遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

【続】純国産戦闘機「心神」が来年 1月初飛行

2015-01-16 23:58:58 | 日本を護ろう

 「先進技術実証機」(通称心神)が今年 1月、初飛行するとの報道が昨年なされていました。
 既に 1月中旬となりましたが、実施の具体的な報道に接することは出来ていません。本年は、民間ではMRJの初飛行、ホンダジェットの米国における型式取得など、日本の航空機業界では大きな前進が予定されています。
 その中では、国産戦闘機はもっともハードルが高そうですが、戦闘機は防衛戦力の要であり、国産化は悲願で、是非成就して欲しいのですが、何故国産化が必要なのかを、元第2師団長の久保善昭氏が説いておられますので、備忘録としてアップさせていただきます。

 
純国産戦闘機「心神」が来年 1月初飛行 - 遊爺雑記帳
 

ついに始まった日の丸戦闘機開発、防衛以外の利点も 周辺国だけでなく米国にも技術力を誇示、産業力強化にも貢献:JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.01.16(金) 久保 善昭

 
政府は、将来戦闘機の国産化を推進するという方向性を打ち出した。航空自衛隊発足以来60年、国策として、その機運が生まれたことに賛意を表し応援したい。国家防衛の主力となる装備は自らの技術で製造、装備、運用するのが大原則である。

日本期待の実証機「心神」
 将来戦闘機の第1歩として、本年、先進技術実証機(ATD―Adovanced Technological Demonstrator)が初飛行する。研究費用として400億円あまりが計上されている。
 実証機の愛称は「心神」という。心神とは、富士山の別名とも言われ、実証機を日本の霊峰になぞらえて、このプロジェクトに形だけではなく日本の魂を注ぐという開発者たちの意気込みが、ひしひしと伝わってくる。
 
実証機の目的は試験用「エンジン」のテストである。これは、将来戦闘機のモデルになるもので、セラミック複合材を世界に先駆けて使用した高圧タービン、燃料装置などを含んだ軽量、小型で、かつ推力の高いエンジンを目指す。
<中略>


画期的な技術が使われている実証機
 
実証機のエンジンは画期的な技術が応用されている。タービン部品にセラミック複合材を使用する。これはニッケル合金より軽く、タービン入口部分は1400℃の耐熱性があり、これにより、重量当たりの推力と燃費を向上させるものである。
 その他、国産戦闘機開発のための主な技術として、機体構造、操縦制御、火器管制・捜索レーダーなどのアビオニックス、ミサイル・機関砲などの武装、ステルス性がある。これらは、すでに我が国が蓄積した技術を深めれば十分に対応できる。なかでも、ミサイルのシーカー技術は世界をリードしている。
 米国が技術流出を恐れるステルス性について、機体の構造、使用する素材などの分野では我が国で対応可能だが、実物規模の実験設備は他国のものを借用せねばならない場合があろう。
 以上のように、歴史的にも課題であった
エンジン開発が可能になれば国産戦闘機開発の技術的な問題はクリアーできる。


 次に運用面から
国産戦闘機のメリットを挙げたい。
 
第1は、戦闘機は航空自衛隊のみならず自衛隊全体の主力装備であり、その性能は、我が国の統合された防衛戦略、すなわち戦い方に最適のもの
でなければならない。
 言うまでもなく専守防衛、厳密な自衛にのみに実力行使が許されるという防衛戦略にのっとった性能を目標とすべきである。

戦わずして勝つための戦闘機
 その前提に立てば、零戦のような万能汎用戦闘機ではなく、屠龍(二式複座戦闘機、B-29に対する防空戦闘に戦果を挙げた)のような
局地防空に性能の重点を指向できる。
<中略>


 これらの性能を有する戦闘機を日本の技術で開発、装備、運用することは
「技術抑止力」すなわち「戦わずして侵略意図を破砕できる」ことになる。また、ステルス性能の実験施設の利用を拒んだ米国にも一目置かせることになる。

 
第2は、調達から運用、整備さらに用途廃止(いわゆるライフサイクル)まで我が国の状況に応じて計画できる
ことである。
 戦闘機の稼働率を上げ「有事即動態勢」を確立するには、何と言って自らの手で運用することに尽きる。特に、戦闘機は、有事に際し緒戦を決する装備であり、平時の準備が肝要である。
 さらに、改善改良などにおいても、輸入装備などの、いわゆるブラックスボックスがなく運用者の要求に応じて軽易に実施できる。ステルス性能などは、今後材料の進歩によって改良が頻繁に行われるであろうが、それに迅速に対応できる。

