遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

「世界第3位の経済大国」というステータスはもう日本の定位置ではなくなった

2023-10-19 01:23:56 | my notice
 2022年10月のIMF世界経済見通し(WEO)以降、「大幅に進んだ円安によって日本のドル建てGDPが顕著に縮小する」と見られていたが、いよいよ今月の改定では2023年以降、ドル建て名目GDPの絶対額に関して、日本がドイツに追い抜かれる見通しが示されたと、みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏。
 
世界第3位の経済大国は定位置にあらず、停滞するドイツにGDPで逆転間近の現実 円安で目減りしたドル建て名目GDP、為替による一過性の現象という楽観視は禁物 | JBpress (ジェイビープレス) 2023.10.18(水)
唐鎌 大輔:みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

IMF(世界通貨基金)の世界経済見通し(WEO)で、ドル建て名目GDPの絶対額で日本がドイツに追い抜かれるという見通しが示された

歴史的な円安の結果であり、日独逆転は為替変動の影響だが、成長率が横ばいの日本に対してドイツは着実に経済規模を積み上げてきてきた。そもそも今の円安が一過性という保証はない

日本とドイツの差は、為替次第でいつでも入れ替わるようなものになった。
日本は世界第3位の経済大国というステータスを守ってきたが、それも定位置ではなくなりつつある

ついに日独GDP逆転予測が

 2023年初頭から、「2023年は日独GDPが逆転する年になる可能性がある」という話題が注目を集めていた。
2022年10月のIMF世界経済見通し(WEO)以降、「大幅に進んだ円安によって日本のドル建てGDPが顕著に縮小する」と見られていたことが背景にある。

 その後、今年1月、4月、7月とWEOは更新され、
いよいよ今月の改定では2023年以降、ドル建て名目GDPの絶対額に関して、日本がドイツに追い抜かれる見通しが示された(図表①)。



 図表①で示しているように、日本のドル建て名目GDPは2021年から2022年にかけて一段切り下がっている。言うまでもなく歴史的な円安の結果であり、日独逆転は為替変動を受けた価格効果の帰結とも言える。

 過去10年を振り返っても、日独GDPの差が極端に拡大した時期(2012年前後)では円相場が史上最高値を付けていた。ドル建てGDPの比較は多分に為替変動の影響を受ける。

 こうした過去の経緯を踏まえ、今回の逆転はあくまで市況の乱高下を受けた一過性のスナップショットと考える向きもあるかもしれない。そういった主張もある程度は理解できる。

 
2012年時点のドル建て名目GDPに関して言えば、日本はドイツよりも8割弱も大きかった。それが10年余りで追いつかれ、逆転されるに至ったのである。2012年時点でこの展開を予測できた者はごく少数だろう。同じこと(再逆転)が今後10年で起きるという主張も一蹴できるものではない。

 しかし、「一過性のスナップショット」だったとしても十分大きな出来事ではある。

人口7割のドイツに抜かれるという屈辱

 2010年には日本が中国に抜かれて世界第3位の経済大国に転落するということが話題になったが、中国に抜かれるのとドイツに抜かれるのでは意味が全く異なる。

 経済成長の源泉は①労働力、②資本、③全要素生産性(TFP)だ。③が容易に変わらない以上、①と②で成長率格差は規定されやすく、人口で圧倒的に勝る国に抜かれること自体、「来るべき時が来た」という側面もある。

 この点、日本の人口は1億2462万人であるのに対し、中国は14億1140万人、米国は3億3514万人と日本より経済規模の大きな国は人口規模もはるかに大きい(人口は2023年10月のWEOで使用されている前提と同じもの)。

 これがそのまま①労働力の格差になるのだから、名目GDPの規模で中国や米国と競うこと自体がそもそも難しい。

 しかし、
ドイツの人口は8389万人であり、日本の7割弱にとどまるそれほどの人口差を持ちながら経済規模で抜かれてしまうという事実は、それなりにショッキングである。

