チェイルチョアハヌン韓国ドラマ&韓国旅日記

韓国ドラマだ~いすき!
毎日韓国三昧な日々を過ごしています。
気ままな独り言におつきあいくださいませ。

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart34~

2013-08-24 19:58:08 | 創作「赤と黒」
創作「赤と黒」いよいよフィナーレです。

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そのとき,公園の入り口に
見覚えある人影が現れた。
「テヒョン。お祖父ちゃんがきたわよ。」
反対の腕をモネに支えられ
杖をつきながら歩いてくるのは
ホン元会長だ。満面の笑みを浮かべている。
「おにいちゃーん。ジェインさーん。」
モネが手を振る。
ジェインとゴヌクも手を挙げて
答える。ジェインはテヒョンの手を取り
ホン元会長に向かって手を振った。
「ジェイン。」
ゴヌクは前を向いたままジェインを呼んだ。
「ん?」
ジェインがゴヌクを振り向く。
「ありがとう。」
「…あなた。」
ゴヌクはジェインを振り返ると
頬にキスした。
びっくりするジェインを横目に
笑いながら今度はテヒョンの頬に
キスする。

「もう…ふざけてるんだから…」
ジェインも笑った。
緑の美しい公園の一角。
ごく普通の家族の
ごく普通の日常の一こま。
それは,ゴヌクもジェインも
ずっと探し求めていたもの。
…ゴヌク。私,嬉しいの。
 あなたと一緒で,すごく,嬉しいの。…
ジェインは,いつの日か必ず
ゴヌクに伝えようと思っている言葉を
心の中で繰り返していた。

 (fin)

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長い間 お付き合いいただきありがとうございました。
放送終了後の もやもやが やっと消化されました。

今後もキム・ナムギルssiの応援よろしくお願いします。^-^

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart33~

2013-08-19 20:16:19 | 創作「赤と黒」
暑い日がまだまだ続いていますが
みなさま どんな夏休みをお過ごしになりましたか?
ラストに向けて,一気にスパートです。

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ゴヌクは,テヒョンを抱き上げると
芝生の上にそっとおろした。
テヒョンはちょこんと座っていたが
すぐに両手を前についておしりを持ち上げる。
そして,両足を踏ん張り自分の足で立ち上がった。
どうだいと言わんばかりの顔で
ゴヌクとジェインを振り返る。
「テヒョン,じょうずじょうず。」
ジェインが声を掛けると
にっこり笑う。
つられてゴヌクも笑う。
と同時にテヒョンはバランスを崩して
おしりからどっと尻餅をついた。
しかし,全くなくそぶりも見せず
また立ち上がろうとしている。
「ご満悦な顔,ゴヌクさんそっくり。」
ジェインは飲み終わったカプチーノの
カップを自分の荷物の横に置き
ゴヌクに顔を寄せて言った。
「尻餅ついてもまた 立ち上がるところは
 ジェインそっくりだ。」
ゴヌクもちらりとジェインを見て言う。
「ンマ,ンマ…。」
テヒョンがこちらに向かって
一歩一歩,歩き始めた。
そして,ゴヌクに抱きつく。
抱きついたままジェインに手を伸ばす。
「ンマ,ンマ…」
「テヒョン。『アッパ』も言ってあげて
 パパが呼んでほしいって。」
テヒョンは足をばたばたさせて
うれしそうにゴヌクに頭をこすりつける。
「ッパ,ッパ,パパパパ…」
ゴヌクは可愛くてたまらないというように
テヒョンを抱き上げた。


************************************

さあ いよいよ次回が最終回になります。
お楽しみに~^-^

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart32~

2013-08-15 23:46:34 | 創作「赤と黒」
韓国旅行から戻ったものの
心はまだ韓国にあるみたいです。

今回は,ゴヌクの幸せな時間をどうぞ

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ぽかぽかと暖かな日差し
空はどこまでも明るく透き通っている。
ゴヌクは空を仰ぎ見て
眩しそうに目を細めた。
日曜日の公園には家族連れが多い。
子ども達の笑い声が響いている。
座っている芝生の緑が美しい。
緑の風景
今まで何度となくめぐってきた季節。
こんな日が来るなんて思わなかった…
ゴヌクは苦笑しながら首を振り
遠くに視線を移した。
彼女が木々の向こうに姿を現した。
いちはやくゴヌクを見つけて手を振る。
ゴヌクも手を振り返す。

