ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

都市伝説の復活! ……なんて、ご大層なものではないのだよ。

2008-08-15 | 映画
「口裂け女」

酷い映画だ。

「ワ・タ・シ・キ・レ・ー」の真相がわずかな捻りで、予想できるオチまで、ほとんど取り得がない。

子どもに対する強い愛情がありながら、とっさに子どもに手をあげてしまうという自分の矛盾したDV行動に悩む若い母親。この極めて現代的ともいえる母子関係と30年前の知られざる事件とが交錯して、「口裂け女」の悲しい真実が明らかになる……。
なんて惹句風の紹介をするといくらか面白そうでしょ? でも、期待してはいけません。
口裂け女の「正体」は取り付く邪霊とでもいうべきもの。実体は30年前に死んでいる。その遺体が封じられていた隠し部屋の扉が、謎の地震をきっかけか(実のところは地震がきっかけで蘇ったのか、蘇ったせいで地震が起きたのかも判然としない。クライマックスにも地震が起きるし。)、開いてしまう。で、「母親たち」の体を乗り換えて子どもをさらい、また、惨殺する。

お話に一本の筋道が通っていない。どうにも場当たり的に過ぎる。主役の佐藤江梨子、加藤晴彦の行動もなんだかすっきりしない。映画としてはまるでダメだ。

PG-12作品でありながら、子どもだまし。

見終わって、とにかくがっくりくる。

それでも、川合千春(「真女神転生/デビルサマナー」レイレイホウ)、坂上香織(「ウルトラマンコスモス」シノブリーダー)、水野美紀(「千里眼」岬美由紀)が小学校高学年の子を持つ母親の役を演じていることにある種の感動を覚えたのが、収穫かもしれない。

監督は「ノロイ」の白石晃士。しかし、その不満から、やはり未見であった黒沢清監督の「叫」を見ようと決意させてくれた点も収穫だった。