 上述の①~③で言えば、
近年の日本は①労働力の縮小が低迷の主因と指摘されてきたそれでも人口が多い分、①労働力で優位にあるはずの日本がドイツに抜かれてしまったということはやはり②資本や③全要素生産性(TFP)の劣化が著しいという可能性を示唆する。

 もちろん、ドル建てで比較している以上、多少の変動は割り引く必要はあるが、
「為替要因なのでドイツとのGDP逆転は問題ない」という話にはならないだろう。

円安による影響と一蹴できないこれだけの事情

 
第一に、両国の差は確実に詰まってきたという経緯があった

 図表①を見ても分かるように、1990年代後半以降、日本のドル建てGDPがはっきりと拡大したのは2008~2012年の5年間に限られており、これはリーマンショック後の超円高局面と完全に符合する。
基本的に為替変動がなければ日本のGDPは横ばいが基本だった。

 
一方、ドイツは着実に右肩上がりで規模を積み上げてきた。そうして積み重なった「地力の差」に2022年以降の歴史的な円安相場が加わったことで、たまたま2023年、日本の背中を捉えるに至ったというだけの話だろう。

 大きな
円安がなかったとしても両国の差は徐々に縮小する傾向にあったことは忘れてはならない

 
第二に、円安が一時的という保証はない

 今回の日独GDP逆転を「為替の価格効果(円安)を受けた一時的なもの」という評価は論者によってはあるかもしれないが、それには「円安は一時的」という前提が必要である。

 しかし、過去の本コラムへの寄稿を通じて執拗に論じている点ではあるが、本当にそうなのだろうか。

 
パンデミック直前(2019年末)と2023年8月末で比較した場合、名目実効為替相場(NEER)で約▲23%実質実効為替相場(REER)で約▲30%も下落している。ちなみに、同期間の円は対ドルで▲30%以上下落している。

 
これほど下落した通貨は世界でも極めて稀だ。少なくとも国際的な準備通貨の目安と見なされるIMFの特別引き出し権(SDR)構成通貨(米ドル、ユーロ、人民元、日本円、英ポンド)では他の追随を許さない弱さである。

 その背景は過去の本コラムへの様々な寄稿を参照していただきたいが、著しく切り下がった水準が円の新常態だとした場合、ドイツを下回る名目GDPもまた、日本経済の新常態ということになる。

【参考記事】
円安はもはや構造的、「史上最大の経常赤字」から何を読み解くべきか 貿易サービス収支の大幅な赤字に見る日本経済の構造変化 | JBpress (ジェイビープレス)

日本経済に埋め込まれている巨大な円売り余地、炸裂すれば今以上のインフレに 「貯蓄から投資」の副作用、高齢者の外貨建て投資が10%増で110兆円の円売り | JBpress (ジェイビープレス)

終わらない円安基調の正体、過去高水準「日本に戻ってこない円」をどう見る? 32年連続世界最大の対外純資産国も、対外直接投資の増加は円買いにつながらず | JBpress (ジェイビープレス)

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日独GDP逆転に際して議論すべき論点は多いが、まず行き着くのは「円安は一時的なのか?」という、目下、注目されるテーマにならざるを得ない

「世界第3位の経済大国」は定位置ではない

 もちろん、
今やドイツも「戻って来た病人(the sick man returns)」と言われるほど凋落しており、中国やロシアにベットし過ぎたツケを払うという厳しい状況に突入しつつある。

 それが日本よりも深刻な状況かどうかはさておき、ドイツの長期停滞説を唱える声は確かに強まっている。とすれば、「為替次第では再逆転も……」と考える余地も理解はできる。
しかし、少なくとも言えることは、両者の差は為替変動次第でいつでも入れ替わるものになってしまったということだろう。

 米中に次ぐ「世界第3位の経済大国」というステータスはもう日本の定位置ではなくなっており、その背景に著しく切り下がった円の水準という論点があることを認識すべきだろう。
それは過去3年間で起きた、かなり大きな変化の一つである。


