柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

着いた。

2020年12月04日 21時09分00秒 | 日記
ホテルの部屋で、天井見てます。

コンビニにヨーグルト買いに行きたいんだけど、疲れて動けない。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フルハウスでランチを!

2020年12月04日 19時52分00秒 | 日記
今日と明日、わたしは出張で小高を留守にします。

明日土曜日、ブックカフェ「フルハウス」は、午前11時〜午後6時まで営業します。
飲食のラストオーダーは午後4時半なので、お早めにお越しください。

日曜と月曜は定休日です。

(写真は、フルハウス人気メニューのソルロンタンと地場野菜たっぷりのチキングラタン。寒い日に、ふうふう、あふあふしながら召し上がれ)










  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日を数えてみる。

2020年12月04日 19時28分00秒 | 日記
全米図書賞を受賞して16日目、
ブックカフェ「フルハウス」をリニューアルオープンして3日目になります。

大変な日々でした。

この2つが重なったんだから、大変なんてものじゃない。

『JR上野駅公園口』のインタヴュー、色紙100枚、サイン本1000冊以上、フルハウスのメニュー固め、買い出し、清掃、飾り付け、オープンの取材対応、清掃と家事、サイン本作り……

とうとう、副店長の雪歩さんは、過労とストレスでダウンしてしまいました。
昨日、今日と、小高病院、半谷医院で検査してもらった結果、問題はないということなので、おそらく、来週から元気を取り戻せると思います。