 
第3は、民間産業へ波及効果
である。
 戦闘機を国内開発するならば、見積もりの開発費は6000億~7000億円に及ぶプロジェクトであり、その
経済波及効果は8兆円、雇用創出24万人が推算される
。航空機の部品は約300万点と言われ、民間企業における裾野の広がりは大きい。

自衛隊員の士気向上に大きく貢献
 また、技術転用の分野では、アビオニックスは自動車の無人操縦、機体の炭素複合材は、あらゆる構造物の軽量、強靭化につながる。

 
第4は、運用者の士気の問題である。およそ現場のパイロットをはじめとして国産戦闘機で防衛任務に当たるというのは誇り高きことであり、士気旺盛に訓練に精進できる。
<中略>


 
国産戦闘機の独自開発には各界から懸念される論評もある
 
その1つは、すでに触れたが開発費用高騰の問題である。2030年代装備化するとして開発費用は6000億から7000億円と見積もられるが、物価上昇など諸般の事情を考慮すれば1兆円以上になると推算される。
 開発費用の高騰を避けるため国際共同開発を推奨する識者も多い。
 開発費を抑制することは当然のことではあるが、日本防衛の緒戦を決するという主要装備の特性上、その性能が、日本の防衛に適合し、さらに世界に冠たるものでなければ意味がなく、「技術抑止」にもつながらない。

防衛のために必要な有人戦闘機
 主力装備は費用の問題ではなく
確固たる国家防衛意思を内外に示すもので
あることを忘れてはならない。
 また、開発費用だけでなく、装備単価、装備化後の整備、改修など運用コストを含んだライフサイクルコスト全般を考慮した費用対効果を考えるべきである。

 
その2は、有人戦闘機は時代遅れ
という論評である。
 すでに無人航空機は実用に供され、人的な犠牲を避ける意味からも有力な意見である。無人航空機は、捜索、偵察などの任務では画期的な成果を上げているが、爆撃など攻撃の装備としては、
誤爆、友軍相撃などが問題視
されている。

 
我が国の防衛は、専守防衛という戦略から、最悪の場合、着上陸、領土侵入を許すことを覚悟せねばならない。国土戦の場合、国民、自衛隊、侵入軍が混在し、刻々と戦線が流動化する。
 このような状況では、パイロットの最終判断、確認が極めて重要である。

 
こうした戦闘様相から、我が国の戦闘機は有人であるべしと考える。また、平時における領空侵犯対処においても慎重な対応が不可欠で、最終的な敵味方識別はパイロットによる確認が必要である。

 
その3は、武器輸出の問題
である。

自国の防衛用に限定し他国へ供与しないことが望ましい
 先進技術実証機の試験飛行が所期の成果を挙げ、第6世代と言われる国産戦闘機が開発できたとすれば、これの輸入を希望する国が出現することが予測される。

<中略>


 現在、従来の武器輸出禁止から防衛装備移転三原則の閣議決定により装備品の輸出や国際共同開発が緩和の方向にある。この中で一部政治家や産業界から経済活性化の一環として武器を輸出すべきという意見もあるが、これによって豊かさや繁栄を追求することは、道義的な立場から慎重な検討が望まれ、国民の幅広い意見を求めるべきであろう。

<中略>

 最後に、老婆心ながら、研究開発段階における安全管理の徹底を要望する。
 そのため、シミュレーション技術を駆使してあらゆる角度から事前の研究を行うことが必要である。最終的に、実際条件、環境の試験が行われるのは当然であるが、零戦開発時のようなテストパイロットの犠牲を出してはならない。

 
本年は、民間ではMRJの初飛行、ホンダジェットの米国における型式取得など航空元年と言われる。
 日本防衛の要につながる実証機の飛行試験に大いなる夢と希望をかけたい。


 国産戦闘機のメリットは、専守防衛という我が国特有の制約条件に適合した性能を持つ戦闘機開発が出来る。ライフサイクルを自国の状況に応じて計画出来る。民間産業への経済波及効果は8兆円、雇用創出24万人が推算される。運用者の士気が上がるとの4点をあげておられます。
 現状では米国の都合で、納期が大幅に伸びたり、価格が高騰したりで、日本が計画しているFXの導入計画が狂っていることは、諸兄がご承知の通りです。

 一方で、独自開発への懸念の声があります。開発費用高騰、有人戦闘機は時代遅れ、武器輸出の問題ですが、久保氏は、日本の事情に適合した「技術抑止」の必要性、戦闘様相からの有人機の必要性を説き、他国への供与については否定的考えを述べておられます。

 未だ先の長い国産戦闘機開発の道のりですが、今月に予定されていた「心神」のテスト飛行が予定通り実施され、成功することを願っています。


 

 # 冒頭の画像は、昨年7月に公開された「心神」






  この花の名前は、ハルジオン




政府広報(北方領土問題) - YouTube


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