湯原修一の歓喜悦慶と聊かの慷慨憂愁, etc.

いつとはなしに眠りにおち微風を禿頭に感じて目が覚める。
このような生活に変わったらブログが更新されないかもしれません。

♥ 006 海洋資源大国日本という幻想(?)

2015年03月02日 23時15分16秒 | 紫苑色の重い思い[慷慨憂愁]
またまた「紫苑色の重い思い」で、
春の弥生なのに暗い気分にさせてしまいそうです ・・・


  昨朝のテレビで
  西之島(ニシノシマ)(*)が大きくなっているという話題が取り上げられ。
  『これで少し領海が広くなりました』という話がでていました。

      * : 小笠原諸島の島(無人島)で、海底火山の活動により生じた火山島です。
         現在は直径約2キロメートルにまで成長しているそうです。


日本は世界有数の海洋資源大国だといわれてます。

エネルギー資源となるメタンハイドレードをはじめ、金、銅、亜鉛などの鉱物資源、
ニッケル、コバルトなどのレアメタル、そしてレアアースなどなどが、
日本の排他的経済水域内に大量に存在しているというのです。


日本の領土面積は「世界62位」(デンマークの領土にグリーンランドを含めたとき)ですが、
領海及び排他的経済水域の面積は「世界6位」です。

  ・領海及び排他的経済水域の面積:約447万平方キロメートル 世界6位 
  ・領土                   :約38万平方キロメートル 世界62位


「海洋法による国際連合条約」にあるとおり(下記条文第56条、第77条ご参照)、排他的経済水域
及び大陸棚(**)においては沿岸国に天然資源の開発等の権利があると明文化されています。
これを拠り所として「日本は海洋資源大国」と言われているようです。

     ** : 排他的経済水域の外側にまで大陸棚の拡張が認められる場合がありますが、
        日本が提出していた大陸棚限界延長申請を認める勧告が2012年4月に出され
        ましたので(一部は審査先送り)、権利が及ぶ面積が約31万平方キロメー
        トル広くなって、現時点では世界第5位になっているはずです。


   ---- 「海洋法による国際連合条約」 (抜粋) ----------------

    (排他的経済水域及び大陸棚における権利に関する条文の一部抜粋) ・・・

     第56条 排他的経済水域における沿岸国の権利、管轄権及び義務

      1 沿岸国は、排他的経済水域において、次のものを有する。

       a.海底の上部水域並びに海底及びその下の天然資源(生物資源であるか
         非生物資源であるかを問わない。)の探査、開発、保存及び管理のための
         主権的権利並びに排他的経済水域における経済的な目的で行われる探査
         及び開発のためのその他の活動(海水、海流及び風からのエネルギーの
         生産等)に関する主権的権利

     第77条 大陸棚に対する沿岸国の権利

      1 沿岸国は、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため、大陸棚に対
        して主権的権利を行使する。
      2 1の権利は、治岸国が大陸棚を探査せず又はその天然資源を開発しない場合
        においても、当該沿岸国の明示の同意なしにそのような活動を行うことができ
        ないという意味において、排他的である。
      3 大陸棚に対する治岸国の権利は、実効的な若しくは名目上の先占又は明示の
        宣言に依存するものではない。

    (義務に関する条文の一部抜粋) ・・・ 海洋汚染防止関係

     第194条 海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するための措置

      1 いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び
        規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い、かつ、
        自国の能力に応じ、単独で又は適当なときは共同して、この条約に適合する
        すべての必要な措置をとるものとし、また、この点に関して政策を調和させるよう
        努力する。

      2 いずれの国も、自国の管轄又は管理の下における活動が他の国及びその環境
        に対し汚染による損害を生じさせないように行われること並びに自国の管轄又は
        管理の下における事件又は活動から生ずる汚染がこの条約に従って自国が
        主権的権利を行使する区域を越えて拡大しないことを確保するためにすべての
        必要な措置をとる。

