ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

落ちる前に見ておけ! それは神代(くましろ)の「地獄」だよ。

2006-05-23 | 映画
DVDになっていない作品といえば、ダリオ・アルジェントの「インフェルノ」もそうだ。

この「だらしない」作品を初めて見たときから、作品の破綻具合以上に、背後に潜むムードのようなものに、知らず、惚れ込んできた。

そして、すなわちキース・エマーソンの音楽が教えてくれた。「メーター・サスペリオルム、ラクリマルム、テネブラルム……」と。

この作品の背後にはトマス・ド・クインシーの「深き淵よりの溜息」という作品が横たわっており、「メーター・サスペリオルム、メーター・ラクリマルム、メーター・テネブラルム」とは三人の魔女、闇の聖母の名前なのである。

すなわちこの「インフェルノ」は同じアルジェントの「サスペリア」の正統な続編だったのである。

以来トマス・ド・クインシーの「深き淵よりの溜息」を読みたいと思いながら、当時は入手困難であったため果たせなかった。(いまはクインシー著作集1で、ちょっと値段は高いが入手可能だ。今度こそ読むかな)。それでフリッツ・ライバーの「闇の聖母」を読んだり、また、ティボー・タカスク監督の「ハードカバー/黒衣の使者」を見て喜んだりもしてきた。それでも、それは「インフェルノ」そのものではない。

まがりなりにも「フェノミナ」も、「サスペリア」も「サスペリアPart2」もDVD発売されているのだから、「インフェルノ」もぜひ出して欲しい。

アイリーン・ミラクルの奇妙な地下室水泳を久しぶりに見たいし、キース・エマーソンの、素敵なピアノ曲もさりながら、宗教音楽っぽい主題曲も聴きたい。図面と写真で、「建物」の不自然さに気付いていくシーンとかも見たい!

ついでに、噂の第三部もアルジェントが撮ってくれたらなぁ。「シャドー」の原題TENEBREを見たときには期待したのだが、あれはつまらないスラッシャーだったからなぁ。


*落ちる前に見ておけ、というのは神代辰巳監督の「地獄」の宣伝文句。