(韓国大手新聞、朝鮮日報 11.4.26記事抜粋)
韓国ではアジア通貨危機と世界的な金融危機という二度の危機を経て、所得格差が拡大している。
国税庁によると、総合所得税の申告額上位20%の1人当たり所得額は1999年の5800万ウォン(現在のレートで約438万円、以下同)から2009年には9000万ウォン(約680万円)へと10年間で55%増加した。しかし、総合所得税申告額の下位20%の1人当たり所得額は同じ期間に306万ウォン(約23万円)から199万ウォン(約15万円)へと35%減少した。上位と下位の所得格差は20倍から45倍に拡大した。
総合所得税は、事業所得、不動産賃貸所得、利子所得などを合計して課税されるもので、主に自営業者など個人事業者が支払う。自営業者の所得の二極化が深刻化したことになる。
給与労働者の所得格差も拡大している。2009年に勤労所得税を支払い、年末調整を行った納税者の上位20%が受け取った給与総額は131兆1652億ウォン(約9兆9100億円)で、給与労働者854万人が受け取った給与の41.6%を占めた。給与労働者の上位20%の所得が全体の半分近くを占めた計算だ。一方、下位20%の給与労働者が受け取った給与の合計額は全体の8%にすぎなかった。
統計庁の調査によると、昨年の賃金労働者1670万人(課税免除者を除く)のうち、月額給与が100万-200万ウォン(約7万6000-15万1000万円)の人は全体の40.1%を占めた。300万ウォン(約22万7000円)未満で全体の79%に達した。
●給与労働者、下位20%の平均年収112万円
給与労働者の所得格差が拡大している。国税庁によると、2009年の給与労働者の所得上位20%の平均年収は7680万ウォン(約580万円)で、下位20%の1480万ウォン(約112万円)に比べ6200万ウォン(約468万円)も高かった。両者の所得格差は05年の5490万ウォン(約415万円)よりも拡大した。
給与労働者の所得全体に占める高額所得者の割合も増えており、上位20%が受け取る所得の割合は、05年の38.6%から09年には41.6%へと4年間で3ポイントも上昇した。
清掃関連会社で非正社員として働くAさん(55)は、1日12時間労働で、月収が90万ウォン(約6万8000円)だ。Aさんは結婚を控えた息子(28)が新居を借りる際の保証金を工面しようと、3年間にわたり、月に40万ウォン(約3万円)を積み立ててきた。残る50万ウォン(約3万8000円)が生活費だ。Aさんは「昼食はキムチとご飯だけの弁当だ。数日前に買った2000ウォン(約150円)のスカーフも思い切って購入したものだ」と話した。
一方、今年で銀行に23年務めるB部長(48)は、年収が1億ウォン(約760万円)以上だ。国税庁によると、09年に1億ウォン以上の年収がある高額所得者は19万6539人で、5年前の04年(4万1133人)に比べ4.8倍に増えた。B部長は「現在は月に600万-700ウォン(約45万3000-52万9000円)を受け取って暮らしているが、55歳で退職しなければならず、生活が不安なのは同じだ」と語った。
給与労働者の間で所得格差が拡大したのは、金融機関、輸出企業などいわゆる「一流職場」で賃金上昇率が高かったのに対し、成長から疎外された中小企業の従業員の賃金上昇率が低かったためとみられる。また、正社員に比べ相対的に賃金が低い非正社員が増えていることも一因だ。
韓国経済研究院(KDI)のユ・ギョンジュン研究委員は「企業が急速に発展し、ハイクラスの労働力需要が増えているため、彼らの賃金が低スキルの労働者に比べ大きく上昇しているのは世界的な流れだ。政府が福祉支出を増やし、低所得層の可処分所得を補填(ほてん)しなければ、所得格差を縮小することはできない」と指摘した。
(投稿者注)
韓国の定年=一般的には55歳
●個人事業者の所得、上位20%が全体の3分の2占める
個人事業者の所得の二極化も深刻化している。国税庁によると、上位20%の個人事業者の所得が全体の3分の2以上を占めるのに対し、零細自営業者が多い下位60%の所得は全体の10%にも満たない。
