カメラマサムネ

スピッツ・草野マサムネさんの詞からみつけた花・夕焼け・風・人・ぬけ道 撮ってみました

「鈍感なやつにはまるで感じられない」

2008-01-18 18:27:25 | 本本本(★★★★☆~)
春の雪ー豊饒の海(一) 三島由紀夫著 1977年 ★★★★★


いやー。
三島由紀夫は、大学生の頃に初めて「金閣寺」を読んで以来だったのだけど、

この文章力。

ものすごい。

文庫本で460ページあまりある内、大切なことばかりが
こうも凝縮され、躍動感としっとりした情緒とがないまぜになった
悲しいほど美しい文体で語り尽くされていることに感嘆するしかない。

人間のこころの機微・・・。
その深い苦悩が分からない人に対する優越感みたいなものが見え隠れする。
研ぎ澄まされた感覚を持つ作家からしたら、一般人はそう映るのかもしれない。

「貴様たち二人だけが、蜻蛉の恋のように、
空中に浮かんで静止しているわけには行かないだろう」

こんな風に比喩がものすごく美しい。
これを辞書なしで鉛筆で原稿に書いていたんだなあ。昔の人の、力量。

三島由紀夫が同性愛者かどうか、とゆうところで
主人公の描写を見ているとどうしてもそう感じられてしまう。目線がね。

ああ、わたしゃあ自分の文章力のなさがつくづくイヤんなっちゃうよ。笑

少しだけ小難しくても美しい文章・日本語に触れたい人
叶わぬ恋や輪廻転生・大正初期の貴族に興味がある人におすすめです。

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