台数シェアの変化
NPDディスプレイサーチ調べ

ブランド名     本社所在地  シェア(%)
海信(ハイセンス)  中国 2008年 = 14.1 2010年 = 17.9  + 3.8
TCL           中国 2008年 = 9.6 2010年 = 17.0   + 7.4
創維(スカイワース) 中国 2008年 = 13.6 2010年 = 14.1 + 0.5
長虹            中国 2008年 = 9.5 2010年 = 11.1   + 1.6
康佳(コンカ)          中国 2008年 = 9.6 2010年 = 10.3   + 0.7
海爾(ハイアール)  中国 2008年 = 4.6 2010年 = 6.3     + 1.7
シャープ         日本 2008年 = 6.0 2010年 = 4.3    - 1.7
サムスン        韓国 2008年 = 6.6 2010年 = 4.0    - 2.6
ソニー        日本 2008年 = 5.5 2010年 = 3.9    - 1.6

 シャープやソニーのシェアが持ち直して、落ちてきたサムスンを抜いたり肉薄したのかと思ったら、糠喜びで、中国のメーカーがシェアを伸ばし、日本メーカーもサムスンもシェアを落とす中で、サムスンのシェアの落ち方が、日本メーカーより大きかった結果の様です。
 インドでは、2010年のシェア首位はソニー(22.1%)で、サムスン(21.3%)は2位だった。昨年は0.4ポイントだけソニーを上回り、なんとか首位(18.8%)を奪ったと言うレベルで競い合っているレベルです。

 安売りの価格競争となると、サムスンも中国やインドの地元企業には叶わないということですね。
 新興国の成長と共に得てくる所得の高い層を待って、品質で勝負する日本メーカーが、シェアの落ちは少なく、利益は得られる。そういう、戦略もあるのかと気づかされますが、中国の薄型テレビの例では日本のメーカーもシェアは落としていて、中国メーカーだけがシェアを伸ばしている現実は、決して楽観できるもものではないでしょう。組立産業の薄型テレビなどでは、品質の格差がなくなり、後進のサムスン、更にその後発の中国のメーカーなどでも、品質の格差がつけにくくなってきているという根本も忘れてはいけません。ガラパゴス化したオーバースペックは、市場が求めていない品質=売れる商品品質とは異なるという反省は、忘れてはなりません。
 売れる品質の競争へ勝つことが基本ですね。

 曲がり角に差し掛かったサムスン。曲がり角をまがってしまっている日本のメーカー。電機業界に続いて、同様の現象を迎える自動車などの他産業。新しい時代に向けて、新しい戦略をどう生み出すのか。
 今後の展開が楽しみです。頑張れ日本のメーカー。




  この花の名前は、原種チューリップ・ウイッタリー


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