危機のたびに起業する人が増え、市場が飽和状態になっている上、大企業がスーパーマーケットや消耗品の納品業など小規模業種にも参入していることが原因だ。
京畿道富川市に住む飲食店経営者Aさん(55)は、5年間営んできたアグチム(あんこうの辛い蒸し物)の店をたたむかどうか悩んでいる。早期退職して飲食店を開業後、1-2年は何とか利益を出していたが、世界的な金融危機が起きた2008年ごろから周辺に雨後のタケノコのように食堂が開業し、毎月の赤字から脱却できずにいるからだ。直接競合するアグチム店だけで3カ所もある。退職金は底を突く直前だ。Aさんが「十分な資本と洗練されたマーケティングで武装した高級飲食店は問題がなさそうだが、われわれのような小規模起業では食べていくこともおぼつかない」と話した。
一方、個人弁護士のBさん(48)は、月収が1000万ウォン(約76万円)を超え、依然好況の恩恵にあずかっている。Bさんは1食数万ウォンの飲食店に頻繁に通い、週末には家族と百貨店でショッピングを楽しむ。
中小企業庁が昨年、小規模事業所(従業員5人未満のサービス業、10人未満の製造業・鉱業)1万カ所を調べた結果、昨年の月平均純利益は149万ウォン(約11万3000円)にすぎなかった。赤字か収入がない事業所が26.8%に達し、純利益100万ウォン(約7万6000円)以下が31%、100万-200万ウォン(約7万6000-15万1000円)が23.4%を占めたのに対し、400万ウォン(約30万2000円)以上は5.6%にすぎなかった。
最も起業が容易とされる飲食店は、2009年には58万1000店を数え、05年(53万1000店)に比べ5万店増えた。中小企業庁のキム・イルホ課長は「零細自営業者は資本規模からして限界がある上に、急激に変化する消費者のニーズを満たす経営能力も不足しており、格差が拡大している」と指摘した。
(投稿者注)
韓国人は起業精神が旺盛だがプランニングがない。
飲食業を簡単に開業するが、数ヶ月で閉める場合も多い。事前のプランニングがなく、少し流行していると、同じことをやる。そのために同業が飽和状態となり、採算が合わなくなる。
韓国ではアジア通貨危機と世界的な金融危機という二度の危機を経て、所得格差が拡大している。
国税庁によると、総合所得税の申告額上位20%の1人当たり所得額は1999年の5800万ウォン(現在のレートで約438万円、以下同)から2009年には9000万ウォン(約680万円)へと10年間で55%増加した。しかし、総合所得税申告額の下位20%の1人当たり所得額は同じ期間に306万ウォン(約23万円)から199万ウォン(約15万円)へと35%減少した。上位と下位の所得格差は20倍から45倍に拡大した。
総合所得税は、事業所得、不動産賃貸所得、利子所得などを合計して課税されるもので、主に自営業者など個人事業者が支払う。自営業者の所得の二極化が深刻化したことになる。
給与労働者の所得格差も拡大している。2009年に勤労所得税を支払い、年末調整を行った納税者の上位20%が受け取った給与総額は131兆1652億ウォン(約9兆9100億円)で、給与労働者854万人が受け取った給与の41.6%を占めた。給与労働者の上位20%の所得が全体の半分近くを占めた計算だ。一方、下位20%の給与労働者が受け取った給与の合計額は全体の8%にすぎなかった。
統計庁の調査によると、昨年の賃金労働者1670万人(課税免除者を除く)のうち、月額給与が100万-200万ウォン(約7万6000-15万1000万円)の人は全体の40.1%を占めた。300万ウォン(約22万7000円)未満で全体の79%に達した。
●給与労働者、下位20%の平均年収112万円
給与労働者の所得格差が拡大している。国税庁によると、2009年の給与労働者の所得上位20%の平均年収は7680万ウォン(約580万円)で、下位20%の1480万ウォン(約112万円)に比べ6200万ウォン(約468万円)も高かった。両者の所得格差は05年の5490万ウォン(約415万円)よりも拡大した。
給与労働者の所得全体に占める高額所得者の割合も増えており、上位20%が受け取る所得の割合は、05年の38.6%から09年には41.6%へと4年間で3ポイントも上昇した。
