チェイルチョアハヌン韓国ドラマ&韓国旅日記

韓国ドラマだ~いすき!
毎日韓国三昧な日々を過ごしています。
気ままな独り言におつきあいくださいませ。

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart21~

2013-03-22 23:32:34 | 創作「赤と黒」

お越しいただきありがとうございます。(^-^)

すっかり暖かくなり春の気配が感じられますね。

しかし、ゴヌクの心はまだ冬です。
春は来るのでしょうか?

それでは,妄想の世界を お楽しみ下さい。

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穏やかなシスターの笑顔には
時間を重ねた優しいしわがいくつか
刻まれていた。
ゴヌクは今まで言えなかった胸の内を
いつしかシスターに語り始めていた。
作業ですっかりかじかんでいた手の痛みも
すっかり忘れて…。

幼いときに受けた仕打ちのこと
養父と母の人生のこと
捨てられてさまよっていたときのこと
実の姉のように慕っていた女性のこと
そして彼女の死のこと
復讐のために生きてきたこと
そんなこととは知らずに援助してくれる
裕福なアメリカの養父母のこと
復讐を果たしたと思ったら
それは自分の本当の家族だった事実
そして,復讐の日々の中で
出会ったひだまりのような温かい女性のこと
罪深い 自分の 人生のこと
捨てた命を 拾われたこと
義理の姉と妹に いくら謝っても
ぬぐいきれない罪を感じている自分
自分を探してくれている女性のこと

もがいても もがいても からみついた糸が
ますます からみつき この世が 真っ暗だと
感じている自分。
今いるここは天国なのか地獄なのか

「シム・ゴヌクさん あなたは
 もう 神様によって 許されているのですよ。」
シスターはゆっくりと笑顔のままそういった。
「あなたが この世に 残ったことが
 その理由です。神様は あなたに 試練を
 お与えになったのではありません。
 生まれ変わり 今まで生きてこなかった
 あなたの本当の人生を 生き直す チャンスを
 お与えになったのですよ。」
ゴヌクは驚いたようにシスターを見た。
年かさも容貌も全く似ていないのに
その口調と雰囲気は まるで 姉と慕ったソニョンのようだった。
「今 あなたがするべきことは
 あなた自身が一番よく知っているでしょう。」
シスターは穏やかに 言葉を続ける。
「あなたの ひだまりに 会いに行き 
 そのひだまりで 包んでもらうことですよ。」
ゴヌクの瞳から一筋の涙が流れた。


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 勝手気ままに妄想していますが
できるだけ ドラマのラストシーンを
生かして行こうと考えています。

  お楽しみに~(^_^)

創作「赤と黒」~新たなるラストシーンPart20~

2013-03-12 22:05:46 | 創作「赤と黒」
私事で多忙にしておりましてすっかりご無沙汰していました。(^-^)
ようやくゴヌクのその後です。
それでは,妄想の世界を お楽しみ下さい。

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「ご苦労様」
シスターは 朝から雪かきをしている男に
声を掛けた。
男は木々の葉がすっかり落ち
初雪の降った日から毎週必ずやって来ていた。
男手の少ないこの教会の孤児院には
願ってもないボランティアだった。
ただ何のつながりもなく しかもたった一人で来る
ボランティアには今まで出会ったことがなかった。
それで最初はいぶかしく思ったシスターだったが
その熱心な働きぶりと仕事の合間に子ども達と遊ぶ
姿に今では信頼を寄せていた。
特にあの日の出来事は忘れられなかった。

その日は朝から雨が降っていた。
午後を過ぎると雪になりそうだと
ラジオが言っていた。
お昼前に教会に福祉事務所のリュさんが
やって来た。女の子を一人連れていた。
女の子を遊戯室の脇のベンチに
座らせ事情を説明するために
園長室へリュさんは一人入っていった。
ほどなく年かさの大きい子どもたちが
女の子を囲みわいわいと騒ぎ出した。
シスターは慌ててそばに近づくと
子ども達の声が耳に入ってきた。
「耳が聞こえないのか?」
子ども達に騒ぐのをやめなさいと
声を掛けようとしたとき,
男がすっと間に割って入ってきた。
そして,女の子の前に膝をついて
手話で話しかけ始めた。
緊張でおどおどしていた女の子だったが
安心したのか手話で男に返事をしているようだった。
男がまた何事か手話で伝えると
女の子は笑みを浮かべ 立ち上がると
「わたしは…キム・スヒャン…です。
 よろしく…お願い…します。」
たどたどしい発音ではあるが
しっかりとした口調でそう言った。
それから3ヶ月。
男のおかげでスヒャンはあっという間に
子ども達にとけ込んだ。
子ども達も男から手話を習い
スヒャンとの会話は困らなくなっていた。

「手話,お上手ですね。
 どこで 手話を習ったのですか?」
男は 雪かきをしている手を止め
シスターを振り返る。
額にうっすらと汗をかいている。
いつも笑顔で温かな雰囲気の男だが
シスターの質問には少し寂しげな目をした。
「…父は,耳が不自由でした…。」
シスターは,ああそうだったのかと
納得した。彼の手話は愛に満ちていたからだ。
どこかの講習会や手話ボランティアで習った
スキル的な感じが全くしなかった。
優しさや心の奥にまで届きそうな愛に
満ちていた。父への愛だったのね。
「シム・ゴヌクさん,どうして
 ここへ来たのですか?」
シスターは笑みを浮かべながら
穏やかに質問を続けた。

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 勝手気ままに妄想していますが
できるだけ ドラマのラストシーンを
生かして行こうと考えています。

  お楽しみに~(^_^)