いやぁ、大変だった……

猫はいいなぁ、と3びきの猫たちを横目で眺めながら走り回る日々……

そう、毎日、走ってたんですよ、家の中を。

この山を越したら、ランニングと筋トレとバレエを再開して、先ず体を整えよう。

それから、書く。

小説を書く。






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JR上野駅公園口

2020年11月23日 12時01分00秒 | 日記

「山狩り」が終わった。
雨の匂いがする。雨は降っている最中より、上がった直後の方がよく匂う。東京はどこもかしこもアスファルトで覆われているけれど、公園の中には木と土と草と落ち葉があって、雨がそれらの匂いを引き出しているのだろう。
三十代の頃、残業は二割五分増しだったから毎日残業をした。雨上がりの夜、駅に向かって歩いていると、勤め帰りのサラリーマンの波に呑まれ、この人たちは家族の待つ家に戻るのだな、とネオンがてらてら反射する濡れたアスファルトを泥靴で踏みながら雨の匂いを嗅いだ――。
西の空は雲の裂け間から陽が射していたが、東の空にはまたいつ降り出してもおかしくないような雨雲が垂れ込めていた。
水のせせらぎのような音がして、文化会館の方を見たが、雨樋から水が落ちているのか、空調の中を水が回っているのかは判らなかった。
空を見上げ、雨の匂いを嗅ぎ、水音を聞ているうちに、いまこれから自分がしようとしていることをはっきりと悟った。悟る、という言葉を思い付くのは、生まれて初めてだった。何かに捕らわれてそうしようというのではなく、何かから逃れてそうしようというのではなく、自分自身が帆となって風が赴くままに進んでいくような――、寒さや頭痛はもう気にならなかった。
公孫樹の葉の黄色が溶かした絵の具のように目に流れ込んできた。いま舞っている葉も、雨に濡れ人に踏まれた葉も、まだ枝に付いている葉も、一葉一葉が勿体ないほど黄色く輝いて――。
ホームレスになってからは、落ちた銀杏の実にしか目がいかなかった。ビニール手袋をはめて一つ一つ拾い上げ、レジ袋がいっぱいになったら水飲み場に持っていって臭い皮の部分を洗い落とし、新聞紙の上に広げて干して、アメ横でキロ七百円で引き取ってもらう――。
ひゅうっと木枯らしが吹き、視界一面に黄色い葉が舞い散った。巡り変わる季節とはもう関わりを持つことはない――、それでも光の使者のような黄色から目を離すことは惜しい気がした。
ピヨッ、ピヨピヨッと視覚障害者用の誘導音がして山下通りの向こうを見ると、信号が青に変わっていた。横断歩道を渡る。
ポケットから小銭を取り出し切符を買う。
JR上野駅公園口の改札を通る。
案内板の「東北新幹線はやて 新青森行き」の文字が目に入り、あれに乗れば四時間半後には鹿島の駅に着く――、と思ったが、その揺らぎは鼓動の一つが受け止め、もう望郷の念で胸が高鳴ったり、胸が締め付けられたりすることはなかった。
いくつもの道が過ぎ去った。
目の前には一つの道しか残されていない。
それが帰り道かどうかは、行ってみないとわからない。
山手線内回りの2番線の階段を下りていく。
プォォォン、ゴォー、ゴトゴト、ゴトゴトゴト、ゴト、ゴト……階段の中頃で一人の女とぶつかりそうになった。赤いコートに少女のようなおかっぱ頭が映える小柄な三十代半ばぐらいの女……ゴットン、ゴットン、ゴ、トン、ゴ……携帯電話の画面に顔を近付けたまま階段を上ってきて、直前に弾かれたように気付き、あ、すみません、と青白く生彩のない顔で謝った。ホームレスだ、というような驚きが一瞬掠めた女の顔には、願いが挫かれたばかりのような翳りがあった。階段が終わりに近付いた時に足を止め振り向いてみると、赤いコートの背中は階段を上り切ったところだった……トン、ブーン、ルゥー、ブシュウーキキ、キキ、キィ、キ……キ……キ……ゴトッ……シュー、ルルル、コト……彼女が目撃しないで済んだ、ということに少しほっとした。彼女の携帯電話に届いた知らせは凶報だったのだろうが、たぶん、今夜は眠るだろうし、朝起きれば顔を洗って何かを食べるだろうし、化粧と着替えをして出掛けるだろう。そうやって人生は続いていく。暦には昨日と今日と明日に線が引かれているが、人生には過去と現在と未来の分け隔てはない。誰もが、たった一人で抱え切れないほど膨大な時間を抱えて、生きて、死ぬ――。
山手線内回りを一本見送り、次の電車が到着するまでの三分間、自動販売機で炭酸のジュースを買って、二口だけ飲んでゴミ箱に捨てた。

「まもなく2番線に池袋・新宿方面行きの電車が参ります、危ないですから黄色い線までお下がりください」

黄色い線の上に立って目を閉じ、電車が近付いてくる音に全身を傾けた。
プォォォン、ゴォー、ゴトゴト、ゴトゴトゴト、ゴト、ゴト……
心臓の中で自分が脈打ち、叫び声で全身が撓んだ。

 
 










 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JR常磐線小高駅

2020年11月23日 09時42分00秒 | 日記
今日は、仙台に用事があり、いま、常磐線に乗っています。常磐線はがら空きなので、行き帰りの車内で、ごはんを食べながら原稿を書くことがきます。








  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おはようございます。

2020年11月23日 09時36分00秒 | 日記
11月19日の朝に、『JR上野駅公園口』全米図書賞を受賞して、4日が経ちました。



なかなか大変な4日間で、
芥川賞を受賞した28歳の時のことを、思い出しました。
あれから、24年が過ぎましたが、
28歳の自分は、
全米図書賞を受賞することも、
福島県南相馬市小高区で暮らすことも、
ブックカフェを営むことも、
息子(もうすぐ21歳!)を持つことも、
全く予想していませんでした。
人生って、予想が外れるから、面白い。
そして、わたしの場合、年々予測不可能になっていく。
5年後、10年後の先行きが見通せないことに、わくわくドキドキしている自分がいる。

いまは、ですね、全米図書賞の取材対応と、
12月2日にリニューアルオープンするフルハウスのブックカフェの準備に追われています。
(カフェは、新型コロナウイルスのパンデミックで、4月28日から休業し、本屋のみで営業を続けていました)