清掃関連会社で非正社員として働くAさん(55)は、1日12時間労働で、月収が90万ウォン(約6万8000円)だ。Aさんは結婚を控えた息子(28)が新居を借りる際の保証金を工面しようと、3年間にわたり、月に40万ウォン(約3万円)を積み立ててきた。残る50万ウォン(約3万8000円)が生活費だ。Aさんは「昼食はキムチとご飯だけの弁当だ。数日前に買った2000ウォン(約150円)のスカーフも思い切って購入したものだ」と話した。
一方、今年で銀行に23年務めるB部長(48)は、年収が1億ウォン(約760万円)以上だ。国税庁によると、09年に1億ウォン以上の年収がある高額所得者は19万6539人で、5年前の04年(4万1133人)に比べ4.8倍に増えた。B部長は「現在は月に600万-700ウォン(約45万3000-52万9000円)を受け取って暮らしているが、55歳で退職しなければならず、生活が不安なのは同じだ」と語った。
給与労働者の間で所得格差が拡大したのは、金融機関、輸出企業などいわゆる「一流職場」で賃金上昇率が高かったのに対し、成長から疎外された中小企業の従業員の賃金上昇率が低かったためとみられる。また、正社員に比べ相対的に賃金が低い非正社員が増えていることも一因だ。
韓国経済研究院(KDI)のユ・ギョンジュン研究委員は「企業が急速に発展し、ハイクラスの労働力需要が増えているため、彼らの賃金が低スキルの労働者に比べ大きく上昇しているのは世界的な流れだ。政府が福祉支出を増やし、低所得層の可処分所得を補填(ほてん)しなければ、所得格差を縮小することはできない」と指摘した。
(投稿者注)
韓国の定年=一般的には55歳
●個人事業者の所得、上位20%が全体の3分の2占める
個人事業者の所得の二極化も深刻化している。国税庁によると、上位20%の個人事業者の所得が全体の3分の2以上を占めるのに対し、零細自営業者が多い下位60%の所得は全体の10%にも満たない。
危機のたびに起業する人が増え、市場が飽和状態になっている上、大企業がスーパーマーケットや消耗品の納品業など小規模業種にも参入していることが原因だ。
京畿道富川市に住む飲食店経営者Aさん(55)は、5年間営んできたアグチム(あんこうの辛い蒸し物)の店をたたむかどうか悩んでいる。早期退職して飲食店を開業後、1-2年は何とか利益を出していたが、世界的な金融危機が起きた2008年ごろから周辺に雨後のタケノコのように食堂が開業し、毎月の赤字から脱却できずにいるからだ。直接競合するアグチム店だけで3カ所もある。退職金は底を突く直前だ。Aさんが「十分な資本と洗練されたマーケティングで武装した高級飲食店は問題がなさそうだが、われわれのような小規模起業では食べていくこともおぼつかない」と話した。
一方、個人弁護士のBさん(48)は、月収が1000万ウォン(約76万円)を超え、依然好況の恩恵にあずかっている。Bさんは1食数万ウォンの飲食店に頻繁に通い、週末には家族と百貨店でショッピングを楽しむ。
中小企業庁が昨年、小規模事業所(従業員5人未満のサービス業、10人未満の製造業・鉱業)1万カ所を調べた結果、昨年の月平均純利益は149万ウォン(約11万3000円)にすぎなかった。赤字か収入がない事業所が26.8%に達し、純利益100万ウォン(約7万6000円)以下が31%、100万-200万ウォン(約7万6000-15万1000円)が23.4%を占めたのに対し、400万ウォン(約30万2000円)以上は5.6%にすぎなかった。
最も起業が容易とされる飲食店は、2009年には58万1000店を数え、05年(53万1000店)に比べ5万店増えた。中小企業庁のキム・イルホ課長は「零細自営業者は資本規模からして限界がある上に、急激に変化する消費者のニーズを満たす経営能力も不足しており、格差が拡大している」と指摘した。
(投稿者注)
韓国人は起業精神が旺盛だがプランニングがない。
飲食業を簡単に開業するが、数ヶ月で閉める場合も多い。事前のプランニングがなく、少し流行していると、同じことをやる。そのために同業が飽和状態となり、採算が合わなくなる。