   ---- 以上 ------------------------------


しかし、喜んでばかりいて大丈夫なのでしょうか。

「海洋法による国際連合条約」には義務的なことも謳われています。

その中の一つが「海洋環境の汚染防止」についてです(上記条文第194条ご参照)。

義務を果たさず権利ばかりを主張することはできないように思えます。

   ※そもそも、日本語に訳された条文を見る限りでは(正文を読む語学力がありませんので)
     ”海洋資源は沿岸国のものである”という意味のことを書かれたところが無いようです。
    日本語に訳された”開発”には、その意味を含んでいるのでしょうか。



福島の汚染水の問題はどうなっているのでしょうか。
(メルトダウン(スルー(?))して、今どこにあるのかもわからない燃料もそうですが)

「現在ある技術では手の打ちようがない(つまり、お手上げ)」というのが実状ではないのでしょうか。

  どこからかの圧力でもあるのか、最近ではナショナルメディアで汚染水処理に関する詳しい状況に
  ついての情報を目にすることがほとんどありません。
  人目にふれることが少ない深夜の教育テレビなどで、偏向報道はしていないとのアリバイ作り(?)
  のためなのか、申し訳程度に偶に取り上げられているようですが。

     ちなみに、
     先日の高濃度溜り水検出と汚染水の港湾外への流出に関して経済産業省さんのwebサイトに
     「福島第一原発における高濃度のたまり水と海洋への影響について」<2015.2.24>が公表
     されています。
     奥歯に物がはさまったような軟らかな文面からは「公表せざるをえないが虚偽は書けない。
     だが、寝た国民を刺激してもいけない」と苦心されたような跡がうかがえます。
     解からないのは添付資料の「港湾外近傍の海水分析結果」がなぜ東京電力作成資料なのか
     ということです。
     経済産業省さんのほうから
       『政府が困らないように数値を捏造・改竄してもらって結構です。
           万一バレたときは東電さんが勝手にやったということで責任をとってください』
     とでも言っているのでしょうか。

       容疑者(?)に”容疑者の有利/不利になる証拠”を集めさせるようなことをして、
       そんなことでよいのでしょうか。


溜るばかりの汚染水は、もうどうにも手の施しようがないということで
原子力利用推進機関 兼 取締り機関(反原発派の方に言わせれば”泥棒 兼 防犯パトロール員”
のようなもの)であるIAEA(国際原子力機関)の方が『海洋放出は現実的な解決策』という
提言をされたそうですが ・・・

渡りに船と、原子力利用推進機関の言葉に安易に乗っかっていいのでしょうか ・・・

  
20年後、日本が海洋資源開発に成功し、国民挙ってバラ色の未来に酔い始めた頃に、
色んなところと利害で結びついている(?)IAEAさんが
関係者同道で次のようなことを言ってこられたとしても驚きません。

  『20年前のあのときは日本が処理に困っていたようなので汚染水を希釈して海に流すことを
   認めましたが、常識としてお分かりでしょうが、放射性物質で海を汚染し続けることは
   通常であれば当然許容されるものではありません。
   困っている日本を助けようと緊急避難的に許したわけでして、そのことによる海洋汚染で
   不利益を被った関係諸国に対して無償ですむものではありません』
  『損害・危害を金銭的に換算すれば60兆ルーブル/6兆元/1兆ドル(***)を遙かに超える莫大
   なものになることが予想されますので、一括して通貨で補償しなさいとまではいいません。
   海洋汚染に起因するものなので、日本が開発された大陸棚資源について、その生産額又は
   生産量の相当割合(全てになるかもしれませんが)を、被害を受けた国々へ公平に配分す
   るための基金に充当するということでいかがでしょう』
  『もちろん異議はないでしょうね』
  『今後の扱いについては国際海洋法裁判所ほか国連関係機関へ委ねることにします』
  
       *** : その頃の基軸通貨は何でしょう


寝耳に冷水の日本が

  『福島だけじゃなくアメリカやソ連(当時)、イギリス、フランスなども核爆弾実験によって
   放射性物質を海にバラ蒔いたじゃないか。なんで日本だけが ・・・』

などと言っても通用しないと思われます。

  大気圏内や水中で核実験が盛んに行われたのは「海洋法による国際連合条約」が発効する(1994年)
  前のことであり、発効後には旧連合国大国のアメリカ、ソビエト、イギリスは
  地下核実験(放射性降下物が殆ど発生しない)を含め一切していません。
  