「早かったのね。もう,仕事すんだの?」
彼女が問いかける。
「ああ,残りはパク室長がなんとかしてくれるだろう。」
「あんまり,室長ばっかりこき使っちゃだめよ。」
彼女は心配そうな顔をする。初めてあってから
数年経つがいつまでも可愛らしい表情をする。
「大丈夫さ。明日は休みを取るって言ってたから…。」
「そう?」
ゴヌクは傍らに置いてあったカプチーノのカップを手渡した。
「ありがとう。」
彼女はこぼさぬよう気をつけながら
受け取った。
ゴヌクは彼女が握っていたベビーカーのハンドル部分を
代わりに持つ。ベビーカーを覗き込むと
彼女によく似たくるくるした瞳と目が合う。
「テヒョン。今日はすっごくごきげんよ。
 やっぱりパパがお休みなんだって
 分かってるみたい。」
ジェインはカプチーノを飲みながら笑った。


************************

いかがでしょう。
こんな幸せを彼に与えてあげたかったんです。^-^
もう少しだけ続きを書かせてくださいね。
タウメ ボジャ~

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart31~

2013-08-08 01:09:04 | 創作「赤と黒」
ナムギルssiの握手会,当選された方おめでとうございます。
10日が待ち遠しいでしょうね。

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ゴヌクは少し緊張した面持ちで
立っていた。待っている時間が
とても長く感じられる。
本当は数分ぐらいだろう。
しかし,もう数十分が経っているように思える。

ガチャリ
静かな音がして 長い通路の
向こうで扉が 静かに開いた。
外気の暖かな空気が
すうっと流れ込む。
ゴヌクは 小さく息をはいた。
暖かな日だまりのにおいそのもののような
ジェインが 純白のウエディングドレスに
身を包んでいる。
チャペルのパイプオルガンが
荘厳に音楽を奏で始めた。
ジェインは手を引かれて
赤い絨毯の敷かれた通路を
ゆっくりと進んでくる。

通路の両側には
二人にとって大事な人たちが
座っている。
その人たちの間を
ジェインはゆっくりと止まらずに
まっすぐゴヌクの前まで歩いてきた。
そして,ゴヌクはジェインの手を取った。
二人でチャペルの壇を上がる。

「汝 シム・ゴヌクは,この女 ムン・ジェインを妻とし,
良き時も悪き時も,富める時も貧しき時も,
病める時も健やかなる時も,
共に歩み、他の者に依らず、
死が二人を分かつまで,愛を誓い,
妻を想い,妻のみに添うことを,
神聖なる婚姻の契約のもとに,
誓いますか?」
神父が厳かに尋ねた。
「はい, 誓います。」
ゴヌクはジェインをまっすぐ見つめ答える。

「汝はムン・ジェイン,この男シム・ゴヌクを夫とし,
良き時も悪き時も,富める時も貧しき時も,
病める時も健やかなる時も,共に歩み,
他の者に依らず,死が二人を分かつまで,
愛を誓い,夫を想い,夫のみに添うことを,
神聖なる婚姻の契約のもとに,誓いますか?」
「はい,誓います。」
ジェインもゴヌクをしっかり見つめ答えた。
指輪を交換し,神父に促され
ゴヌクはジェインのベールをあげる。
ジェインは微笑んでいた。
ゴヌクがジェインのほうへ顔を近づける。
「違う人みたい…。」
ジェインは微笑んだままゴヌクに
声を掛ける。
ゴヌクは少しびっくりしたような
おどけたような顔をしてそっとジェインに
キスした。
唇を離すとジェインがまた呟いた。
「ひげがないのも,素敵よ。」
ゴヌクの顔にも笑顔が広がった。




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さあ,いよいよエンディングまで
あと少しです。
お楽しみに~(^0^)

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart30~

2013-08-02 13:53:45 | 創作「赤と黒」
キム・ナムギルssiとソン・イェジンssiは
映画「海賊」への出演が決まっているそうです。
「パイレーツ・オブ・カリビア」のような
映画になるそうです。
ちなみに キム・ナムギルssiは海賊です。
超似合いそうで 楽しみですね。