是非、ブックカフェ・フルハウスにいらしてください。

(写真は11月19日午前6時23分。全米図書賞発表直前。フルハウス店内のZoom画面の中のわたし。さすがに緊張している)








  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

全米図書賞の発表&授賞式

2020年11月19日 08時07分15秒 | 日記

フルハウス副店長の雪歩です。

このあと午前9時から全米図書賞の発表&授賞式です。

柳美里の『Tokyo Ueno Station(JR上野駅公園口)tr.Morgan Giles』が最終候補になっています。

Facebookライブ、Youtubeライブでの配信もあるようです。

リアルタイムで一緒に緊張して待ちましょう!

https://twitter.com/nationalbook/status/1329064596565536772


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ふしぎ

2020年11月06日 07時28分00秒 | 日記
ときどき、自分が、縁もゆかりもない小高で暮らしていることを不思議に思う。

でも、日本で暮らしていること自体、縁もゆかりもなかったわけだから、そんなに不思議じゃないか……

わたしは流れ者に生まれついたから、
流れて生きて、流れて死んでゆく







  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

精神が揺らぐ時

2020年11月06日 05時05分00秒 | 日記
精神が、抜歯されるみたいに、
力づくで、ミキミキと、
引っこ抜かれそうになると、
まず、音がダメになる。

最初にマジックペンが使えなくなる。

マジックの先端が紙に擦れる音が、いつもの20倍ぐらいに聴こえて、鳥肌が立つ。

次に、鉛筆がダメになる。

シャーペンも、ボールペンも、
擦れ音が嫌で使えなくなる。

唯一使えるのが筆ペン。

でも、文字用の筆ペンは、
微妙に音がするから、
今は水彩画用の柔らかい筆ペンを使ってます。

音が、怖い。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

目覚まし時計

2020年11月06日 04時34分00秒 | 日記
目覚まし時計が、苦手で、怖い。

眠ろうとしたのが、午前3時。

7時20分小高発の常磐線に乗らないといけないから、目覚まし時計とスマホのアラームを6時20分にセットした。

音が鳴るのが怖くて、緊張して、全く眠れない。

でも、電車に乗り遅れるといけないから、目覚ましをセットしないわけにはいかない、でしょ?

目が痛い。

ふくらはぎの筋肉が強張っている。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この1ヶ月半……

2020年11月05日 22時01分00秒 | 日記
何も言えません。
何も言いません。

最低、最悪な日々を過ごしていました。

でも……

猫たちがいて、ほんとうに救われた。

悲憤で心が張りさせそうになると、
わたしは猫たちを撫でています。

トラ、エミリー、ティグリ、
いつも、わたしを助けてくれて、
ありがとう。










  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『TOKYO UENO STATION(JR上野駅公園口)』まとめ

2020年10月07日 16時45分07秒 | 日記


『JR上野駅公園口』
河出書房新社、2014年3月
河出文庫、2017年2月 解説・原武史
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309415086/
https://allreviews.jp/review/1170

【装幀】
鈴木成一デザイン室

【装画】
髙﨑紗弥香 [GIGUE #8](2013年/329×483mm/写真/gallery ecrunomori)
http://www.sayakatakasaki.com/

【あとがき】
https://blog.goo.ne.jp/yu_miri/e/cacf46e952e8f3b6df63ad66bdeb6770

【インタビュー】
「家を失うという意味」(『産経新聞』、2014年4月30日)
http://www.sankei.com/life/news/140430/lif1404300024-n1.html

【書評】
川本三郎「柳美里氏の最新作 東北出身のホームレスを主人公にした力作」(『SAPIO』小学館、2014年6月号)
http://www.news-postseven.com/archives/20140607_256068.html

【朗読版】
福島県立原町高等学校「放送部」による朗読音源
https://www.youtube.com/watch?v=fsMXonfUdxc

 

 