 2012年時点のドル建て名目GDPに関して言えば、日本はドイツよりも8割弱も大きかった。それが10年余りで追いつかれ、逆転されるに至ったと、唐鎌氏。

 経済成長の源泉は①労働力、②資本、③全要素生産性(TFP)だ。③が容易に変わらない以上、①と②で成長率格差は規定されやすく、人口で圧倒的に勝る中国に抜かれたこと自体、「来るべき時が来た」という側面もある。

 しかし、ドイツの人口は8,389万人であり、日本の7割弱にとどまる。それほどの人口差を持ちながら経済規模で抜かれてしまうという事実は、それなりにショッキングであると、唐鎌氏。

 近年の日本は①労働力の縮小が低迷の主因と指摘されてきた。それでも人口が多い分、①労働力で優位にあるはずの日本がドイツに抜かれてしまったということはやはり②資本や③全要素生産性(TFP)の劣化が著しいという可能性を示唆するとも。

 「為替要因なのでドイツとのGDP逆転は問題ない」という話にはならないだろうと。
 第一に、両国の差は確実に詰まってきたという経緯があったと、唐鎌氏。
 
 1990年代後半以降、日本のドル建てGDPがはっきりと拡大したのは2008~2012年の5年間に限られており、これはリーマンショック後の超円高局面と完全に符合する。基本的に為替変動がなければ日本のGDPは横ばいが基本だった。

 一方、ドイツは着実に右肩上がりで規模を積み上げてきた。そうして積み重なった「地力の差」に2022年以降の歴史的な円安相場が加わったことで、2023年、日本の背中を捉えるに至った。
 大きな円安がなかったとしても両国の差は徐々に縮小する傾向にあったことは忘れてはならないと、唐鎌氏。

 第二に、円安が一時的という保証はない。
 パンデミック直前(2019年末)と2023年8月末で比較した場合、名目実効為替相場(NEER)で約▲23%、実質実効為替相場(REER)で約▲30%も下落している。ちなみに、同期間の円は対ドルで▲30%以上下落している。
 これほど下落した通貨は世界でも極めて稀だ。
 IMFの特別引き出し権(SDR)構成通貨(米ドル、ユーロ、人民元、日本円、英ポンド)では他の追随を許さない弱さだと、唐鎌氏。

 日独GDP逆転に際して議論すべき論点は多いが、まず行き着くのは「円安は一時的なのか?」というテーマ。
 今やドイツも「戻って来た病人(the sick man returns)」と言われるほど凋落しており、中国やロシアにベットし過ぎたツケを払うという厳しい状況に突入しつつあるのだそうです。
 しかし、少なくとも言えることは、日独両者の差は為替変動次第でいつでも入れ替わるものになってしまったということだろうと、唐鎌氏。

 米中に次ぐ「世界第3位の経済大国」というステータスはもう日本の定位置ではなくなっており、その背景に著しく切り下がった円の水準という論点があることを認識すべきだろうとも。

 繰り返しになりますが、経済成長の源泉は①労働力、②資本、③全要素生産性(TFP)で、①労働力で優位にあるはずの日本がドイツに抜かれてしまったということは、②資本や③全要素生産性(TFP)の劣化が著しいという可能性を示唆するとの唐鎌氏のご指摘を注目すべき。

 財務省の操り人形で、"増税メガネ"の岸田首相。一転して、減税や給付金を唱え始めましたが、泥縄感丸見え。
 「聞く耳」が売りでしたが、「けんとうし」と揶揄される様に、具体的骨のある経済政策は?

 民主党政権が、「製造業の六重苦」に追い込んで崩れ行く日本を救ったのは、「アベノミクス」を掲げた安倍氏。
 岸田氏に代わって、日本経済を再浮上させるリーダーは、誰なのでしょう。。



 # 冒頭の画像は、経済の低迷で「戻ってきた病人」と揶揄されるドイツ



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