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そのとき,廊下の方でばたばたと
誰かの走ってくる音が聞こえた。
 ばたん!乱暴にドアが開く。
ウォニンが飛び込んでくる。
「お姉ちゃん!」
テラもジェインも同時にくすっと笑う。
大学生になったのに相変わらず
おてんばな子だ。
「あっ。すみません…
 お客様がいらっしゃるとは…。」
「いえ。いいのよ。じゃあ,ジェインさん
 また,後でね。」
テラは静かに部屋を出て行った。
ジェインはテラの後ろ姿を見送ると
ウォニンを肘でこづく。
「ウォニン。遅いわよ。
 いったい何してたの?」
「ごめん。お母さんが忘れものしちゃって
 取りに戻ってたの。」
「そう…お母さんは?」
「向こうでおじさんのお義父さんお義母さんと話してる。」
「ウォニン。その『おじさん』って言うのやめなさいって
 言ったでしょう。」
「分かってるって。じゃあなんて呼ぼう…
 やっぱ『ヒョンブ』?
 なんか照れくさいなぁ。
 あ…『ヒョン』でいいっか?」
「ウォニン。」
ジェインがにらむとウォニンは慌てて
一歩退く。そして,窓際に座るジェインの姿を
眩しそうに見て言った。
「お姉ちゃん。きれいだよ。
 すんごく素敵な花嫁さんだよ。
 …おめでとう。」




*************************

お楽しみいただけていますでしょうか。
もう少しだけ 続きます。
またのお越しをお待ちしています。^0^

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart29~

2013-07-27 22:06:41 | 創作「赤と黒」
つい2,3日前とはうって変わり
暑い日になりましたが,
お変わりありませんか。

ゴヌクとジェインの物語は
前回の時から
しばらくの時が経ちました。

*****************************
空は真っ青に澄み渡り
木々の緑が眩しい。
小さな窓からは暖かな初夏の風が
優しく吹き込んでくる。
小さな部屋の窓際の椅子。
ジェインは落ち着かない気持ちで座っていた。
目の前の世界はどこまでも明るく。
日陰さえも木々の色に染まり照らされている。

キィ…
小さく扉の開く音がした。
ジェインが振り返ると
そこにはテラが立っていた.

「テラさん…」
テラは 静かにジェインに歩み寄る。
そして,座ったままのジェインの手を取り
穏やかな笑顔で口を開いた。
「ジェインさん…本当にありがとう。
 ゴヌクを救ってくれて…
 私たちを救ってくれて…」
その瞳にはうっすら涙さえ滲んでる。

「テラさん…私こそお礼を言わなくては…。」
テラは首を横に振る。
「いいえ,あなたは恩人だわ。
 あなたがいてくれなかったら…
 父も私もモネも,そして,ゴヌクも
 テソンだって救われはしなかった。」
ジェインははっとした。
「テソンさん,見つかったんですね。」
「ええ,今 日本の支社で新しい企画に
 打ち込んでいるわ。ジェインさんが
 ゴヌクを見つけてくれなかったら
 テソンだってあのまま見つけて
 あげられなかったかもしれない。
 今,あの子はできなかった親孝行を
 しているところ…」
ジェインの脳裏に,日本でテソンと行った
うどん屋の女主人が目に浮かんだ。
「モネはさっきお父様とゴヌクのところへ行ったわ。」
ジェインは良かったというように頷く。
「ゴヌクは遺産放棄の手続きをしたけど
 お父様の息子には変わりないわ。
 親子の縁も兄弟の縁も切れるわけじゃない…
 いつでも遊びに来てくれていいのよ。」
「はい。テラさん,そうします。」
ジェインはにっこりと微笑んだ。




****************************

いかがでしたか?
あくまでも
個人的な妄想をふまえた
創作ですので
お気に召しますかどうか。

よろしければ
またのお越しをお待ちしたいます。

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart28~

2013-07-23 23:31:37 | 創作「赤と黒」
各地で集中豪雨
韓国でも今日はかなり降ったとか
皆様もお気をつけください。
ゴヌクとジェインには 
もう 雨は降らせませんよ。

**********************************
「ゴヌガ…」
ジェインの瞳から涙が止めどなく
流れ頬を伝う。
ゴヌクに出会ってからの季節が
脳裏に次々と浮かぶ。

生きててくれればいい。そう思ってここ何ヶ月も
暮らしてきた。時には息をするのも苦しいと思うほど
ゴヌクの気持ちを思い続けた。

どんなに苦しいだろう
どんなに悲しいだろう
どんなに淋しいだろう
今 どこにいるの?
一人で泣いてるの?

