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峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

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世界陸上ベルリン

2009年08月19日 | スポーツ
ボルト「不可能なことは何もない」(産経新聞) - goo ニュース

連夜、ベルリンで開催されている世界陸上に魅せられている。
中でも圧巻は、男子100メートル決勝でのボルト選手の走りだった。

これまで、ボルト選手は100メートル走で2度の世界新記録をマークしている。
最初は2008年5月3日、ニューヨークで行われたリーボック・グランプリでの9秒72、2度目がまだ記憶に新しい同年8月16日の北京オリンピックでの9秒69、そして3度目が今回の世界陸上での9秒58だ。いったい記録はどこまで伸びるのだろう。

2着に入ったゲイ選手が自己新記録で9秒71、3着のパウエル選手でも9秒84というハイレベルなレースだったが、ボルト選手は彼らをまったく相手にしなかった。

「不可能なことは何もない」
彼の異次元の走りに人間の果てしない可能性を見る。

清峰敗退

2009年07月23日 | スポーツ
夏の甲子園、長崎県大会の準々決勝で春のセンバツ覇者・清峰が長崎日大に1-3で敗れた。

「清峰は春をピークに力が上がらなかった。自分たちは技術面だけでなく、精神面・体調管理など夏に備えてきた。十分勝てると思った」長崎日大の監督の言葉だ。

自分たちの試合を前にして、清峰の敗戦を目の当りにした波佐見は、ここ数年、準々決勝・準決勝で清峰に苦汁を飲まされ続けてきた。
この日、長崎商を8-0のコールドで降し、準決勝へ駒を進めた波佐見の監督は「清峰を倒す練習をしてきたが、選手はそれを目的ではないとしっかり自覚していた」と語っている。

田舎の普通の県立高校である清峰が全国制覇したことでいずれのチームも「俺たちもやれる!」と意気込んでいる。

ベスト4が出そろった。
清峰を倒し、勢いに乗る第8シードの長崎日大、全国レベルの力を備える第2シードの波佐見、前哨戦となるNHK杯を制した第3シードの創成館、NHK杯準決勝で清峰に勝っている第4シードの瓊浦【けいほ】の4校だ。

どのチームにもチャンスはある。存分に力を発揮してほしい。

遼くんの全英オープン挑戦 その2

2009年07月18日 | スポーツ
メジャートーナメントは、やはり甘くはなかった。

全英オープン2日目、ターンべりーが牙をむいた。この日は前日と打って変わり、冷たい雨と強風がコースを吹き荒れた。
それでも遼くんは前半の9ホールを1ボギーの36でまとめた。ここまでトータル1アンダー、この日の天候から考えて決して悪いスコアではない。このまま我慢していれば、どこかで必ずチャンスは訪れる。

しかし、インに入ってすぐの10番・456ヤードのミドルホールで遼くんはタイガー・ウッズ選手共々、ターンベリーの餌食【えじき】となった。
先ず、ウッズ選手のティーショットが大きく右にそれて、ブッシュの中に入ってしまう。係員と大勢のギャラりーで探すがボールが見つからない。結局、ロストボールとなってしまった。

そのことは、遼くんのセカンドショットに少なからず影響を与えたはずだ。何しろ寒風吹きすさぶ中、10分も待たされたのだから。しかし、それがルール上、許される範囲でのことであれば、責任はウッズ選手にあるのではなく、心身をコントロールできなかった遼くん自身にある。

遼くんのセカンドショットのボールは、グリーン手前の大きなドーナツの形をしたバンカーの、こともあろうに中心部の背の高い茂みに消えた。そこから出すのは不可能と判断した遼くんはアンプレアブル【何らかの状況で、プレーができないと判断したときにプレーヤー自身がその旨宣言する。アンプレアブルを宣言すると、1打罰を加えてボールから2クラブレングス以内、またはボールとグリーンを結んだ線上後方にボールをドロップしてプレーを続けることができる】を宣言せざるを得なかった。

結局、このホールをダブルボギーとした遼くんは、その後、悪い方に傾いた流れを断ち切ることができず、11番から15番までを連続ボギー、16番でようやくパーを拾い、17番でこの日初めてのバーディをとったものの、最終ホールを再びボギーとし、トータル8オーバーで予選を通過することができなかった。

遼くんにとって、2日目が全てだった。精神的な部分はさておき、全英オープン特有のコースと天候にやられてしまったということだが、言い換えれば、それらに対応できるだけの技術的な引き出しが足らなかったということに他ならない。

