遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

国務次官演説に見るオバマ政権の中国偏重ぶり

2015-03-04 23:58:58 | 日本を護ろう
 シャーマン米国務次官の戦後70年をテーマにしたワシントンでの講演での日本と中韓の対立に関する発言が、日本よりであるとして韓国で反発を招き、国務省が対応に追われる顛末がありました。
 ところが、自らの歴訪についての演説は、オバマ政権の中国寄りの偏重姿勢を現したものだと、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏は語っています。
 一時蔓延したオバマ政権内のパンダハガー勢力は、中国の力による覇権拡大路線に気づき、最近は減ってきたと感じていましたが、古森氏は中国偏重のオバマ政権として警戒を訴えています。
 
韓国反発「日本寄りだ」に戸惑い 国務次官発言で米政府「特定の指導者へのものでない」 - 産経ニュース
 
日本は付け足し、国務次官演説に見るオバマ政権の中国偏重ぶり 尖閣問題に関してはあくまでも「第三者」、日米同盟はどこへ?:JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.03.04(水) 古森 義久

 
米国オバマ政権のウェンディ・シャーマン国務次官が自らのアジア歴訪について演説し、その内容が日本の主要メディアでも報道された。
 同次官は演説のなかで、歴史問題や領土問題について日本、中国、韓国に対して均等に助言を与えるような発言をした。だが、全体としては
中国を重視し、日本は後回しという姿勢をにじませた日米同盟に基づいて日本の防衛を誓約することよりも中国との関わりを強調
するという、オバマ政権の従来の路線を反映しているとも言えそうだ。
 シャーマン次官はこのほど北東アジアを、
中国、韓国、日本という順番で歴訪
した。そして、ワシントンに戻った直後の2月27日、カーネギー国際平和財団でアジア歴訪の総括について演説した。
 日本の主要メディアは、主にこの演説の歴史問題に関する部分だけを取り上げて報道したが、演説全体の構成や表現という観点から検証すると、
オバマ政権の対アジア政策の傾向
が浮かび上がる。今回のシャーマン演説のポイントを具体的に見ていこう。

最後にされた日本訪問
 
第1は、シャーマン次官がアジア3国を語る順番である。

 同次官は、中国、韓国、日本という順に訪問した。だから演説でも中国、韓国、日本という順に話を進めた。だが、この歴訪の
順番自体が、従来の米国の政府高官や連邦議員の北東アジア訪問の慣例とは異なる
 
共和党のブッシュ前政権では、政府高官が歴訪する順番は、同盟国を重視する大前提からまず日本
だった。そして韓国、その後に他の友好国あるいは同盟国、さらに中国を訪問対象に含めるならば、ほとんどの場合「最後に中国」という順番だった。その順番が変わることはほとんどなかった。
 
オバマ政権ではその順番が変わり、閣僚級でも北東アジア訪問の際に日本を最初の国に選ばないケースが相次いだ。だがオバマ政権の期間中でも、日米同盟の重視を強調する共和党側では、ここ1~2年の間にジョン・マケイン、マルコ・ルビオ、ボブ・コーカー各上院議員らが個別のアジア諸国歴訪でみな日本を最初に訪れた
。いずれも、上院の外交委員会や軍事委員会で主導的立場にある議員たちである。特にコーカー議員は外交委員長を務めている。
 歴訪諸国の順番はとりたてて意味がないという見方もある。しかし、外交ではこの種のシンボリズム(象徴性)が重要だとする考えが一般的である。
 しかも
シャーマン演説は、米韓両国間の貿易関係や同盟関係を強調した後に、「韓国と同様に、日本も米国の同盟国であり、緊密な友邦である」と、いかにも取ってつけたような表現で日本についての言及
を始めたのである。

尖閣問題については第三者の立場を崩さず
 
第2には、シャーマン次官が3国についてそれぞれ語った分量
である。
 演説の記録を見ると、同次官が
中国について語った分量は約50行、それに対し日本については29行である。もちろん言葉の分量だけで外交政策の重要性を判断することはできない。だが、この種の公式演説では有力な指針となる
場合が多い。
 韓国についての演説部分は20行以下だったが、日本に関する部分のうち15行ほどは、イスラム過激派「ISIS」(いわゆるイスラム国)による日本人人質殺害事件についての慰めや助言の言葉だった。同盟相手である日本との特別な絆や、日本の国際平和への貢献への言及はほとんどなかった。
 
第3は、尖閣諸島に関する同盟国らしくない言辞
だった。尖閣諸島の問題についてシャーマン次官は次のように述べていた。
 「私たちは近年、日本が施政権を保つ一方で、中国がかつての中華体制の一部だと主張する尖閣諸島をめぐる緊迫した状況を見てきた。日本は中国の急速かつ不透明な防衛強化を警戒している。中国側は、日本の防衛政策のいかなる変化にも神経を尖らせている」
 以上の発言は、
米国としての自主的な立場をつゆほども述べていない「尖閣諸島を日米安保条約の適用範囲とする」という米国の重大な政策にも触れない

 尖閣諸島はかつて米国が施政権を保ち、沖縄とともに日本に返還した。その際、日本の領有権までも暗黙に認めていた。しかしそうした経緯は完全に無視されている。
 しかも
オバマ政権は尖閣問題に関して「現状を非平和的な方法で変えようとする試みには強く反対する」という立場を表明しているのに、中国側が日本の尖閣領海に一方的かつ頻繁に侵入してくる事実もまったく無視
しているのだ。
 