自分も一緒に泣きたかった。
ゴヌクのそばで苦しみや悲しみを
分かち合いたかった。
ゴヌクの心の重りを半分持ってあげたかった。
少なくとも淋しさは取り除いてあげられるのに…と。

真っ暗闇にいるゴヌクに
灯りを持って 照らしてあげたかった。
そう 漢江に映っているあの灯りのように…
決して 真っ暗闇じゃないと
私がここにいると…

「ゴヌガ…側にいて
 どこにも行かないで…
 あなたのことが好き。
 あなたのことが好きって言ったじゃない。
 泣くのも笑うのも
 苦しむのも喜ぶのも
 私の側でして…
 私もあなたと一緒にいたいの…」
「ジェイナ…」
ゴヌクの瞳が揺れる。
驚きと嬉しさが混ざり合う。



ジェインの頬を両手でそっと包む。
ジェインはそっと目を閉じた。
ゴヌクの唇が近づき
ジェインの瞼に触れる。
その涙をぬぐうように
瞼,頬とゆっくり降りてゆく。
そして,心からの愛を込めて
愛らしい唇に触れた。
水の流れのように 寄せては返す波のように
お互いを確かめ合うように
長く甘いくちづけをかわした。


*****************************

やっぱり二人には
ささやかでいいから
幸せを感じてほしいです。
もう少しがんばって
続きを書きます。
またのお越しをお待ちしています。^0^

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart27~

2013-07-21 12:13:10 | 創作「赤と黒」
皆様 暑い日が続いていますが
体調はいかがですか。
キム・ナムギルssiの
KBSドラマ「鮫(상어)」も
見逃せない展開になっています。
日本での放送も待ち遠しいですね。

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食事を終え,漢江が遠くに見える窓際に
ソファを移動させ,二人で寄り添うように
座った。外はすっかり夜のとばりが降りていて
漢江の水面に映る灯りが美しい。
ゴヌクは窓の外を見つめながら口を開いた。

「さっきは驚かせてごめん。」
ちらりとジェインを振り返る。
「ううん。…私…嬉しかった。」
ジェインは漢江を照らす橋の灯りに目をやった。
「…かっこわるいよな。まるで高校生みたいだ。
 愛してるなんて…衝動的に口にしてしまって…
 でも今言わないとだめだと思ったんだ。…今告げたかった。」
真剣なゴヌクの言葉に ジェインはゴヌクの瞳を見つめて
うなずいた。そして,二人はそっと視線をはずす。
見つめ合うと,素直な言葉が出てこない気がして…
ゴヌクはここ数ヶ月のことをジェインに話した。
とりとめもなく話し続けた。本当の思いを
話したかった。本当の自分を知ってほしかった。
「シスターに話を聞いてもらったとき,気付いたんだ。
 自分がどれだけ お前のことばかり考えていたのか。
 復讐のことばかりに追われていた生活の中で
 本当の自分の姿で話ができたのは お前だけだった。」
ジェインはうんうんとうなづくことしかできなかった。
こんなに自分の気持ちを話してくれるゴヌクの姿は
初めてだった。いつもそばに近づくと突き放され
離れるとどこからともなく現れ そんな二人だった。
そして,近づくといつもどちらかが泣いていた。
今もまた涙が溢れそうになる。
「あの頃,テソンとお前が近づく姿は見たくなかったし,
 見ないように努力した。傷つけられてふさぎ込むお前は
 抱きしめて守りたかったし,なによりいつもそばにいたかった。
 だけど,それがどれだけ独りよがりでわがままな気持ちだったか
 知っていたから…君に告げることが怖かった。」
ジェインはそっとゴヌクの手に自分の手を重ねた。
彼がもっと勇気をもって自分に近づいてくれることを
願った。




「財産も地位もなく汚い手を使って復讐を遂げようとする
 ただの悪人の自分が…君をさらに傷つけるのじゃないかって
 そして 俺が近づけば 君もまた君らしさが失われていく気がして
 悪いやつじゃないのに 悪い女のふりをしようとする。
 だから わざと遠ざけようとしてもみた。
 …なのに何もかもが終わったあの時
 死ぬつもりでいた俺をきみが救った。」
ジェインの目から涙が溢れる。
あの時,自分が抱きしめたあの時
この人は死ぬ気だったんだ。
「お前に側にいてほしかった。
 そう,あの夜 言いたかったんだ
 側にいてほしいと。愛していると。」
ゴヌクの瞳もまた涙で濡れていた。
ゴヌクは指先で手のひらで甲で
ジェインの涙を優しくぬぐう。
「ただ まだ 本当には勇気がなくて言えなかった。
 そして そのあと 神様が僕に正しい罰を与えに来たと思ったんだ。
 だから 死んでもしかたないと
 どうせ 初めから死ぬ気だったのだからと…
 なのに…なのに,怪我をして意識が遠のく瞬間に浮かんだのは
 君の顔だった。そばにいたいと思った。
 生きていたいと思った。」
「ゴヌガ…」



