最後のお願い
前略 最愛の妻と家族へ
本当は胃がんだったんだね。それも三年の命だなんて・・・知らなかったよ、そんなこと・・・。てっきり胃潰瘍の手術だとばかり思っていたよ。
43歳の秋、あと三年の命です、と無情な宣告を受けた時の家族の胸中を思うと、すまなかったという思いで心が痛みます。
あの時、ガンを告知されていたら今の私はここにはいなかったかも・・・・。そしてあれから二十数年。二度ばかり入退院を繰り返した私に、「大丈夫、私がついているから」と励まし、手厚い看病をしてくれた君と娘たち。
「あなたの花道は私が飾ってあげるから」と優しく私を支え続けてくれた、幼馴染の君に、もう一つお願がある。「頼むから、私より長生きして欲しい」。約束してくれるネ、最後のお願いを・・・。
先日のFM放送の際に、パーソナリティのJさんが、冒頭に読み上げた私の68歳のラブレターです。
今、ガンを告知されたら開き直って聞きいれられるかもしれないけれど、43歳のあのときだったら・・・。今思うと背筋がゾッとしてきます。