      ※核実験の停止あたっては
       「部分的核実験禁止条約」(1963年10月発効(フランス、中国などは未調印))や
       「包括的核実験禁止条約」(現時点で未発効)などが要因になりますが、
        斜めにものを見るきらいがある私は、「海洋法による国際連合条約」の発効も
        念頭にあったのではないかと推察します。
  
   ・アメリカ 最後の核実験 1992年9月23日
   ・ソ連      〃      1990年10月24日
   ・イギリス    〃      1991年11月26日

  発効後に地下核実験をした旧連合国大国は次の2ヵ国です。
  (それでも大気圏内や水中ではやっていません)  

   ・フランス 最後の核実験 1996年1月27日
   ・中国      〃     1996年7月29日      

某大国はしれっと
『我が国は条約発効以降、その趣旨を十分理解・尊重して遵守してきています』と言うでしょう。

  それでなくても覇権国家であれば黒を白と言いくるめることもできます。
  残念ながら日本は覇権国家ではなく、覇権国家に従属している国に過ぎません。


物わかりが悪くて思いやりのある(?)日本国民に対しては
『魚は汚染されていません。風評に惑わされず安心して食べてください』といって通用しても、
誰彼の隠蔽・矮小化体質が改善されないままでは、
外国の方に『はい、わかりました』と素直に納得してもらうことは困難と思われます。
逆の立場だったら、日本国民の多くも同じような対応をとることでしょう。
(3.11の前と後で、放射性物質の危険性についての日本政府の対応が
      ”経済的理由により”コロッと変わってしまったということなのでしょう)


  発生源や発生源と利害を共にするところがいくら”風評被害”と言っても信用されるはずもなく、
  偽造屋が『これは本物です』と言い張っているように見られるだけです。
  利害が絡まない第三者(もちろんIAEAなどではない)による「人間の健康に直ちに影響がでるとは
  考えられない」という言質を得られたとしても、海水や海洋生物が放射性物質で汚染され
  続けているという事実は消えません。


『日本が資源大国なんかになっちゃったらチョットマズイナー』なんて考えている国々などは
今せっせと海水や海洋生物動態等に関するモニタリングを進めているのではないかと ・・・
そして最も効果が期待できると判断したときに、そのデータを公表して賠償の請求や
日本の海洋権益への異見を主張し始めるのではないかと ・・・

そんな杞憂と思えるかもしれないことを、ふと憂慮してしまうのです。


福島のことに蓋をしたまま(肝心の格納容器には蓋がされていないようですが)
『海洋資源大国日本 万歳!』などと浮かれていてよいのでしょうか。


20年後までにどうすればよいのでしょう

 ① 放射性物質の悪影響を無くす技術を開発する
    ※汚染解消(健康被害解消)と資源確保の一石二鳥で一番望ましい
      ことと思われます。
 ② 海洋資源開発のための革新的・独占的技術を開発し主導権を握る
    各国への資源開発・実用化協力と賠償とをバーターする。
    世界中で生み出される資源マネーを賠償にあてる。
 ③ 海洋資源を世界共有のものとする
    ※賠償問題は解消できないかもしれません。
 ④ 日本が覇権国家になる
    ※莫大な軍事費あるいはウルトラウェポンの開発が必要となりますが、
     その動きが察知されたら、その時点で日本は潰されるでしょう。
     サイバー兵器については、名乗った上での事前実証ができないので
     先制や報復には有効だが、抑止や圧力にはならないと考えられます。
 ⑤ 20年後に覇権国家になっている国に従属する
    ※アメリカに替わった(?)新たな覇権国家に、また国富を吸い上げ
      られることになります。
 ⑥ 国際海洋法裁判所の裁定に甘んじる

①~③はどれも実現困難又は不可の、素人が思い描く夢みたいなことかもしれません。
④及び⑤は旧態の世界秩序を前提の思想に立った愚かな選択のように思えます。
(①でなければ、永遠ともいえる長きにわたって汚染が続くことになります) 

 20年後に、なにも起こらず杞憂に終わった
        ということになれば良いのですが ・・・

          それでも放射性物質は漏れ続けているのでしょうが ・・・

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