ジェインは思わずゴヌクを抱きしめた。
ゴヌクもジェインの背中に手をまわし
そっと抱きしめる。ゴヌクがジェインの耳元に
告げる。優しい声。
「だから 今言わないと後悔するから
 言いたいと思ったときに言わないと
 いけないと思うんだ。
 はたして正しいかどうかわからない。
 罪を償ってもいない自分が未来に向かって
 歩き出していいのかどうかも分からないけど…
 それでも ジェイン お前にそばにいてほしい。
 いや 俺がお前のそばで生きていたいんだ。
 かまわないかな?」

*******************************
ようやく ゴヌクは新しい人生を
踏み出そうとしています。

またのお越しをお待ちしています。
(タウメ ボジャ~^0^)

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart26~

2013-07-18 22:10:49 | 創作「赤と黒」
今回は,悩まず情景が浮かびました。
2人の穏やかで愛に満ちた時間が
流れます。

*********************************


結局二人でキッチンに立った。
キムパッ,チゲ,ケランマリ,キムチ
簡単な食事だが,一緒に作るのは
思いの外気持ちが落ち着いた。
2人でキムパッを巻く。
狭いシンクなので自然と肩がぶつかる。
2人とも肩がぶつかっても気にせず
寄り添うようにしてキムパッを巻いた。
最後にジェインが包丁で切り分ける。
「うまそうだな。」
ゴヌクが呟いた。
ジェインは切り分けたキンパッから
一切れつまむとゴヌクの口元に差し出した。
「うまそう じゃなくて,本当においしいんだから。」
ゴヌクが口を開く。そこへ,ジェインは
キムパッを押し込んだ。
指先がゴヌクの唇に触れる。
先ほどまで肩に感じてたゴヌクの体温が
今度は指先に移る。

できた食事を居室の方へ運ぶ。
ビーンズ型のソファの前の小さなテーブルへ。
ジェインは食事しながらゴヌクを
愛おしく見つめた。



ケランマリを口に運ぶ手つき。
チゲをすくい口に運ぶその口元。
スプーンを持つ指先。
水を飲み干す喉の動き。
すべてが愛おしかった。






ゴヌクもまた食事するジェインを
愛おしく見つめていた。
箸をとんとんと揃える仕草。
キムパッを口に運ぶ指。
もぐもぐと動く唇。
そして,話しながら時折見せる笑顔。
愛おしく見つめながらも
いつしか心が穏やかに落ち着いていくのが
感じられた。
―ジェイン。君は,日だまりの匂いがする。―
ゴヌクはふいにジェインの手を取った。
「ゴヌク?」
「ジェイン,ありがとう。…それと…君を…愛してる。」

*****************************
ゴヌクの初めての告白です。
いかがでしょう。
シチューエーションを様々に考えましたが
一番自然でごく普通のあり得そうな
ものに決めてみました。
それでは 次回もお楽しみに…^O^

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart25~

2013-07-14 17:56:36 | 創作「赤と黒」
お久しぶりです。
自分でも嫌になってしまうぐらい。悩んでしまいました。
このまま一気にエンディングにしてしまうのか。
それとも…
悩みすぎてついつい時間が経ってしまいましたが
またまたお越しいただいてありがとうございます。
それでは,ゴヌクとジェインの優しい時間をどうぞ。

*************************************



「ゴヌク 一緒にご飯食べよう。」
温かな抱擁を終え,ジェインはゆっくりと体を離した。
ゴヌクはジェインの「パンモクッチャッ(밥먹자)」の言葉に
僅かに瞳が狼狽える。ジェインはそんなゴヌクに気付かないふりをして
言葉を続け,笑う。
「ご飯,一緒に食べる約束だったじゃない。」
「ジェイン…」
ジェインは,ゴヌクの腕を取る。
「さあ,行こう。買い物して…おいしい物
 作ってあげる。」
なかば強引なほどジェインは確信しに満ちた気持ちで
歩き出した。
― 過去は替えられない。でも,未来は替えられる ―

