カメラマサムネ

スピッツ・草野マサムネさんの詞からみつけた花・夕焼け・風・人・ぬけ道 撮ってみました

「食らいついてこい!」

2009-11-16 17:20:08 | 本本本(★★★★☆~)
サクリファイス 近藤史恵著 2007年 ★★★★☆

「サクリファイス=犠牲」・・・そんな重々しい題名から
ちょっとオドロオドロしい内容を想像していた。
ところが題材はロードレース。自転車が高速で走る、最強サイクリング。
そして、実は、ミステリー。

ロードレースを中心に、昔の恋や、メンバーとの確執、そして
過去にまで遡った謎解きがテンポよく散りばめられている。

そしてこうゆうスポーツ小説の醍醐味は
真剣に向かい合う人物の目を通して、
自分には馴染みのなかったこの競技のことを知れること。
ひさしぶりにツール・ド・フランスやトライアスロンを観てみたくなった。

あとちょっと、人物造詣に豊かさがほしかった。ので、実際は★3.6くらい。


人間の心の奥底に潜む色々な気持ち、駆け引き。
無我夢中にスポーツに人生を捧げる姿を見たい人におすすめです。

「あんたもおいでよ」

2009-11-12 16:46:58 | 本本本(★★★★☆~)
きみの友だち 重松清著 2005年 ★★★★★

この本を思い出すと、じんわり思わず涙が滲んできて、そんな自分に戸惑うほど。
そのくらい深いところで感動した作品。
ずーーっと忘れたくない。重松さんの作品中で一番好きな本になった。

思春期の頃にひりひり感じた、焦りやイタみ、重苦しさ。
「みんな」からはぐれたくなくて、でも上手くいかない時もあって・・・。
「友達」ってなんだろう。私に親友っているのかな。
そんなあの頃の、迷い満載だった自分に読ませたい本。

美しいだけじゃない。楽しいだけじゃない。読んでて胸がうずく。
でも本当のことで満ちている。やさしい目線に満ちている。
誰もがそれぞれの人生の主人公を生きていることを、ありありと思い出させてくれる。

勝気でいらないことまで言っちゃう人。
虚栄心がいっぱいで、威張らずにはいられない人。

そんな、普段疎ましく感じる人まで愛おしく感じられてくるから不思議。

「友だち」に悩んだことのある、すべての人におすすめです。

「安西先生、バスケがしたいです・・・」

2009-10-12 18:48:16 | 本本本(★★★★☆~)
スラムダンク 井上 雄彦著 1990~1996年 ★★★★★

言わずと知れたバスケ漫画の金字塔。
全巻いっき読みしましたーー!!@中国語。笑

初めて読んだときには続きが気になって気になって、先を急いでしまった。
今回はじっくり読んだせいか色んな情景に感情移入して、涙、大笑い、涙。

ひたむきに、がむしゃらに、根性出して、好きなことを、夢中になって
頑張り続ける主人公たち。


・・・カンドー!!!

もう、それ以外の言葉はないね。

ところどころ「漫画だなあ」とか「自分勝手すぎ」とかは思うのだけど
赤木やメガネくんの人間として成熟した大人な部分とか、晴子の無邪気さとか
そうゆうものも眩しかった。天才たちの活躍の裏でね。

スポーツは、本当にいい意味で人を育てる。

よき指導者がいれば、なおさらのこと。

↑これについては小学生の頃から思ってた。
合唱コンクールで優勝する学校は、いつもとある指導者がいる所で。
元々美声の子供たちが集まっているんじゃない、先生によって能力が引き出されている
その部分に人間の神秘を感じてたなあ。


やる気を出させて可能性を伸ばす。才能を引き出す。それって凄い。



「奢れる平家は久しからず」

2009-09-12 20:38:39 | 本本本(★★★★☆~)
義経 上・下 司馬遼太郎著 ★★★★☆

源義経。ん?どっかで聞いたことあるかも??
そんな感じの認識しかなく、友達からもらって読み始めた本。

司馬さんはさすがだなあ。なんていうか、人のよい所を見る才能がズバ抜けていて
文章の緩急も心地よく、単語の選び方が見事という他ない。
な~んてちょっと真似っこの文章書いてみたくなっちゃうくらい素敵なんです(笑)

高校で世界史と地理を選択した私にとって、日本史の記憶は中学2年が最後。
当時の平家について、北条政子(聞いたことある!)鎌倉幕府の生い立ちなどが
義経を主役に当てながらにして時に艶めかしく描写されています。

