遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

関電15%電力削減 企業や橋下知事の反応はネガティブ

2011-06-15 00:43:44 | 東日本大震災
 東電圏の電力削減は、震災で帰宅難民経験があったり、計画停電での苦汁経験を経て政府が「電力使用制限令」を発したこともあり、経済界も家庭も協力的に進められています。一方の関西電力は、予測されていたはずの点検停止中の原発再起動の困難さが、浜岡原発の停止により一段と難しくなったなか、政府の再起動に向けた安全指針の策定・徹底不足が致命傷となり再起動に向けた動きが進んでいないことは諸兄がご承知の通りです。海江田氏は各地に説得に回ると言っていますが、実行されたというニュースを遊爺はみかけていません。
 原発依存度50%とされる関電が、今夏の節電を言い出すのは当然で、むしろ遅すぎたくらいですが、関西の企業や橋下知事はネガティブな反応を示していますね。
 企業や経済界の反応
 

15%要請企業は困惑 「予想外」「態勢再検討」 (6/14 朝日朝刊)

 
関西電力が大口需要先への節電要請を始めた13日、関西の企業では改めて困惑や不満が広がった。
 「7月からの実施まで2週間しかない」と焦りを隠せないのは、医療機関向けの酸素などを製造する産業ガス大手のエア・ウォーター(大阪市)。プラント内で空気を分解してガスを取り出すが、製造コストの半分を占めるのが電力だ。
 東日本大震災で被災した東日本では2カ月近くかけて節電策をまとめたが、
西日本での節電は予想外で、全く検討していなかった
という。
 各企業が不信感を抱くのは、関電が示した15%の根拠だ。
 当初から不満を表明していたシャープは、関電からの申し入れがあった場合、大型液晶パネルの主要工場である堺工場など
24時間フル稼働を原則としている工場の適用除外を求める
考えだ。
 生産活動の「西日本シフト」にも暗雲が立ちこめる。
 アサヒビールは東京電力管内の工場の減産分を西日本で補うため、今夏に予定していた西宮工場の閉鎖を1年延期することを決めていたが、
思わぬ節電要請に「生産態勢を再検討
しなければならない」(広報)と頭を抱える。全国の消費地近くにビール工場を持つため、電力各社が要請を始めれば、その都度振り回される恐れもある。

京都経済4団体節電目標15%に 関電要請うけ合意

 京都商工会議所、京都経営者協会、京都経済同友会、京都工業会の京都経済4団体は13日、トップ会談を開き、夏場の消費電力を昨夏比で15%削減する目標で合意した。定期検査中の原発の再稼働が危ぶまれるなか、京都産業界としてもピーク電力の抑制が必要と判断した。
 関西電力が7月から企業や家庭に15%程度の節電を呼びかけることを受けたもの。節電期間は、関電の要請に基づき、7月から9月22日まで。目標達成に向け、各会員企業に具体的な節電対策を今月24日までに提出してもらう。(堀田浩一)

 「予想外で全く検討していない」「思わぬ節電要請」などは、原発停止が主因で計画停電を実施したり、夏の節電を当時から心配していた東電や東北電力のことを、他人事として傍観していた無能さを吐露しているものでしょう。西日本からの融通が限定されるため、当面の節電が必要なかったことも緩みを生じたかもしれません。
 それは、関西の企業だけでなく、東電圏内から、関電県内への疎開を進めた企業にも言えることです。
 「他人事として傍観していた無能さ」は言い過ぎで、政府の浜岡以外の原発は稼働との言葉を信じたということなのでしょうか?だとしたら、カンカラ菅を信じた自業自得でご愁傷様と言うしかない...。

 15%削減に協力できないとしている橋下知事ですが、河瀬敦賀市長からの「電源供給地にどんな思いを持っているのか」「どんな時間軸で新エネルギーに代替するのか」といった公開質問状に答えを出したのだそうです。
 

「原発考える契機」「地域のため、本末転倒」 橋下知事、敦賀市長へ回答 (6/14 朝日朝刊)

 
「電力の多くを原子力に依存する現状を考えるべきだ」。大阪府は13日、原発が立地する福井県敦賀市長から橋下徹知事宛てに届いた「公開質問状」に対する回答(10日付)を公表した。橋下氏は回答で、原発の新規建設や老朽原発の稼働延長の中止を求める持論について「反原発を唱えているわけではない」「電力の需要と供給のあり方を、住民が考えるきっかけにしたい」と理解を求めた。

 商業炉2基などが立地する敦賀市長の河瀬一治氏は2日付で、「脱原発」や節電を掲げる橋下氏に対し、「電源供給地にどんな思いを持っているのか」「どんな時間軸で新エネルギーに代替するのか」といった質問状を送っていた。
 橋下氏は回答書で、「原発立地地域があってこそ、関西の産業や生活が成り立っている」としたうえで、「地震国の日本はリスクが高い原子力の依存をできるだけ減らしていくべきだ」と主張。一連の発言については「リスクを抱えたまま今の生活を続けるのか」と住民に問いかけたメッセージだと説明した。
 さらに、
原発が地域活性化や雇用維持に役立っているとする河瀬氏の主張に対しては「立地地域の経済や雇用のために原発を維持するのは本末転倒だ」と反論
した。
 橋下氏はまた、13日の報道各社の取材でもこの問題に触れ、「大阪府に原発をつくるかという話をして、
府民に『原発は必要ですか』と問いかけるしかない」
などと述べた。
 河瀬氏は13日、橋下氏からの回答に対し「具体的な部分(の答え)がない」としつつ、「総論の考えをいただき、有意義な意見交換ができた」とするコメントを出した。(富田祥広、高橋孝二)

原発再開反対を強調福井知事

 全国最多の原発15基(1基は解体中)を持つ福井県の西川一誠知事が13日、日本記者クラブで会見した。定期検査で停止中の原発について、「現状ではなお安全の確証が持てない」として、再起動には同意できないとの考えを改めて強調した。
 西川知事は7日に政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書を、「短期的な対策と中長期的な対策の区分けが明確でなく、スケジュールも示されていない」と批判。
 「できるだけ早く安全に電力供給がなされるよう政府が全力を挙げて基準を作り、立地地域に説明することが必要だ」と述べ、地震や高経年化(老朽化)が事故に及ぼした影響
を踏まえた安全対策基準を、国が早急に示すべきだとの考えを示した。(笹川翔平)

 河瀬市長が言われる通りで、橋下知事の答えは市長の質問にきちんと答えているとは言えませんが、府民に原発が必要かをといかけるしかないと別の場で語っているように、橋下知事といえども迷っているからこその回答なのでしょう。
 府民には、イタリアの様に早いうちに聞いてみるのはいいことかもしれませんね。企業は、前述の記事の様に電力削減に反対=原発再起動がなされないとは考えていなかった様ですので、再起動を当然と考えている様に思われますが。

 そして深刻なのは、関電の原発依存度が突出して高く50%とされていることで、再起動がこのままなされなければ、更に電力不足が進行し、来年の夏には原発による発電がゼロになることです。15%どころではなくなり、日本で最も電力が不足する地域に近畿圏がなってしまうのです。イタリアやドイツの様に輸入することは出来ませんし、国内の融通も期待できません。(大手企業の自家発の余力分を買う手はあるとは言いますが?)
 西川福井県知事は、再起動には同意できないと重ねてコメントしておられます。さぁどうする橋下知事!



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2 コメント

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Unknown (信貴明)
2011-06-19 11:14:25
<関電の説明不足>
個々の発電所の発電能力、もちろん停止している火力発電所も含めて発表すべきでいきなり15%って、戦時中じゃあるまいし、一方的に「節電せよ」とはあまりも乱暴すぎる。原発再開への脅しととられてもしかたがないのでは。

これまで、電気代の中身に関しても明朗会計ではなく、原発立地自治体への補助金や使用済みウランの再処理費用など勝手に電気代にオンして、こんなやり方が通用してきたことがおかしいのであって、電力会社の思い上がりでしかない。
返信する
他人事として傍観していた無能さ (遊爺)
2011-06-20 11:28:57
信貴明さん、コメントをありがとうございます。

> 関電の説明不足

 関東での東電、ユーザー(大口、小口、家庭)、政府の対応推移を経た現状の節電努力実施状況に胡坐をかいて手抜きが見られますね。
 ・「関電の説明不足」=原発で減る値、努力で増える値が載っていないし、9月までで、その後の原発停止減分や、増強分がない。(全原発停止が1年経たないうちに生じる可能性への備え)
 http://www.kepco.co.jp/pressre/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/06/10/0610_1j_01.pdf

 ・「需給対策の状況について」=「現在検討中」「今後検討する内容」で、着手したものがどれか不明。
  http://www.kepco.co.jp/pressre/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/06/10/0610_1j_02.pdf
  東電は、ガスタービン発電(工期を間に合わせようとしている)の新設による供給能力増にも着手。

 しかし、他人事として傍観していたのは関電だけでしょうか?関電だけを叩いていて、全原発停止への備えはできるのでしょうか。
 海江田氏は、浜岡の停止では素早い行動をテレビカメラに見せながらやりましたが、各地の原発再起動については各地を訪問するすると言いながら、内容不明の安全会見をするだけですし、カンカラ菅に至っては、海江田氏の言う通りと相変わらずの無責任ぶりですね。
 橋下氏も、中部電力に融通供給するとパフォーマンス発言のひっこみがつかないせいか、いつもの前向き発言ではなく反対ありきの発言です。石原都知事のパチンコと自販機の電力削減発言に比べると全く後ろ向きでネガティブな発言です。

 関電の、東電や中部電力の様な緻密な行動力を促すことと同時に、全原発停止に備える対策の実行開始が必要ですね。
 関電は、ゼロから考えるのではなく、計画停電の失敗を経験した東電に対応のしかたを学ぶべきです。
 対策は関電圏からの脱出しかないとなれば、関西の経済も、我々住民の暮らしも崩壊しかねません。

 # ご存じの様に、東京の電車(例=小田急)は、5月の無規制の時でも車内も駅も照明を消したり(天気の良い日中)、エアコンも停止してました。(同時期に関西ではJRも私鉄も寒いくらいエアコンを効かせてました)
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