シャーマン演説も、尖閣問題に関して米国はまったくなんの関係もない第三者である、という姿勢
であり、同盟国らしい対応は影も形も見せていないのである。

オバマ政権にとって日米同盟とは一体なんなのか
 
第4は、シャーマン次官の中国に対する宥和的な言辞
である。
 同次官がこの演説で
最も熱心に説いたのは、米国の中国に対する関与政策
だった。「米国の対中政策は、ニクソン政権からオバマ政権まで一貫して、関与することの重要性を保ち続けることだった」「米中関係は成熟するにつれ、両国の指導者たちが率直に意見を述べ合う能力を身につけた」という調子である。
 中国の人権弾圧や自由の抑圧についても触れていたが、「米国側はこれらの問題を提起するが、それは歴史上、人権を尊重する国のほうがより繁栄するからだ」と決して強い口調の非難ではなかった。
 いま東アジアにおける
国際緊張の最大要因ともなっている中国の大規模な軍事力増強に対しては、米国としての批判はなにも述べなかった。前述のように「日本が警戒している」というだけで、まったく他人事
というふうなのである。
 このあたりにも、
「中国に対してはとにかく対立や非難を避ける」というオバマ政権の基本路線が露わ
となっていた。そして、中国の歴史的な規模の軍拡と野心的な領土拡張に対して日本側が少しでも防衛力を強化しようとする動きに対しても、米国にとっては無関係であり、どちらかといえば好ましくない事態のような反応を見せていた。
 要するに
シャーマン演説は、米国が日本の同盟パートナーであり、中国の危険な軍事攻勢に日本と共同で対応する、というような構えを感じさせない
のである。「オバマ政権にとって日米同盟とは一体なんなのか」という疑問さえも沸き起こってくる。

 オバマ政権の残り任期は1年10カ月ある。日本としてはまだまだ同盟相手として依存し、さまざまな協力を仰ぎ続けなければならない。その相手の
対日政策、対中政策には、歴代の米国の政権とはかなり異なる、こうした特異性があることを改めて認識しておくべきだろう。

 韓国の反発騒動と、古森氏のオバマ政権中国偏重姿勢露呈論。シャーマン国務次官は、話題を提供する演説をされるかたなのでしょうか、聞いた人達の解釈が被害妄想なのでしょうか、戸惑う違いですね。

 古森氏が指摘される、オバマ政権の対アジア政策の傾向が浮かび上がるシャーマン演説の4つのポイントについて見てみましょう。
 1つ目は、日中韓について語ったり訪問する順番。
 共和党政権時代は、日本、韓国、中国の順で同盟関係を重視した。それは、野党の現在でも変わっていないが、オバマ政権に変わってから順番が変わったとの指摘です。
 キッシンジャー国務長官時代に、米中頭越し外交が衝撃を与えましたので、オバマ政権が初めて日本を軽視したというわけではありませんが、輸出を増やして国内の雇用状況を回復させるというオバマ政権の柱の政策の一つの為に、中国向け輸出に頼っているのは事実で、クリントン長官時代に、安全保障面でアジア回帰を唱え、中国包囲網を構築しかけましたが、その後輸出優先のスーザン・ライス補佐官に代表されるパンダハガーがはびこったのは事実ですね。
 シャーマン国務次官がパンダハガーで、国務省やオバマ政権全体が、今も未だ中国偏重外交なのかを、この順番で判断できると言う話です。

 2つ目は、話される所要時間での判断。
 3つ目は、日米安保に係る重要なポイント。クリントン国務長官時に明確化された、尖閣は日米安保の適用範囲という政府見解。
 中国は、この条件である実質管理下にあることを崩そうと、「海監」の定期巡回と、漁船の立ち入り管理を定常化する実績を積み重ね、頻度や、艦船数増加のレヘルアップを進めています。
 シャーマン国務次官が、米国はまったくなんの関係もない第三者である、という姿勢で、中国側が日本の尖閣領海に一方的かつ頻繁に侵入してくる事実もまったく無視しているのがオバマ政権の姿勢と、古森氏は指摘しています。
 尖閣は日米同盟の範囲だが、領土問題には中立というのがオバマ政権の姿勢であることはクリントン長官時代もそうでした。「海監」の進入や、軍艦の示威活動、防空識別圏の一方的設定に対するオバマ政権の腰が引けた姿勢は、同盟国として頼りにならないところはありますが、普天間移設反対などの日本国内の、自国を自分で守る姿勢の欠如という基本姿勢に問題点があります。
 
 4つ目は、シャーマン演説は、米国が日本の同盟パートナーであり、中国の危険な軍事攻勢に日本と共同で対応する、というような構えを感じさせないという古森氏の指摘。
 3つ目同様に、日本側の、自分の国を自分で護る姿勢。国際協力をして世界の平和を守るという姿勢の欠如という根本問題が原因です。
 共に行動している国の軍隊や艦船が敵国に襲われても、手助けしないけど、日本は護ってもらう。片務な集団自衛は世界の非常識です。自国の若者を、はるばる遠い国に命をかけて派遣していて、その国がその若者を邪魔者扱いするどころか、攻められても共に闘わない様な国に、真剣に同盟行為を考えるか、答えは簡単ですね。

 ただ、安倍内閣は、その片務条約状況の改善を進めようとしています。
 中国の軍事力の台頭は、米国を凌ぐ勢いで、米国といえども、今後は多国連合での対抗が必要な時代を迎えます。
 アジア、太平洋では、日米の他、豪印を含めた連携が必要です。
 米国に何を頼むかではなく、これらの諸国と連携しながら、日本はどのような役割を果たすのかが問われます。期待される役割を担って、片務条約ではなく、対等な条約に変革してこそ、日本の戦後が終わる時がくるのですね。



 # 冒頭の画像は、ウェンディ・シャーマン国務次官




  この花は、千日紅の白花


↓よろしかったら、お願いします。






Fotolia






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3月3日(火)のつぶやき | トップ | 3月4日(水)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本を護ろう」カテゴリの最新記事