シニア花井の韓国余話

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韓国の児童虐待年間1万件超、加害者の8割が親  

2015年11月23日 12時44分38秒 | Weblog
昨年冬、韓国首都圏にある児童保護専門機関の相談員は「小学生の姉妹が夜遅くにスーパーで足を引きずりながら試食コーナーを回り、空腹を満たしている」という通報を受け、警察と共に駆けつけた。
 調査の結果、家出した母親を探しに行くといって父親が2週間以上も帰宅していないことが分かった。姉妹は足が凍傷にかかり、重症の姉は切断手術を受けねばならなかった。児童虐待の一種、ネグレクト(育児放棄)が招いた悲劇だった。
 保健福祉部(省)が「児童虐待予防の日」の11月19日に公表した報告書によると、韓国での児童虐待の発生件数は昨年が1万27件で初めて1万件を上回った。2001年(2105件)の3.7倍、前年(6796件)比では47.5%の増加となった。
 特に、虐待を繰り返す再虐待は昨年が1027件と、08年(494件)に比べ6年で2倍以上に増えた。児童虐待の加害者の81.8%は親だった。
 児童虐待件数の急増は、人々の意識の高まりや法規の強化とも関連している。昨年9月の「児童福祉法」改正、「児童虐待犯罪の処罰などに関する特例法」施行により、児童虐待を「犯罪」として厳しく対処できるようになり、国民からの通報も増えた。だが、韓国の児童虐待の実態は改善していないと専門家らは口をそろえる。
 カトリック関東大国際聖母病院のキ・ソンワン教授(精神医学科)は「親から虐待を受けた経験のある人はその虐待癖を受け継いでいることが多く、子どもへの虐待を繰り返すケースも多い」と説明し「被害者の児童を保護すると同時に、加害者の親に対する治療や訓練も一段と強化すべきだ」と指摘した。
 性的暴力の被害児童を支援するソウルヘバラギ(ヒマワリ)センターのウ・ギョンヒ副所長も「再発を防ぐには性的虐待の加害者を厳しく処罰するだけでなく、国が矯正・相談システムを整備する必要がある」と述べた。
児童虐待の種別としては、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、育児放棄がある。このうち2つ以上に当てはまる虐待は、昨年は全体の48%を占めた。暴言を吐いたり自尊心を傷つけたりする心理的虐待、十分な食事を与えないなどの育児放棄は、身体的虐待や性的虐待に比べ決して軽いものではない。中央児童保護専門機関のホン・チャンピョ・チーム長は「親の何気ない叱責が次第に体罰に発展し、それが構造化することもある。最初から子どもを抑えつけるようなやり方をしないようにすべきだ」と話している。
 児童虐待の予防に向けた大きな課題の一つが、人員・施設不足だ。昨年は全国54の児童保護専門機関の相談員364人が6万1242件の児童虐待(疑い例を含む)を現場調査したが、1人当たり実に年間168件を担当したことになる。
 また、深刻な虐待を受けている児童は親などの加害者から引き離し、全国37の保護施設に優先的に入所させるが、施設の受け入れ定員は計250人(1施設平均約7人)ほどにとどまる。専門家らは、被害児童が心の安定を取り戻せるよう、家庭的な雰囲気の小規模施設を増やすべきだと助言している。
 虐待の前歴のある親に対する追跡観察(モニタリング)システムの整備も喫緊の課題だ。13年、蔚山で女が8歳の義理の娘を暴行した揚げ句に死なせた事件は、虐待が露見するたびに女が別の都市に引っ越し、これを隠そうとしたことが悲劇につながった。
 児童虐待を被害者本人が通報するケースはほとんどない。専門家らは、国民一人一人が虐待の疑われる段階で通報するよう心がけ、親も「体罰と侮辱は明らかな児童虐待」という意識を持つべきだと指摘する。児童虐待の通報先は112番(日本の110番に相当)に一本化されている。
朴瑛錫(パク・ヨンソク)記者
韓国大手新聞 朝鮮日報15年11月22日記事抜粋



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