夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「わたしのお仕事」

2024-08-22 09:43:37 | 自作の小説

毒親なんて言葉は好きではないけれどー

ーとその娘は言ったー

 

でもね 親の過剰すぎる期待ってね 時には物凄く重圧なの

自分でね やっぱり到底無理とかわかるのに もっと凄い人 素晴らしい人達がいっぱいいるのにね

親にはわからないの

 

あなたにはこれだけお金をかけてきたのよ

こんなに可愛く産んであげたんだから

 

だから なれるはずよ

 

おかしいわ 一つ上のあの娘がなれたのに あなたがなれないなんて

絶対あなたの方が可愛いのに

もしや あなたイジメを受けているんじゃない

絶対 そうよ 許せないわ

 

でもって 

あたしは もうそこに居るのもつらいように追い込まれた

誰も言わないけれど あたしにはそう見えるの

周囲の人は あたしを こう見ている

 

あの娘はね 信用できない

自分に都合の良いように 物事を変えて話す

それだけの身を削るような努力もしていないのに

自分を守るために嘘をつくんだわ

 

ええ そう

あたし 自分で自分を追い込んでしまった

できもしないのに

 出来ます やってます

そう言って

全然できていないのに

だから嘘を吐くしかないの

責任が果たせていないから

なんにもやるべきことができないから

 

嘘がバレるから 相談もできない

教えを乞うことも

だからね もう嫌になっちゃったの

 

もう いいや

 

そう思ってしまったのよね

 

ーただ それだけで娘は死んだのだとー

 

「できないなら おえない責任なら 無理ですって言えば良かったのに」

うん こうなってから気づいた

重かったんだ 重すぎてしんどかった

あたし自身が届かないってわかっている場所へ行けると 思い込んでいる相手にさ

そんなの絶対無理です

って教えるの 

あたしが願っている場所はそこではないーと

 

あたしは そんなにできる人間ではないって言うのもね

できなかったの

 

「景色を見納めたなら そろそろ行きましょうか

もうお盆も終わりましたよ」

 

はい 死神さん 

待っててくれて有難う

 

ーその娘は こくりと素直に頷く

わたしは 娘の手を取り すいとその魂を胸に収める

次の世界へ届けるために

 

それが わたしのお仕事ゆえに

 

 

 

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