遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

海自と露海軍が北極海での海洋安全保障分野での協力を合意

2013-04-25 23:46:32 | ロシア全般
 安倍総理の訪露が注目されていますが、北極海での海上自衛隊とロシア海軍による共同捜索・救難活動の実施など海洋安全保障分野での協力で合意する見込みなのだそうですね。
 東アジアと欧州を繋ぐ航路として北極海航路が注目され、中国の進出に対するロシアの警戒心が強く、北極海での日露の海洋安保協力にはロシア側が強い関心を示しているのだそうです。
 

日露共同で北極海救難 中国牽制 領土交渉の軟化促す (4/25 産経)

 
安倍晋三首相が28日からのロシア訪問時のプーチン大統領との首脳会談で、北極海での海上自衛隊とロシア海軍による共同捜索・救難活動の実施など海洋安全保障分野での協力で合意することが24日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。

 地球温暖化による海氷減少により北極海航路の開発が進む中、ロシアは中国の北極海進出に神経をとがらせており、日露間の協力を強化することで中国を牽制(けんせい)する狙いがある。日本側には、北方領土交渉でのロシア側の軟化を促す思惑もある。
 日露関係筋によると、
北極海での海洋安保協力にはロシア側が強い関心
を示している。日露首脳会談では捜索・救難活動を中心に協力を深めることで合意する見通しだ。
 日露両国はその後も、北極海での協力分野を広げていき、将来は北極海だけでなく、北極海航路への入り口として戦略的な重要性が高まっているオホーツク海での警戒監視活動での協力にも発展させる。
 ロシアは、既存航路に比べて欧州と東アジアの距離を大幅に短縮でき、海賊問題もない北極海航路の開発や、北極海での天然ガスや石油などの資源開発を重視している。日本も、宗谷海峡や津軽海峡が北極海航路への経路となることからロシアと安全保障上の懸念を共有する立場にある。
 これに対し
中国は、昨年7~9月、砕氷船「雪龍」で北極海を往復する航海を実施。さらに、アイスランドやスウェーデンとの外交関係を強化するなど北極海進出の動きを強めている


 防衛省のシンクタンク、防衛研究所が3月に公表した「東アジア戦略概観」は「
ロシアが安全保障面で中国の動きを警戒
する新たな要因」になったと指摘したほか、ロシアが北方領土の軍備増強をさらに進める可能性に触れた。
 外務省も中国の北極海への進出を「日本にとっても戦略的に重要な課題」(幹部)ととらえており、3月には西林万寿夫文化交流担当大使に「北極担当」を兼務させるなど北極海をめぐる問題への取り組みを強めている。


 温暖化で北極海の氷が解けて北極海航路が開けることは、喜んでいいのかは躊躇する気持ちがぬぐえませんが、資源開発や航路開設へのビジネスが国益をかけて盛り上がっていることは諸兄がご承知の通りです。
 北極海に面している国々は当然ですが、何故か中国が北極海には面していないのに意欲を燃やしています。北極海に面している国の土地を買収したり、投資したりして進出しようとしているのです。
 このことに、極東での中国からの人口流入で悩むロシアが警戒心をいだき、日本との連携で中国を牽制しようとしているのですね。
 北極海の権益には直接関与するチャンスが薄い日本ですが、アジア側の出入り口の航路に面する日本としては、海洋安全保障面では影響がおおいにあることではあります。
 
 東シナ海、南シナ海~インド洋にかけてのシーレーンを制しようとする中国。日本は中国の様に軍事力で制圧はしませんが、事故による救難活動や海洋汚染から漁業を護る必要があります。
 この点では利害が一致するロシアと連携することは必要です。
 そして、その連携が出来れば、日本にとってもロシアと同様に対中牽制力の増強になります。

 三島返還論で物議をかもした森氏も、安倍総理の今回の訪露で北方領土の進展まで求めるのは無理。まずはトップ同士が長期安定政権の足場に立ち、お互いが信頼できる人間関係の構築が先で、今回は人間関係造りのスタートで良いと言っています。

 それもそうですが、遊爺はロシアが、主力ガス田の枯渇に伴い、極東や北極圏の極寒の地での新規開発に迫られていることや、欧州諸国の脱露依存とシェールガスの登場による、販売減や市況の軟化といった苦しい台所事情を抱え、日本に接近している今、焦って話を進めるのではなく、ロシアが折れて来るのを待つべきだと唱えてきています。なので、安倍総理や同行する実業団には、安易に近視眼的利益に飛びつかないで、中長期の国益を考えて交流していただくことを願っています。

 終戦のドサクサで条約を裏切って北方領土を不法占拠したロシア。サハリン1, 2の開発では、開発リスクを日本を含む外国企業に負わせ、収穫の目途がついたら難癖をつけ、投資比率の変更を強制し横取りした経験を忘れて、同じ過ちを繰り返してはいけません。



 # 冒頭の画像は、森氏とプーチン氏が左手で組み合いながらも右手では握手する、針すなお氏の風刺漫画を観ながら談笑する両氏




  この花の名前は、山茶花



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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交





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