源平の戦いや当時の武家人の暮らしぶりや文化について興味のある人、
司馬遼太郎氏の慈愛溢れる文章に触れたい人にオススメです。


最近友人と話していて「yuccooが文学分かるのが凄い」と言われたことが。
文章から出る温かみや、マズい文章が彼女たちはいまいち分からないとのこと。

それを聞いて思ったんだけど、世の中すべての事象はそうなんじゃないかなあ。

建築が分かる人は、いろいろな建物を見て興奮もすればマズイ、とも思うだろうし
舌が本当に肥えた人は添加物満載コンビニ弁当やカップ麺は食べられないと思うだろうし
ギターの音が分かる人は、天才ギタリストの音をすぐに聞き分けられるだろうし
映画好きな人はカット割りやカメラワークについて色々思うことがあるだろう。

要は自分が好きなものは何か。

それに触れる時間が多ければ多いほど、それについての理解が深まって
違いがより明確に分かるようになるのだと思う。

たとえばマサムネさんの声とかね(笑)
スピッツファンならみんなそれぞれにこの曲のこの部分の声がイイ!とかあるはず。

ただ、それと比例して受け入れられないものが増えるのも確か。
中国で中国茶のお習いごとをした人は、大抵普通のお店のお茶が飲めなくなっちゃう。
舌が肥えて、最高級の味を知っちゃったからなんだよね。


極上の品質も知りつつ、庶民もたのしめる。

それが幸せだな~って思うんだけどどうかな???


あ、あとライブビデオ発売だ~っ!!!!
買っちゃう??どうする?買っちゃうよね。でも一日中見続けちゃいそう

「死んだ方がましだ」

2009-07-02 17:25:28 | 本本本(★★★★☆~)

ウィークエンド・シャッフル 筒井康隆著 1985年 ★★★★☆

うっ…コワイ。。。。
まずそれが一番最初の感想。なんというか、空恐ろしくてゾゾゾーっとする感じ。
政府と科学技術と世論。暴走して偏ったらそうなるかもしれない、という。
日本が無茶な戦争に挑んでいた狂気の時代を思わせる言論の自由のなさも垣間見えます。

その合間合間に、一般常識と呼ばれるものを揶揄したようなお茶目?な作品も。
とにかく大胆!!そして発想が斬新!!ものすごい短編集です。
グロイ描写も多いので苦手な方は心して臨んでください。

今までの小説の常識を覆したような突飛な作品に興味がある人、
近未来的SF的要素が好きな人におすすめです。

「娘の仇を討たせてくれ」

2009-06-22 23:13:57 | 本本本(★★★★☆~)
さまよう刃 東野圭吾著 2004年 ★★★★☆

少年犯罪法に真っ向から立ち向かった作品。
著者ほど有名・人気作家になったら、これほどまでに作者の意図が読者に
ダイレクトに伝わり世論までもを変えてゆくのでは、と思わせれられる。

人が死んだりする暗い本は読みたくないなぁと思っていたのだけれど
読み始めたら案の定?ぐいぐい引き込まれ一気読みしていた。
そして案の定読み終わった後には鬱々した気持ちが残った。やるせなさと共に。

法を変える前に教育を変え、こどもが3才までに受け取れる愛情を増やしたらいい
私はそう思っているんですがどうでしょう?
幼少期の愛情の欠落が他人の気持ちを想像することができず、自信を持てないが故の
虚勢・力の誇示・変な仲間意識などにつながっている気がする。

おーーっと話がそれてしまいましたが。
レイプ事件などの被害者家族について思いを巡らす機会を得たい人、
ミステリと共に人間の復讐意識の葛藤劇を味わいたい人にオススメです。

あ、ちなみに映画化ではあの人だそうで。私の印象は役所孝司でした。

「もそっと、こうしていてくだされ」

2009-06-03 10:57:16 | 本本本(★★★★☆~)
お腹召しませ 浅田次郎著 2006年 ★★★★☆

江戸末期のお侍を中心とした、短編集。
江戸時代って特有の言葉を使うよね。
辞書を片手に読みたくなるくらい分からない単語多し。
もうちょっと勉強したくなるね。我が祖国の歴史ですから。言葉ですから。

それにしても浅田氏、本当にストーリーテラーです!
ジムでバイクを漕ぎながら、ひとりでウイグル麺をすすりながら、鼻もすすりました~
素敵な人なんだろうな、と常々思っていたのですが・・・

先日、講演会へ行くチャンスが!!!直にお話を聴けて感無量!!