最終ホールのアプローチショットにもそれが表れていた。
18番は461ヤード・パー4のミドルホール、ティーショットがフェアウェイをとらえる。第2打はフォローの風ということでミドルアイアンでグリーンを狙ったが、風を読みきれず大きくショートしてしまう。そこでの第3打・アプローチショットが問題だった。

18番は砲台グリーン【フェアウェイよりグリーンが一段と高くなっているグリーンのこと】になっている。遼くんはボールを上げてピンを狙った。いわゆるピッチショットだ。しかし、ボールが止まらずグリーンをオーバーしてしまい、返しのアプローチも寄らずボギーとしてしまった。
おそらく、国内のゴルフコースの砲台グリーンではピッチショットでうまくいっていたのだろう。しかし、全英の、メジャーのグリーンは状況に応じた的確なショットを要求する。メジャーで勝つためにはあらゆる準備が必要なのだ。

ここはグリーンの土手にぶつけ、転がして寄せるチップショットの方が良かった。プレー後のインタビューに遼くん自ら語っていたが、遼くんのアプローチの前に、解説の青木さんもそう語っていた。
よく言われることだが、300ヤードの豪快なドライバーショットも10メートルのアプローチショットも1打は1打だ。プロでもアマチュアでも、優れたプレヤーはアプローチとパターに秀でたものがある。

かくして、遼くんの初めての全英オープンへの挑戦は幕を閉じた。
2日目のプレーはさんざんだったが、初日は天候が味方してくれ、あのウッズ選手のプレーを上回った。ウッズ選手も予選落ちしたが、もしかすると、初日の遼くんのプレーにあおられたところがあったのかもしれない。
それほど、遼くんのプレースタイルには魅力がある。インタビューの受け答えも、的確で、それでいて清々しくて実に気持ちがいい。

また一つ貴重な経験を積んだ遼くんにどんな変化が表れるのか、次のトーナメントでの彼のプレーを楽しみにしたい。

遼くんの全英オープン挑戦 その1

2009年07月17日 | スポーツ
「THE OPEN」・全英オープンがいよいよ始まった。
全英オープンは、マスターズ・全米オープン・全英オープン・全米プロの世界4大メジャー大会のうちの1つで、その中でも最も古い歴史を誇り、今年138回目を迎えた。
全英オープンのコースの特徴は、マスターズが開かれるオーガスタのように花が咲き乱れ小鳥がさえずるといった美しいコースではなく、寒風吹きすさぶ殺伐とした風景が広がるリンクス【海岸近くのゴルフ場】にある。

注目の17歳・石川遼選手は、初日、世界ランキング1位のタイガーウッズ選手と同じ組でのスタートとなった。
1番ホールは354ヤード・パー4のミドルホール、最初に打ったタイガー選手は、ティーショットにアイアンを用いた。弾道の低いボールだ。リンクス特有の海からの湿った強い風への対策だ。トッププロは多彩なショットを用意している。

さすがの遼くんも、1番のティーショットはアイアンを手にした。タイガー選手とは異なり、いつもの高い弾道のボールだ。

一般的には、アイアンショットは高い弾道のボールの方が望ましい。グリーンを狙う際、高い弾道だとボールを止めやすい。その分、ピンをデッドに狙いやすいのだ。
しかし、風が強い場合、高い弾道のボールは風に流される率が高くなる。したがって、全英では低い弾道の、しかも止まるボールを打てなければスコアをまとめるのが難しくなる。
さすが、タイガー・ウッズだ。

ラウンドリポーターの松岡修三さんによれば、遼くんのボールの弾道はタイガー選手の弾道の倍くらいの高さがあった。
しかし、この日は風がなかった。
強風でグリーンに立つピンがしなり、フラッグが引きちぎれんばかりというのが全英のイメージなのにだ。遼くんは、確かについている。

ツキにも味方された遼くんは、この日、アイアンが絶好調だった。ピタッ、ピタッとアイアンショットがピンにからんでいく。
2番で早速バーディを奪う。しかし、直後の3番ホール・489ヤード・パー4で初めてドライバーを手にしたものの、右の深いラフに入れてしまい、このホールをボギーとしてしまった。

結局、遼くんは18ホールを終え2アンダーの21位タイとまずまずのスタートをきった。

一方、タイガー選手は、その低い弾道のアイアンショットが不調だった。意図的に低い弾道のボールを打とうとするが故、インパクトでフェイスが若干右を向く傾向にあるのではないかと思った。いわゆる「ふかす」感じになっているようで、正確な飛距離を得られなかったようだ。
象徴的なのが16番・455ヤード・パー4のミドルホールの第2打、アイアンショットはグリーンに届かず、手前を流れるクリークに入れてしまいボギーとしてしまった。
タイガー選手は初日、1オーバーの68位タイと出遅れることとなった。

