夢見るババアの雑談室

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ほぼ身辺雑記です

「闇に沈む島」ー2-

2022-04-23 21:32:32 | 自作の小説

ーコーラー

 

およそ30年前 世界中が敵となり この国は他国の支配下となり 首都だけが独立国として残された

秘かに同盟を結んでいた国も この国を見限り裏切った

私達はこの国が威信を そして領土を取り戻す計画の為に生まれた時から 両親から引き離され 国家による教育で育てられた

 

国こそ全て 国民は国の為に生存している

鎖国し世界を閉ざした国・・・・・

充分な力をつけるまで 国民は国の外へ目を向けてはいけない

世界は敵だ

敵を斃すまでは

国こそ愛 国こそ親

個人の考えは認められない国

締め付けて 締め付けて それが「普通」と教え込む

ある種の洗脳

生き続ける為に その教えに従っていなければならない

 

それでも綻びは生じる

抑えつけられれば 抑えつけられるほど

何かおかしい 真実を知りたい!と思う人間は出てくる

外の世界を知りたい

本当にこの国の外は・・・・・悪魔のようなひどい国ばかりなのか

あるちっちゃな島国は この国の領土をぶんどったと

 

みんな敵だ 破滅させるべきだと 国は教える

疑問を持つな

国に尽くすのだと

 

全部嘘 真実は真逆

隣国が言う通りにしないからと攻撃を始めたこの国は その身勝手さと残虐非道ぶりで 世界中から非難され

 

かろうじて首都だけ残してもらえたのだ お情けで

この国の首脳陣はそれさえ良しとしなかった

またかつてのような広い領土を手に入れるのだ

その為なら どんな手段を使っても

 

反省などしない指導者たち

 

子供の素質とか適性で分けられ 何故か私は表向きはジャーナリスト

国家への提灯持ち記事を書く

そして密命は国家の為にならない人間を密告すること

いつ私も密告されるかわからない

破滅と背中合わせの日々

そういう日常

 

家族どころか友も持てない

 

それでも私は幾人かと連絡とる術を見つけた

同じテーブルには座らない

隣り合わせ 背中合わせの席で秘かにメモを渡し合う

それが会話の代わり

 

国に絶望し逃げて他の国へ向かう者

この国をどうにかすべく地下にもぐる者

それぞれの戦い

 

かと思えば いつの間にか消されている人間

私が生きているのは そういう国だった

休暇に良いと言われている謎の島があって ひそかに調べるうちに

私は幼児学級の時の娘と再会した

彼女は研究職で 自分の研究していることの恐ろしさに気付き

やっぱり調べていたのだ

ごくごくこっそりと

 

私は手持ちの情報と ある場所を彼女に教え・・・・・

私達は5年休みなしで働いた人間に与えられる特権

束縛なしの島行きの許可を得た

 

約束の時間 島に彼女は現れず

私は一人で動き始めたが

島はとんでもない状況となり

おかしな化け物が跳梁する場所となった

 

そして そして やっと現れた彼女は記憶を喪っていたのだ

「アリス」と自分の名前で呼ばれても それが自分の名前と気付けない

 

たとえアリスが記憶を喪っていても 私達は一緒に行動できそうだった

まだアリスに言っていない教えていないことがある

瞳の色こそ微妙に違うけれど

私は淡い金色の髪に翡翠色の瞳 アリスは琥珀色に見える赤みがかった金髪に緑色の瞳

だけど身長はほぼ一緒

 

アリスは 私の妹なのだ

父は警察官 母は研究者

そしてどちらも 私達を取り上げられたあと

殺された

たぶんアリスは母に 私は父に似たのだろう

 

この国に不満を持ち 居なくなったブランドン

彼が調べて教えてくれた私の家族のこと

 

ブランドン

彼が現在何処にいるのか 私は知らない

生きているのか 死んでしまったのか

 

 

 



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