ゴヌクの新しいアパートは二村の漢江公園から
割とすぐの場所だった。途中の小さなスーパーで
簡単に買い物をしてから,アパートに向かった。
高層アパートの12階。エレベーターで上がって
廊下を二人で歩く。ゴヌクは暗証番号を押しドアを
解錠する。そして,静かにドアを開けた。
部屋の中は前のゴヌクの部屋とはまるで違っていた。
白い壁,明るいベージュ系の床色。キッチンも真っ白だった。
小さな冷蔵庫。コンロは2口のガスレンジ。
小さなシンク台だが ちゃんとL字型キッチンに
なっているところがなんだかかわいらしい。
1LDKなのだろう。しきりのないキッチンから
すぐ居室になっている。緑色のビーンズ型のソファが
クローゼットの前にちょこんと置いてある。
窓は2つ。昼間だったら日差しが入ってきて
とても明るい部屋だろう。
ジェインは少しほっとした。
ゴヌクの住んでいる部屋を見て
ゴヌクの心に穏やかな時が流れ始めているのを
感じられたからだ。
そして,ほっとするのと同時に
急に目頭が熱くなってきた。
ジェインは慌ててゴヌクの手から
食材の袋を取り上げると,ゴヌクに背を
向けシンクのほうへ歩いた。
「何か…手伝おうか?」
急に背を向けたジェインに
ゴヌクが問いかけた。

***********************************

ゆっくり時間をかけて
書き進めていますが,
もしよかったら
またお越し下さい。^O^

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart24~

2013-06-02 18:18:24 | 創作「赤と黒」
いつも見に来てくださってありがとうございます。
本編のラストシーンをどう生かそうかと
四苦八苦しております。^0^

***************************


ジェインとゴヌクは漢江の遊歩道に来ていた。
二人でゆっくりと歩きながら今までのことを
互いに話した。長い間そうやって歩き続けた。
いつのまにか太陽は西に沈み
あたりは すっかり夜になっていた。

ゴヌクはふいに立ち止まると,漢江の流れに
目を向けた。ジェインも横に並び川面に映る
町の灯りを眺めた。
「病院で入院していたとき,
 偶然 漢江の河川敷で発見された死体のことを
 耳にしたんだ。警察署に身元不明の張り紙が
 出ていたらしい。」
ジェインは何のことか分からずゴヌクの顔を
振り返った。

「心当たりは全くない男だけど,その男の
 年齢や背格好は俺とよく似ていたんだ。」
「…ゴヌク。」
「俺のことを知っている誰かが,その張り紙を
 見たら俺と思うかもしれないと思った。」
ジェインはゴヌクの口から出てくる言葉に
恐れを感じながらも 黙って聞いていた。
「今,俺がみんなの前から消えれば,
 そいつが俺かもしれないと思って…
 俺は死んだと思ってくれるかもしれないと…」
「…ゴヌク。私にもそう思ってほしかったの?」
ゴヌクはジェインに顔を向けた。
瞳にきらりと光る物がうつる。
「そう。俺のことは死んだと思って
 どこかの金持ちと一緒になればいいと思った。」
ジェインはもうだまされないと思った。
今までいつもそう言ってゴヌクは自分を突き放してきた。
が,しかし。今,間違いなく戻ってきたではないか。
先ほどからの優しい瞳。今の涙をこらえている瞳。
そう,いつもゴヌクの目は嘘を言っていなかった。
ジェインは黙ってゴヌクを抱きしめた。
首筋にゴヌクの暖かさが伝わる。
泣いているのだろうか。ゴヌクもジェインを
しっかりと抱きしめた。


― 生きている ―
はっきりとゴヌクの鼓動が感じられる。
そして,ゴヌクにもジェインの鼓動が
感じられた。
「ゴヌク,戻ってきてくれて…ありがとう。」
「…ジェイン。」
二人は長い間 抱き合っていた。
雪解けにはまだ早い冷気から互いを守るように
暖め合っていた。

***************************
二人がしあわせになってくれればいいなと
思いながら 創作しています。
皆様にも 喜んでいただけたら 幸いです。

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart23~

2013-05-11 15:01:16 | 創作「赤と黒」
5月なのに各地で雪の便りがあるなど
肌寒い日がまだ続いていますが
お元気ですか?