今夜のテレビ放送は夜の11時から明け方4時まで、寝不足が続くことになりそうだ。

プロゴルファー・石川遼 その6

2009年07月13日 | スポーツ
遼くんは、5打もあった貯金を吐き出してしまい、あっという間に後から追ってくる選手に並びかけられてしまった。並の選手であれば、そこからズルズルとスコアを崩していくものだが遼くんは違った。

13番、パー3のショートホールを手堅くパーにまとめる。
この日は遼くんにツキもあった。2位以下の選手のスコアが伸びないのだ。遼くんと同じ組で回っていた金選手は、12番でようやくトップタイにしたのに13番をボギーとしてしまった。これで再び遼くんは単独トップに立った。
続く14番はパー4のミドルホール、遼くんはここもパーでまとめたが、なんと金選手は致命的な連続ボギーだ。
残り4ホールを残して2位と2打差、遼くんとしては有り難い展開となった。

15番は両者パー。そして、圧巻の16番ホールへと最終組が進んだ。
16番は617ヤード・パー5のロングホールだ。プロならば2オンの可能性もあるが、グリーンをはずした場合のリスクは大きい。思わぬトラブルに見舞われたりする。3打目を100ヤード前後のアプローチショットが残るよう2打目をレイアップし、バーディを狙うというのが一般的な攻め方だろう。

ところが、遼くんはあくまでもその「可能性」を追求する。
2打差がつき、いくらか精神的に楽になったはずだ。ティーショットは豪快なドライバーショットで、フェアウェイの真ん中をとらえた。距離もかなり出ている。
そこから2オンを狙って、遼くんはフェアウェーウッドを手にした。スプーンだろう。
だが、距離があるのでピンをデッドに狙うのは不可能だ。このような場合、プロでもグリーンの真ん中あたりに見当をつけるはずだ。

遼くんはスタンスをオープンにとった。左からスライスで回してグリーンを狙うようだ。グリーンよりも左方向に打ち出されたボールは、左の林のOBゾーンから大きく右に出て、グリーン右エッジに止まった。スライスがかかりすぎた。
ピンまでおよそ15mの距離、うまく寄せることができればバーディだ。思い切りよく打ち出されたボールは勢いよく転がり始めた。が、明らかに強い。テレビを見ていた誰もが多分「強い!」とつぶやいた瞬間、ボールはピンにゴツンと当たり、跳ね返ってカップに吸い込まれた。なんと、チップイン・イーグルだ。

このチップイン・イーグル、実はミスショットの産物だったのだ。
テレビの画面では分からなかったが、ラインは馬の背のようだった。距離を合わせようとすれば、必ず右か左にそれる。狙って入るようなラインではなかった。強く打ち出されたボールだったからこそ、うまく馬の背の上を転がりピンまで到達したのだった。
勝つときは、こんなものだ。ツキを味方につけないと、そうそう勝てるものではない。勝負とはそういうものだ。

プロゴルファー・石川遼 その5

2009年07月08日 | スポーツ
私の経験では、ティ-ショットで連続してOBを出すと内心穏やかでいられなくなる。頭へ血が上り、どうしてよいのか分からなくなる。言わばパニック状態だ。
それでいて、一緒にまわっているプレーヤーのリズムを狂わすのではないかと余計なことが気になる。
おそらくは、遼くんも同伴競技者のことが気になっただろうし、大勢のギャラリーの視線も気になったことだろう。少なくとも平常心ではいられなかったはずだ。

アマチュアの場合、ティーショットをドライバーでOBした場合、意地になって再びドライバーを手にすることがままある。そんな時は、最悪、連続OBか、そうでなくとも、たいがいいいショットは出ないものだ。
しかし、連続してOBになった場合、次の打ち直しはドライバーを捨てるのが普通のアマチュアだ。
プロの連続OBというのはそれまで見たことがなかったが、プロでも打ち直しが3回目となるとさすがに他のクラブに持ち替えるのではないだろうか。

だが、遼くんが手にしたのは、やはりドライバーだった。見事なまでの意地の張り具合だ。果たして第5打目はバンカーを越えることができるだろうか。このホール3度目となるドライバーショットが放たれた。

見た目にはどこも変わってはいない躍動的なフォームから弾き出されたボールは、先の2度のショットほど大きく左に曲がらなかったものの、それでもフックして、バンカー越えどころかフェアウェーをはずしてラフにつかまったようだった。やはり、気持ち的なところから身体のバランスが崩れ、わずかにインパクトのタイミングがずれているのだ。
昨年度の獲得賞金が1億円を超え、賞金ランキング堂々の5位に入ったトッププロである遼くんにしても精神をコントロールするのはたやすいことではない。