『우에노 역 공원 출구』2015(韓国版)
ISBN 9788965238744

 


『Sortie parc, gare d'Ueno』Actes Sud Editions,2015(フランス版)
ISBN 9782330056636

 


『Tokyo Ueno Station』Tilted Axis Press, 2019(英国版)
ISBN 9781911284161

 


『Stacja Tokio Ueno』Wydawnictwo Uniwersytetu Jagiellońskiego, 2020(ポーランド版)
ISBN 9788323348566

 


『Tokyo Ueno Station』Riverhead Books, 2020(米国版)
ISBN 9780593088029

 

『Tokyo Ueno Station』(Translated from the Japanese by Morgan Giles)

【Book Review】
The New York Times
「Four Social Novels in Translation Consider the World’s Ills」
 

The Washington Post
「Yu Miri’s ‘Tokyo Ueno Station’ focuses its attention on the shamefully overlooked」
https://www.washingtonpost.com/entertainment/books/yu-miris-tokyo-ueno-station-focuses-its-attention-on-the-shamefully-overlooked/2020/06/24/3232869a-b641-11ea-a510-55bf26485c93_story.html

 
World Literature Today
「Yu Miri: Illusion and the “Power of Dreams” in Japan」

Oprahmag.com
「28 of the Best Books to Transport You This Summer, Written By Women Around the World」

Chicago Review of Books
「The Resonance of Memory in “Tokyo Ueno Station”」
NPR
「A Painful Past And Ghostly Present Converge In 'Tokyo Ueno Station'」
 
Electric Literature「A Ghost Haunts the Tokyo Olympics」
https://electricliterature.com/a-ghost-haunts-the-tokyo-olympics/


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吉報!

2020年10月07日 16時28分00秒 | 日記
『JR上野駅公園口』のアメリカ版『TOKYO UENO STATION』が、
昨夜、全米図書賞翻訳部門のショートリスト(最終候補)の5作に残った、
とネットニュースで知り、
驚き、喜んでいます。

『JR上野駅公園口』の主人公は、
福島県南相馬市鹿島区八沢出身の男性。

物語の随所に、相馬弁の語りが流れています。

未読の方、
是非、読んでください。

ここまで来たら、南相馬のみなさんに喜んでいただくために、受賞できたらいいな、と願っています。


●「ガーディアン」に掲載された書評

●「ワシントンポスト」に掲載された書評





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

また、

2020年10月01日 16時18分00秒 | 日記
また、2ひき、前蛹状態のツマグロヒョウモンの子を連れてきた。

今度こそ、蛹化の脱皮の瞬間を見逃さないゾ!


昨日は、コーエン兄弟の『レディ・キラーズ』を観て、今日は『ディボース・ショウ』を断続的に観ている。

ツマグロヒョウモンの幼虫と、コーエン兄弟に逃避する日々だが、
待ち過ぎて、腹が立って、悔しくて(具体的なことは何一つ言えません)奥歯を噛みしめ過ぎて、歯が砕けた。

この1週間で二度目の、奥歯噛み砕き。

いろいろ、痛い。

歯も痛いし、心も痛い、











  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見逃した!

2020年09月30日 14時55分00秒 | 日記
目を離した一瞬の隙に、ツマグロヒョウモンの前蛹がサナギになってしまった。

また、蛹化の瞬間を見逃してしまった。

いつもだよ。

なんでだよ。

今回は、目の前に座っていたのに……
スマホでメッセンジャーの返信をした、
その僅か1分ぐらいの間の蛹化だったから、
悔しい。

悔し過ぎる。

この子、まだ新しい体を振り回してる。

今はまだジェリービーンズみたいに柔らかいだろうから、触れることは出来ない。

オレンジ色に金色の棘が光るサナギ。

幼虫、サナギ、成虫の蝶、
変化する全ての形と色が美しい。

それに比べて人間は……
とげんなりすることが多いけど……

羽化の瞬間は、見逃さないゾ!






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする