遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日米がグローバルホークを共同運用して東・南シナ海の制空・海権確保へ

2013-12-02 23:58:58 | 東シナ海尖閣諸島
 中国の東シナ海での防空識別圏設定による、制空・海権獲得へ向けた野望に対抗する手段となる、無人偵察機「グローバルホーク」の配備検討が加速されています。
 

無人機情報、日米で共有 三沢に整備拠点、想定 (12/2 産経)

 日米両政府が、航空自衛隊が米空軍の無人偵察機「グローバルホーク」を導入すれば、空自と米空軍の同機が収集した情報を共有する方向で調整していることが1日、分かった。国内で機体を整備する基盤も共有し、拠点として三沢基地(青森県)を想定。広域を長時間飛行できる特徴を生かし、東シナ海での「防空識別圏」設定で示威行動を強める中国の航空機と艦艇への監視能力を高める


◆中国示威行動に対応
 
防衛省は平成26年度予算案概算要求で同機を念頭に2億円の調査費を計上、27年度にも導入
する。
 中国は東シナ海に加え、南シナ海でも高圧的な海洋進出を拡大し防空識別圏を設定することも示唆。これを受け
日米両政府は同機で東シナ海と南シナ海の海・空域を常に監視し、いつ挑発が起きても瞬時に把握できる態勢を敷くには、情報共有を確約
しておくことが不可欠だと判断した。

 米空軍は同機を運用するにあたり操縦用と情報伝達用で複数の衛星を使い分けている。事前に設定したプログラムに沿って飛行するが、マニュアルに切り替える場合があり、その際は衛星を通じ操縦信号を送信。収集した情報を米国内の地上局に伝える際には操縦用とは別の衛星を介している。
 地上局には大量の情報が集積されデータを処理・分析するには高度な専門性が必要で、機器の機密性も高い。空自は当面、衛星やデータ処理・分析を米側に依存するため、空自の情報も米側の地上局に集約され把握されることになり、公平性の観点からも米側が収集した情報の提供を求める。
 
米空軍はグアムのアンダーセン空軍基地に常駐している3機のうち1機を26年春にも三沢基地に暫定配備する方針
で、主に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺など東シナ海で情報収集にあたる。

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【用語解説】グローバルホーク
 最大飛行高度2万メートルで滞空時間は30時間。偵察衛星と同じ合成開口レーダーや高性能センサーを搭載し、弾道ミサイルの発射探知や離島侵攻での敵部隊の把握にも有効とされる。東日本大震災では東電福島第1原発の状況把握にあたった。

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 中国が東シナ海・尖閣諸島を、核心的利益と唱えて固執する目的は、いろいろ取沙汰されています。
 東シナ海のEEZ境界線のガス田を巡る攻防は、盛んであった当時は大きな脅威として捉えていました。亡き中川経産相(当時)が堂々と渡り合った時代に、日本の領土・領海・空が現実に犯されるとは、かすかな危機管理程度では語っていましたが、可能性の乏しい話だと思っていました。
 民主党に政権交代し、尖閣での漁船事件での大失政をきっかけに、一気に実現され、野田政権の強引で慌てた国有化を口実にされ、エスカレートさせてしまいました。
 つまり、地下資源が目的というのは、きっかけがそうであったかもしれませんが、乏しい量のそれが主目的ではないと考えるのが自然です。
 食糧確保のために、漁業資源を狙うのは否定しません。
 しかし、習近平が掲げる海洋強国は、米国に追いつき追い越す覇権拡大の「中国夢(チャイニーズドリーム)」なのです。太平洋を米国と二分割しようとオバマ大統領に持ち掛けたことはその顕れでしたね。
 オバマ大統領は、その席で日本と言う同盟国があると拒絶したのですが、政府や軍や専門家の中には着実にパンダハガーが増えています。「三戦」の弛まぬ戦略展開の効果です。

 台湾統合が、中共誕生以来の命題で、そのための米軍に対する接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略は、今や米国との覇権争いの戦略へと成長していますね。
 第一列島線、第二列島線内への米空母艦隊の進入拒否が具体的的な戦術ですね。
 そのための対艦弾道ミサイル(ASBM)開発が進められてきました。
 陸上を移動しながら発射できるDF-21Dがありますが、更に発射場所が探知し難い潜水艦からのJL-1(Julang-1,巨浪1号)、JL-2(Julang-2,巨浪2号 = 未配備)、DF-21D(2011年2月配備との報道有)が、抑止力として開発・配備が進められていますね。
 これらを搭載した潜水艦が、東シナ海を勇躍するために、中国は、東シナ海の制空・海権の確保を目指しているのです。
 その一貫が、沖縄の占領であり、そのとっかかりが尖閣なのです。
 日中の領有権争いに、米国は中立の立場だが、日本の施政権が及んでいる尖閣は日米同盟の適用範囲というのが一貫した姿勢です。
 つまり、日本の施政権が争われている、あるいは中国が保有してしまう状況になれば、米国は尖閣に関与出来なくなるということです。
 中国は、尖閣で領土争いがあることや、施政権=管理・実効支配を奪うか、日本が完全に管理出来ておらず中国と競り合っている状況を産み出せばいいのです。
 
 尖閣近海では、海保の巡視船も、中国の海警も、定期巡回しています。最近では、海警が日本の領海から石垣の漁船を追いだしたり、近海での中国船の取り締まりを実施して、管理=施政権の実績を積み重ね始めました。つまり、海上での施政権は両国が入り混じり始めている状況が産まれてきています。

 海がある程度目的に近づきつつあるので、次は空です。
 そこで、空の領空侵犯を実施したり、無人機の接近を段階的に実施してきましたが、尖閣上空や東シナ海上空での施政権=管理をする根拠を目指したのが「防空識別圏」の設定でした。
 なので、識別するだけでなく、飛行計画の提出と違反した場合の対処を盛り込んだのですね。
 東シナ海の制空権を握ることが目的なのですね。

 これに対抗して、東シナ海や南シナ海までカバーして、公海上の制空・海権を護るための対中抑止力が必要です。
 それを、日米が共同で実現しようというのが、「グローバルホーク」の共同運用と増強です。
 それぞれが別々に投資・維持するのではなく共同で行うことで二重投資が避けられれば、その分増強が可能になりますね。
 財政赤字で制約を受けている日米ですから、是非推進していただきたい計画ですね。
 
 ただし、安全保障の根幹をどこまで共有してよいのかという考えもある様です。
 
無人機、大綱改定の中核 データ処理、米国に依存 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 今回の防空識別圏で、当初揃っていた日米の対応が、民間機の対応では別れてしまい、中国が狙った東シナ海や尖閣の管理=施政権の実績造りに米国が協力してしまいました。
 中国は、防空識別圏設定目的の達成と日米分断のおまけつきで大喜びです。
 かつてのブレない米国は、シリアの件といい、いまはなくなってきたようです。

 機器の調達や人材育成にかかる経費をにらみつつ、いかに日本の自己完結能力を高めていくかを、日米共同推進と共に検討推進が必要となりますね。



 # 冒頭の画像は、グローバルホーク






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1 コメント

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従属宣言 (RYU)
2013-12-04 20:16:24
遊爺さま、こんばんは。

中国の戦略に対しては、アメリカをバックにして圧力を加えれば、戦前も戦後も、日本に対する最大の痛手となるもので、中国が海洋進出を狙う限り、その航路に当たる日本とは衝突するのですね。内陸部へ拠点を移転するよりも、沿岸部に集中させて、対外貿易によって、取引を進めた方が、コストが安い事から、西を見限り、東へ向かう中国の大陸移動の風は今後益々強まると思います。そうした動向の一環に、防空識別圏の拡張による、日本への圧力があるのでしょう。それは、軍事拡張のみならず、大陸を出でる経済と人間の流れにも波及する影響力のあるチャイナシンドロームとなると思います。

書かれているように、UAVについては、運用を拡大して行く必要があり、無人戦闘機の技術に対する投資は、先進技術の吸収という面で、必須だと思います。
尖閣諸島の現在の春暁などのガス田の埋蔵量は少ないようですね。だから、日本としては、黙って見ているのでしょうが、海洋研究・資源精製に関する国際機関などを沖縄に誘致して、海洋開発に対して、牽制を加えて行くべきだと思います。英国は、国際法と対話による解決を支持しているように、戦争は望んでいないので、日本には冷静な対応と、国益を失陥しない判断を、して行くべきだと思います。

チャイナ7の筆頭として、彗星の如く現れた、と評された習近平は事態を把握しているのでしょうか。日米同盟の鋼の結束を強めただけで、あちらは米韓同盟という事では、対立の構図としてはスッキリしますが、国家機密において、日米共同開発に、TPP参入を表明した韓国が参加するのでは、敵方に情報が筒抜けになります。そういう「国防レベルでの秘密」であれば、納得できると思うのですが。
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