結局このホール、9打を費やすこととなる。2位と5打差あった貯金があっという間に無くなってしまった。(つづく)

プロゴルファー・石川遼 その④

2009年07月06日 | スポーツ
まだ17歳とはいえ、遼くんは小学生の頃からゴルフの全国大会等に出場してきている。勝負の厳しさ、ゴルフの怖さを十分分かっているはずだ。

それでも「刻もうかな?」などという迷いはなかったはずだ。ただ「優勝」の2文字はちらついた。それにより、身体のスムーズな動きが損【そこ】なわれた。おそらくはそういうことだろう。タイトル獲得計73期というあの将棋の羽生名人でさえ、これで勝ちだという一手を指すとき未だに手が震えている。いや、むしろ場数を踏んだ者ほど、勝負の厳しさや怖さというものを思い知っているのだ。

打ち直しの3打目、彼が手にしたクラブはやはりドライバーだった。
このような時、短いクラブに切り替えるのも考えられるところだが、そこは遼くんである。

遼くんには大勢のギャラリーがついている。彼らが固唾を呑んで見守る中、力強く、美しいフォームから打ち出されたボールは勢いよく空中に放たれた。

しかし、ボールは無情にも1打目とほぼ同様の軌跡を描き、再び林の中へと消えていった。痛恨の連続OBである。(つづく)

プロゴルファー・石川遼 その3

2009年07月03日 | スポーツ
12番のティーグラウンドに立った遼くんは、ボールを強くたたくことだけを考えていたに違いない。とにかく、どんなときでも攻めの姿勢を貫くのが彼のプレースタイルだ。
ここも、普通の選手なら2位に5打差のリードがあるのだから、無理をせず安全に刻んでパーセーブを考えるところなのだが、彼は積極果敢にバーディーを狙っていく。それが、プロゴルファー・石川遼選手の身上なのだ。

さて、第1打、強く打ち出されたボールは途中から大きく左に曲がり、林の中へと消えていってしまった。明らかなフック、OBだ。

遼くんの持ち玉はドローボールと聞くが、ドローボールヒッターは、往々にしてここ一番というときにフックに泣かされることがある。
ドロー・フックとも右利きのプレーヤーの場合、ボールに左回転が与えられていることにより、打ち出されたボールは左方向に曲がりながら飛ぶ。しかし、球筋はまったく異なる。

ゴルフで安定した球筋を得るためには、腰の回転と腕の振りのバランスが重要となる。しかし、緊張の度合いが高まるとスイングのリズムが微妙に狂い、そのバランスが崩れる。ゴルフがメンタルのスポーツと呼ばれる所以【ゆえん】だ。
フックが出るときは、たいてい腰の回転が止まり、腕の振りが先行しているようだ。その結果、クラブフェイスがかぶった状態でボールをヒットすることになり、左方向へ強い左回転のかかったボールが飛び出すことになる。

遼くんとて人間だ、それも、まだ17歳。そういえば、アマチュアだった15歳の高校1年生のとき並み居るプロを押しのけてツアー最年少優勝の快挙を達成したとき、喜びの涙に咽【むせ】んだのもまだ記憶に新しい。(つづく)

60,7-17,2

プロゴルファー・石川遼 その2

2009年07月02日 | スポーツ
12番は402ヤード・パー4のミドルホールだ。
ティーグラウンドからグリーンまで直線的なホールなのだが、フェアウェーのセンターにバンカーが大きな口を開けて待っている。このバンカーを越えるには飛距離の出る選手でも、ドライバーでナイスショットを放たなければならない。もしミスショットでバンカーにつかまりでもすれば、パーセーブが非常に難しくなる(バンカーが深く、ボールの止まった場所によってはグリーン方向に打ち出せないのだ)。

バンカーを避けたいならば、ドライバー以外のクラブでバンカー手前に刻むことになるが、残りの距離が長くなり、バーディの可能性が低くなる。
かといってバンカー越えを狙ってドライバーを持てばバンカーに入るリスクが生じる。
この大会の実況を担当していた小澤アナウンサーは、12番ホールを「勝負の流れを左右するキーホール」と予言?していた。

しかし、遼くんは迷うことなくドライバーを手にしたことだろう。いくらリードしているからといって、手堅く刻んだりせず、目一杯のドライバーショットでバンカー越えを狙っていくのが遼くんの真骨頂【しんこっちょう】なのだ。
(つづく)