ジェインとゴヌクはようやく雪解けの季節です。

***********************************

ジェインは急いで2階の展示室へと
駆け上がった。
「あっ。」
あまり急いだので階段を登り切ったところで
よろけってしまった。そして,その拍子に
手がひっかかり ネックレスのペンダントトップの部分が
切れて転がっていく。太陽をモチーフにした
ペンダントトップ。金色の炎の部分のフォルムが美しい。
転がっていくペンダントトップを目で追うと
それは誰かの靴の前で止まった。
ジェインは目を上げられずにいた。
かがんだまま 体は硬直したように硬くなった。
その靴の主はゆっくりとそのペンダントトップを
拾い上げる。ジェインはペンダントトップの
太陽のフォルムから目を離さないように
ゆっくりと体を起こした。

顔を上げると懐かしいゴヌクの顔がそこにあった。
ゴヌクはペンダントトップをまるで本物の太陽で
あるかのように天井にかざしてまぶしそうに
目を細めている。そして,その太陽を手のひらに
おさめると目を閉じた。
ジェインは震える声で聞いた。
「ワッソ?(お帰り)」
ゴヌクはゆっくりと目を開けジェインのほうを
まっすぐに見つめ笑った。
「ワッソ。(ただいま)」




*****************************

 勝手気ままに妄想していますが
できるだけ ドラマのラストシーンを
生かして行こうと考えています。

  お楽しみに~(^_^)

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart22~

2013-04-14 00:15:33 | 創作「赤と黒」
いつも見に来てくださってありがとうございます。
いよいよ創作「赤と黒」クライマックスへ
突入です。^0^

***************************





ジェインは,ふうっとため息をついた。
久しぶりに仕事に全力投球し
今日が日程の最終日だ。
今回の展示は自分でも自信があった。
国内外の現代美術をそのテーマ性に沿って
展示したのだ。来場者数も上々で
クライアントも大満足だった。
その日程も後数時間で終わろうとしていた。
今回の美術館は,さほど広くはなかったが
中央に大きな吹き抜けがあり上部の天窓からは
日が差し込んで幻想的な空間になっている。
この期間中 ここがジェインのもっとも好きな場所に
なっていた。



雪のたくさん降った翌日
仕事から帰ってきたジェインを待ちわびていたように
ウォニンが部屋から飛び出してきた。
「お姉ちゃん!見つけたよ!」
突然のことでジェインは何のことか分からなかった。
「おじさんだよ。今日あたし,見たんだ。
 バスの停留所で…」
ジェインはかすかに震える体を支えるように
ドアノブをぎゅうっと握りしめた。
「急いで追いかけたんだけど…見失なっちゃって…
 でも,間違いなくおじさんだった…」
予期せず涙があふれ出した。
「…お…姉ちゃん…」
いつのまにかジェインはウォニンを抱きしめていた。
そして涙が溢れるのに任せた。
ゴヌクがいなくなってから
思い切り泣くのを我慢していたのだ。
(ゴヌク…生きててくれてありがとう。)

あの日からゴヌクを探すのを
いったんやめることにした。
生きているのが分かったのだ。
それにゴヌクはこのソウルにいる。
また,ふと訪ねてくるかもしれない。
そう,こんな日差しの暖かな場所。
きらいじゃなかったはず…
物思いにふけっていたジェインは
ふと視線を吹き抜けの先にある
2階の展示室のバルコニーにやった。
ひとつの人影が展示室から
出てきた。なつかしい影。
その影の主は吹き抜けの上部,
日差しの入ってくる天窓をまぶしそうに
見た。そして,日差しを追うように
視線を一階に落とした。
ジェインと目が合う。
ゴヌクだった。



 

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart21~

2013-03-22 23:32:34 | 創作「赤と黒」

お越しいただきありがとうございます。(^-^)

すっかり暖かくなり春の気配が感じられますね。

しかし、ゴヌクの心はまだ冬です。
春は来るのでしょうか?

それでは,妄想の世界を お楽しみ下さい。

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穏やかなシスターの笑顔には
時間を重ねた優しいしわがいくつか
刻まれていた。
ゴヌクは今まで言えなかった胸の内を
いつしかシスターに語り始めていた。
作業ですっかりかじかんでいた手の痛みも
すっかり忘れて…。

幼いときに受けた仕打ちのこと
養父と母の人生のこと
捨てられてさまよっていたときのこと
実の姉のように慕っていた女性のこと
そして彼女の死のこと
復讐のために生きてきたこと
そんなこととは知らずに援助してくれる
裕福なアメリカの養父母のこと
復讐を果たしたと思ったら
それは自分の本当の家族だった事実
そして,復讐の日々の中で
出会ったひだまりのような温かい女性のこと
罪深い 自分の 人生のこと
捨てた命を 拾われたこと
義理の姉と妹に いくら謝っても
ぬぐいきれない罪を感じている自分
自分を探してくれている女性のこと

