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◇ 凶悪な少年犯罪は減ってきています

2015年06月12日 14時28分41秒 | 日常・その他
  先日、痛ましい少年犯罪のニュースがあっていました。

このような事件があるとTVのワイドショーなどで取り上げられ、
キャスターやコメンテーターの方が
『最近の若い者は残虐なことを平気でする、少年の凶悪犯罪が多くなった』と、
いかにも昔はこんなではなかったかのように語ったりします。
街角インタビューでも『人間のすることとは思えない』とか『本当に怖い世の中になった』
などと言った声が取り上げられます(仕込まれた通行者Aさんの声かもしれませんが)。

   以前から気になっていたのですが、
   こんなコメントなどを聞くと違和感を覚えます。
   なぜ、こんないい加減なことを公共の電波を使って言うのでしょうか。
 
統計をみると凶悪な少年犯罪は減ってきています。

    ※出典:警察庁 > 統計(http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm)に掲載の
        刑法犯少年関係の「統計データ」の一部、及び
        総務省統計局 > 統計データ > 日本の長期統計系列 > 目次 > 第28章 司法・警察
        (http://www.stat.go.jp/data/chouki/28.htm)に掲載の
         「一般刑法犯犯罪少年の罪名,年齢別検挙及び補導人員」の一部を併合して編集
    ※この表での凶悪犯とは「殺人」、「強盗」、「放火」、「強姦」
     この表での粗暴犯とは「凶器準備集合」、「暴行」、「傷害」、「脅迫」、「恐喝」

私が若い頃の方が遙かに多かったのです。

 中高年のキャスターやコメンテーターさんへ
 『あなたの若い頃(上表の黄色網掛け年)のほうが余っ程悪く、現代の若者のほうが御行儀がいいんですよ』
 と言いたくなります。

   私が勤めている某職業訓練校の寮にもルールを守れない悪ゴロがいますが、
   50年前の頃の不良は、刃物を持ち歩いたりして、
   今とは比べ物にならないくらい恐ろしい存在だったと思います。
   (数で比較したときの話です)

一般刑法犯検挙人員の年齢層を見ても中高年の方が増えてきています。

    ※出展:法務省 > 白書・統計 > 犯罪白書
     (http://www.moj.go.jp/housouken/houso_hakusho2.html)に掲載の
         「平成26年版 犯罪白書のあらまし」から引用
        
 『中高年人口が増えて少年人口が減ってきたからではないのか』
  と反論されるかもしれませんが、
  検挙人員数の対同世代人口の割合でも、
  平成25年に少年と成人が逆転し、成人のほうが悪いことをする人の率が高くなりました。
 
   ちなみに、少年の入所受刑者(懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年であって、
   その刑の執行のため入所した受刑者)の人員も、昭和41年には1,000人を超えて
   いましたが、その後大幅に減少し、昭和63年以降は100人未満で推移し、
   平成25年は31人となっているそうです。


なぜ「昔のほうが凶悪犯罪が少なかった」と錯覚するのでしょう。
  推測ですが、 
  昔は若者による乱暴な行為を身近なところで見聞きしていたので
  凶悪事件のことが今ほど強く印象に残らなかったのかもしれませんし、
  凶悪な事件が多かったので、一つの事件が今ほどセンセーショナルに
  取り上げられることがなく、記憶に残らなかったのかもしれません。
  
  昭和の昔に比べて今は物質的に満たされ穏やかになった社会状況なので、
  凶悪な事件が"目立つ"ようになって、"多くなった"と錯覚するのかもしれません。

    「人間には過去を美化する無意識の本能がある」とも言われますので、
    そのせいかもしれません。
    

キャスターやコメンテーターの方は、
根拠もなく断定的な口調で印象操作をしてはいけませんよ。
誤ったことを言って、若い人たちの全体の印象を悪くしては可哀そうです。

  対策を考えるにしても、正確な情報に基づいた考察が必要ではないのでしょうか。
  感覚的なもので判断していたら効果的な対策が生まれるとは思えません。

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