プロゴルファー・石川遼

2009年07月01日 | スポーツ
6月25日から兵庫県西宮市のよみうりカントリークラブで開かれていた男子ゴルフの「ミズノオープンよみうりクラシック」は、日曜日に最終ラウンド①が行われ、3日目に単独首位に立った石川遼選手がたくさんのギャラリー②と視聴者を魅了するプレーで、劇的に今季の初優勝を飾った。

最終日、2位に3打差をつけスタートした遼くんは、アウト③でその差をさらに広げイン④に入っての11番ホールまでで2位に5打差をつける展開で、よほどのことがない限り悠々の逃げ切りかと思われた。

石川選手の生命線はドライバーショット⑤にある。普通の選手が安全に刻むところを、彼はリスクを承知で果敢にドライバーで攻める。当初、それを非難する向きもあった(一か八かのような攻め方と見られていた)が、最近はそんな声もとんと聞かなくなった。それほど、彼のプレーは見る者の心をひきつけ、結果も出している。

この大会でのドライバーショットも2日目まで完璧で、3日目もフェアウェイ⑥を大きくはずすことはなかったと大会レポートにある。
そして最終日、アウトはショートホール⑦でボギー⑧をたたいたもののミドルホール⑨で1つと、2つのロングホール⑩では確実にバーディ⑪を取っていた。ここまでドライバーショットの好調さがうかがえるスコアだ。

ところが、インに入ってすぐの10番でボギーをたたいている。
10番ホールは左ドッグレッグ⑫の474ヤード〔1ヤードは1m弱〕パー4のミドルホール、ティーショットでフェアウェイ左サイドにあるバンカー⑬を越えれば、残りは6番・7番アイアン⑭でプロなら十分にバーディが狙える。しかし、左に行き過ぎるとOB⑮が気になるし、かといって右に行くと、左にドッグレッグしている分、長い距離が残ってしまう。

インに入り、残り9ホールとなったところで脳裏に「優勝」の文字がちらつき始めたとしても無理はない。
余計なことを考え始めたとたん、スイングのリズムが微妙に狂い出す。スイングのリズムが狂うと、インパクト⑯のタイミングがずれる。プロとて同じだ。
テレビ放映は最終組⑰の13番からだったので詳細は分からないが、石川選手はこのホールをボギーとした。思えば、ここからドラマが始まっていたのだ。

11番のミドルはパーセーブ⑱。そして、問題の12番ホールとなる。
(つづく)

※脚注
①ラウンド:コースをプレーして18ホールを回ること。
②ギャラリー:観衆
③アウト:クラブハウスから外へという意味で18ホールの前半9ホールを指す。
④イン:クラブハウスの方角への意味で後半の9ホールを指す。
⑤ドライバーショット:最も距離の出るクラブをドライバーといい、ドライバーで打つショットをドライバーショットという。
距離が出る分、またヘッド〔クラブのシャフトの先のボールを打つ部分〕の構造から、ボールをコントロールするのが難しい。
⑥フェアウェイ:ティーグラウンド〔各ホールの1打目を打ち出す場所〕からグリーンまでの間の芝を短く刈った部分。
⑦ショートホール:パー〔ホールごとの基準打数のこと。ちなみに、パー3なら1打でグリーンに乗せ、2打でカップイン、パー4なら2打でグリーンに乗せ、2パット〕3のホールのこと。
⑧ボギー:ホールの基準打数・パーよりも1打多いスコアのこと。
⑨ミドルホール:パー4のホールのこと。
⑩ロングホール:パー5のホールのこと。
⑪バーディ:そのホールの基準打数より1打少なくあがること。
⑫ドッグレッグ:フェアウェイが大きく曲がっているホールのこと。左に曲がっているのを左ドッグレッグという。犬の後ろ足の形からきているようだ。
⑬バンカー:フェアウェイややグリーン周りにある砂地の窪【くぼ】みのこと。
⑭アイアン:ヘッドの部分が鉄で出来ているクラブのこと。アイアンの5番・6番・7番をミドルアイアンといい、クラブフェイスにつけられている傾斜角度によって、ボールの飛び出す角度が異なり、距離も異なってくる。
⑮OB:out of boundsの略称でプレーできない箇所。打ったボールがプレーできる区域の外に出たら、つまり、OBになった場合、罰として1打加算され、打ち直しとなる。ティーショットでOBを出すと打ち直しが3打目となる。
⑯インパクト:クラブヘッドがボールに当たる瞬間のこと。
⑰最終組:プロの場合、3人が一組になってプレーする。
⑱パーセーブ:パーを守ること。