感じたのは「人間味」「人間臭さ」を愛おしく思っている人だということ。
メディアが作る「悪」像に惑わされることなく、歴史に「if」を見出していること。
(例えばサダムフセインは本当に悪い人だったのか?!真実は分からない)

気さくでユーモア溢れる素敵な人で、会場が笑いに沸いてました☆

寝不足で行ったため、前から5列目で船を漕ぐ瞬間があったことは内緒です(笑)

 

「寛容の精神が大事なのである」

2009-05-17 21:08:23 | 本本本(★★★★☆~)
道をひらく 松下幸之助著 1968年 ★★★★★

悩んでいることの、すべての答えがここにある。

そう言えてしまえそうなくらい、凄まじく濃く真理をついた内容のオンパレード。
ページをめくりながら、衝撃が走る。ものすごい説得力のある本です。

こうゆう本がいわゆる「バイブル」なんだと思う。
社会人になる人すべてに贈りたい。あと、真剣に人生を送りたいすべての人に。
私ももっと前に読んでいたらあの暗黒の社会人時代ももう少し違った気がする。
最近習っていたセミナーで大袈裟に言われていたことが
しみじみと、かつさらりと優しい気持ちでもって語られています。

それにしても、なんて心が豊かであたたかな人なんだろう。
すべてを見通す明るい眼を持ちながら素直で謙虚で。

友達からまた貸しのまた借りをしているけれど、これは、もう、買いで決定です。
これからの人生、ずっと傍にいて欲しい、一生大切にしたい、本。

とにかく手にとってほしい!
とりあえず立ち見してみてください!っと激しくおすすめな本。



相手をおもいやる心が一番大切

2009-03-18 19:44:45 | 本本本(★★★★☆~)
銀座流 売れっ娘ホステスの会話術
ー気遣いと品の良さで心をつかむ魅力的な話し方
 
コタロウ著 2007年 ★★★★☆

ノウハウ本や経済本は自分では買わない私、が、ついに買ってしまった、この本。

いやね、なんか切羽詰ってたんっす、わたくし、このとき。
でなんとなく手に取って「ネットでも読めそうな内容だな」なんて思ったんだけど
読めば読むほど赤線を引きたい気持ちが堪えきれなくなってきて・・・!!!
気づけば購入と相成りました、はい。

すっきりと分かりやすく要点がまとめられているのが、まず、よい。
そして理論だけに留まらず具体例が豊富、実践的であるので役に立ちそう。
そして何より、これを書いてるのが男性!男性ってのが、男心がちゃんと出ていて
こう、うんうんふむふむと大きく頷かされる処や、目から鱗な処があるんすね。

とにかく男性に厳しいワタクシ。
同窓会に行くと、男子に「こえー」ってびびられるツッコミ連発するタイプっす。
が、気遣い&品のよさ。そろそろそんな女性らしさを手に入れたい♪♪
赤線引いて、何度も読み返して、自分のものにしてゆくぞ。

男心を知った上で、具体的にその掴み方を知りたい人
スムーズに和やかなコミュニケーションを取りつつ場を盛り上げたい人におすすめ。



「人が生きているうちの大半は、人生じゃなくて、ただの時間、だ」

2009-03-03 10:06:50 | 本本本(★★★★☆~)
死神の精度 伊坂幸太郎著 2006年 ★★★★☆

伊坂さんにしては珍しい短編集。でも主人公はずっと同じ(中身や名前が)。
この主人公=死神が、飄々としていてでも真面目でなんとも味のある人(神?)物。

バスにぼーっと乗っているとき。頭の中でくだらないアレコレを妄想したり
今晩の献立について考えたりするくらいだけれど
伊坂さんの頭の中ではこんなに素敵で色鮮やかな物語が駆け巡っていて
それを少しでも分けてもらえる「本」ってのは、なんて贅沢なんだ。
特に最終章のきらめきは素晴らしい。
「死」を扱い重厚ながらびっくりするほど軽やか。

そして欲を言ったら続編が読みたい。きっと出ないだろうけど。

不慮の事件で死ぬのが怖い人、伊坂さんの世界観が好きな人におすすめです。

あ、ちなみにこちら、映画化もされてるんだって。

その話を聞いてから読んだから、ずっと主人公がその俳優さんの顔で動き回ってた。
好きな俳優さんでよかったわ~

短編集なんだけどね、必ず前から読んでください。うん。