シニア花井の韓国余話

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日本向け魚介類輸出が円安で大打撃 

2013年04月29日 14時59分49秒 | Weblog
韓国大手紙・朝鮮日報13年4月28日記事抜粋
 全羅南道麗水市の港では3月21日、水揚げしたてのタイラギという貝の競りが行われていた。潜水士ト・ヨンテさん(50)の目は赤く充血していた。水深30-40メートルの海底で貝を採るのはトさんのような潜水士の仕事。保険が利かない危険な作業だ。 トさんは「水圧のせいで右耳の鼓膜が破れ、仕事を休んでいたが、2週間ぶりに潜った。最近は苦労してもそのかいがなくて悲しい」と漏らした。落札価格は大幅に下落した。質の良いタイラギは1年前には1個当たり900-1000ウォン(約76-85円)で取引されていたが、現在は700-800ウォン(約59-68円)だ。円安進行により対日輸出単価がウォン建てで下落し、輸出加工業者が競り落としていく量が減ったことが原因だ。
 今、アベノミクスによる円安が韓国の水産業界を直撃、最前線の潜水士や漁船員から水産加工業者に至るまで、収入は軒並み減少している。ウォンの対円相場は昨年は100円=1518ウォンまで円高が進む局面もあったが、昨年12月の安倍政権発足後は、1180ウォンまで円が下落した。
 貝加工業者が集中している麗水市一帯の被害は特に大きい。麗水地区で加工される貝の70%が日本に輸出されている。タイラギの貝柱の輸出価格は円建てでは1キロ当たり1400円で変わらない。しかし、為替変動のあおりで、ウォン建て価格は昨年の最高値の2万1300ウォンに比べ23%下落し、現在は1万6500ウォンとなっている。貝輸出加工業者「海藻営漁組合法人」のチョ・ヨングァン代表は「人件費や賃料、物流費は自分でどうすることもできないので、現在の価格では輸出すればするほど赤字が出る」と嘆いた。
 麗水市の冷凍業者には、氷点下20度の倉庫内にチョ代表の所で生産したタイラギの貝柱30トンが積み上げられている。チョ社長は「日本との価格交渉がうまくいかず、ほかに販路もないため、1年間で在庫が3倍に増えた」と話した。輸出減少は操業の減少をもたらし、操業の減少は漁業従事者の収入減少につながる。タイラギの殻を割るチョ・グムジャさん(50)は「仕事が30%減り、収入もその分減った」と語った。漁船員のソ・シンナムさん(55)は「漁に出られない日が多い」という。
■ヒラメやサワラにも影響
 済州島はヒラメが被害を受けている。済州島内にあるヒラメ養殖場350カ所は地下水と海水を混ぜ、養殖を行っている。17-18度の地下水で水温を調節する仕組みだ。日本で消費されるヒラメは年間8000-1万トンだが、その半分が済州島産だ。済州島のヒラメ養殖は観光、ミカンに続く3位の産業に数えられる。ヒラメ輸出業者は25社ある。ヒラメ業界は対日輸出で赤字が出始めたため、日本の取引先に値上げを打診した。済州魚類養殖水協(漁協に相当)のヤン・グィウン貿易チーム長は「1キロ当たり1100円から1350円に値上げしようとしたが、日本の流通業者は受け入れてくれない」と話した。サワラも同様だ。刺し身用となる2.5キロ以上のサワラは主に日本に輸出される。しかし、1キロ当たりの単価が8000-9000ウォン(約680-760円)から7000-8000ウォン(約590-680円)に下落した。釜山サバ市場のサワラ輸出担当者は「日本国内の相場も下落傾向を示しており、状況はさらに良くない」と説明した。
 ノリ業界は韓米自由貿易協定(FTA)を利用し、米国市場への輸出拡大に成功したが、対日輸出では被害を受けている。2月のノリの対米輸出は前年同月比68%増の650万ドルを記録したが、対日輸出は25%減の300万ドルにとどまった。単価下落を受け、輸出業者が輸出量を減らしたためだ。このほか、アワビ、マグロなどの業界も対日輸出で大きな被害を受けている。
 昨年の日本への水産物輸出は7億400万ドル。今年も同じ規模の輸出を行うと仮定すると、円が10%下落するごとに、韓国の水産業界には7040万ドルの損失が生じる計算だ。
■赤字覚悟の輸出も
 問題は赤字が出ても輸出をストップするわけにはいかないことだ。ある貝加工業者の代表は「韓国の銀行は現金取引よりも輸出信用状による取引を信用する。経験から言うと、ある日突然輸出を取りやめれば、運転資金を借り入れられなくなる可能性が高い。借りられなければ不渡りが出るため、赤字でも輸出を続けなければならない」と内情を明かした。ヒラメ輸出業者は「20億ウォン(約1億6900万円)を借り、養殖場を造ったが、対日輸出で利益が上がらず、売れば売るほど損失が出ている。銀行からの資金借り入れ条件が対日輸出なので、輸出を止めるわけにはいかない」と語った。


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