プロボクサーで日本人初の世界タイトル3階級制覇を成し遂げた亀田興毅さんが会長を務める「3150ファイトクラブ」主催の第1回目のボクシング興行がAbemaTVで全試合生中継され、視聴した。
世界タイトル戦を除き、ボクシングをテレビで観る機会がなくなって久しい。かつて毎週レギュラー放送されていた「三菱ダイヤモンドグローブ」が懐かしい。
「三菱」と言えば、同じく毎週レギュラー放送されていた「三菱ダイヤモンド・アワー」を思い出す。こちらはプロレス中継だった。
当時の「三菱」の首脳陣のみなさんは、よほどの格闘技好きだったか。
試合の合間に三菱の電気掃除機がリングに登場し、マットを掃除するデモンストレーションはプロレスファンにはお馴染みの光景だった。
メインイベントのベルトが懸かった試合では両選手に花束贈呈が行われたが、ヒールの選手がその花束でベビー・フェイスに殴りかかるのがお約束だった。
プロレスには、このようなお約束事がいくつかあり、それは一種の様式美としてプロレスをプロレスたらしめる要因となっているように思う。
その「お約束」といい、華やかなリングコスチュームといい、リングに上がった選手が紹介される「リングコール」時における決めポーズといい、それは、まさしく歌舞伎の世界観に通じる。
プロレスはボクシングと異なり、日本で独自に進化、多様化し、一つの文化として根付き、花開いた。
地域おこしに一役買っている団体もあるほど、ローカルプロレス団体が日本全国に存在する。
AbemaTVでは現在「ノア」と「DDT」という2つの団体のプロレスが生中継で配信されている。
一方、地上波では「新日本プロレス」がテレビ朝日系列で毎週レギュラー放送されている。
個性豊かな逸材が綺羅星のごとく集う「新日」のプロレスは別格だ。
プロレスのように地上波のレギュラー放送はないものの、「キックボクシング」や「総合格闘技」が様々な展開を見せ、進化を遂げていく中、ボクシング界は、その魅力をどのようにアピールしていくのか。
その点で今回の「3150ファイトVol.1」の挑戦を楽しみにしていた。
3選手がデビュー戦を飾った4回戦は新鮮だった。
また、元WBA世界ミニマム級王者・宮崎亮選手の現役復帰戦も興味深かったが、さすがのファイトで今後に楽しみをつないだ。
さらに、アマ五冠で日本ヘビー級のホープ・但馬ミツヒロ選手のエキシビションマッチも同様で、但馬選手のプロデビューが待たれる内容だった。
この度の興行について、既存のジムやプロモーターからは、ややもすると反発を買うようなことがあるかもしれない。
しかし、ボクシング界全体のこれからのことを考えれば、何かを変えていく必要はあるはずだ。
一ボクシングファンとして、これまでのプロボクシング興業の常識を超えた今回の「3150ファイトクラブ」の新たな取り組みを私は支持したい。