もがいても もがいても からみついた糸が
ますます からみつき この世が 真っ暗だと
感じている自分。
今いるここは天国なのか地獄なのか

「シム・ゴヌクさん あなたは
 もう 神様によって 許されているのですよ。」
シスターはゆっくりと笑顔のままそういった。
「あなたが この世に 残ったことが
 その理由です。神様は あなたに 試練を
 お与えになったのではありません。
 生まれ変わり 今まで生きてこなかった
 あなたの本当の人生を 生き直す チャンスを
 お与えになったのですよ。」
ゴヌクは驚いたようにシスターを見た。
年かさも容貌も全く似ていないのに
その口調と雰囲気は まるで 姉と慕ったソニョンのようだった。
「今 あなたがするべきことは
 あなた自身が一番よく知っているでしょう。」
シスターは穏やかに 言葉を続ける。
「あなたの ひだまりに 会いに行き 
 そのひだまりで 包んでもらうことですよ。」
ゴヌクの瞳から一筋の涙が流れた。


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 勝手気ままに妄想していますが
できるだけ ドラマのラストシーンを
生かして行こうと考えています。

  お楽しみに~(^_^)

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart20~

2013-03-12 22:05:46 | 創作「赤と黒」
私事で多忙にしておりましてすっかりご無沙汰していました。(^-^)
ようやくゴヌクのその後です。
それでは,妄想の世界を お楽しみ下さい。

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「ご苦労様」
シスターは 朝から雪かきをしている男に
声を掛けた。
男は木々の葉がすっかり落ち
初雪の降った日から毎週必ずやって来ていた。
男手の少ないこの教会の孤児院には
願ってもないボランティアだった。
ただ何のつながりもなく しかもたった一人で来る
ボランティアには今まで出会ったことがなかった。
それで最初はいぶかしく思ったシスターだったが
その熱心な働きぶりと仕事の合間に子ども達と遊ぶ
姿に今では信頼を寄せていた。
特にあの日の出来事は忘れられなかった。

その日は朝から雨が降っていた。
午後を過ぎると雪になりそうだと
ラジオが言っていた。
お昼前に教会に福祉事務所のリュさんが
やって来た。女の子を一人連れていた。
女の子を遊戯室の脇のベンチに
座らせ事情を説明するために
園長室へリュさんは一人入っていった。
ほどなく年かさの大きい子どもたちが
女の子を囲みわいわいと騒ぎ出した。
シスターは慌ててそばに近づくと
子ども達の声が耳に入ってきた。
「耳が聞こえないのか?」
子ども達に騒ぐのをやめなさいと
声を掛けようとしたとき,
男がすっと間に割って入ってきた。
そして,女の子の前に膝をついて
手話で話しかけ始めた。
緊張でおどおどしていた女の子だったが
安心したのか手話で男に返事をしているようだった。
男がまた何事か手話で伝えると
女の子は笑みを浮かべ 立ち上がると
「わたしは…キム・スヒャン…です。
 よろしく…お願い…します。」
たどたどしい発音ではあるが
しっかりとした口調でそう言った。
それから3ヶ月。
男のおかげでスヒャンはあっという間に
子ども達にとけ込んだ。
子ども達も男から手話を習い
スヒャンとの会話は困らなくなっていた。

「手話,お上手ですね。
 どこで 手話を習ったのですか?」
男は 雪かきをしている手を止め
シスターを振り返る。
額にうっすらと汗をかいている。
いつも笑顔で温かな雰囲気の男だが
シスターの質問には少し寂しげな目をした。
「…父は,耳が不自由でした…。」
シスターは,ああそうだったのかと
納得した。彼の手話は愛に満ちていたからだ。
どこかの講習会や手話ボランティアで習った
スキル的な感じが全くしなかった。
優しさや心の奥にまで届きそうな愛に
満ちていた。父への愛だったのね。
「シム・ゴヌクさん,どうして
 ここへ来たのですか?」
シスターは笑みを浮かべながら
穏やかに質問を続けた。

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 勝手気ままに妄想していますが
できるだけ ドラマのラストシーンを
生かして行こうと考えています。

  お楽しみに~(^_^)