シニア花井の韓国余話

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テロ対策用天然痘ワクチン、565万人分が使用不可

2011年09月10日 12時01分33秒 | Weblog
(韓国大手新聞、朝鮮日報 11.9.7記事抜粋)
106万人分は毒性検査で不合格、459万人分は有効期限切れ
 北朝鮮の生物兵器やテロリストによる生物テロ行為に備え、韓国政府が備蓄している天然痘ワクチン700万人分のうち、106万人分が毒性検査で不合格判定を受け、廃棄処分されることになった。
 このワクチンは2009年に韓国の製薬各社が生産したもので、有効期限はまだ残っている。一方、調査の結果、03-08年に購入した天然痘ワクチン459万人分は既に有効期限(3年)が切れていることが分かった。韓国政府が備蓄している700万人分のうち565万人分は、有事の際、国民に安心して接種できない状態にあるというわけだ。
 9月6日、自由先進党の李在善(イ・ジェソン)議員が食品医薬品安全庁(食薬庁)から入手した「生物テロ対策用の医薬品備蓄」と題する資料によると、09年に生産された106万人分のワクチンについて、食薬庁が今年7月から3回に分けて毒性検査を実施したところ、実験用のモルモット6匹が全て死亡した。食薬庁は、強い毒性があるため人体に接種できないと判断し、関係当局(疾病管理本部)に廃棄処分を要請することを決めた。
●天然痘ウイルス、10gでソウル市民の半数が感染
米国や日本では全国民の70%分のワクチンを確保
韓国ではわずか14%、大半が有効期限切れ
炭疽菌やペスト対策もずさん
 天然痘は呼吸器官を通じて短期間に感染し、出血の症状が出た場合には百パーセント死亡するという恐ろしい伝染病だ。専門家は「北朝鮮などのテロ集団が天然痘ウイルスをわずか10グラム確保すれば、10日以内にソウルの人口の半分以上に感染させることができる」と語る。現実的に核よりも恐ろしいのが天然痘や炭疽(たんそ)菌などの生物兵器だ。
■天然痘ワクチンの確保が重要なワケ
 韓国が生物化学攻撃に備えて本格的な対策に乗り出したのは、2001年に米国で9・11テロが発生した直後からだ。生物化学兵器は探知が難しい上、一度散布されれば防御する方法がほとんどない。唯一の対策はワクチンを備蓄して接種することくらいだ。そのため各国ではワクチンの確保に力を入れている。
 米国や日本では全国民の70%から100%分のワクチンをすでに確保している。韓国でも全国民の14%に当たる700万人分を備蓄しているが、そのうち565万人分は毒性検査で不合格と判定されたものや、有効期間切れだったことが、今回の食品医薬品安全庁の調査で明らかになった。
■天然痘ワクチンの管理がずさんなワケ
 天然痘ワクチンは02年から韓国の製薬メーカーが開発を進め、すでに納品を行っている。問題は、これらの天然痘ワクチンが完成品としてではなく、原料のまま保管してあるという点だ。有事の際には12時間以内に完成品を製造しなければならない。しかし昨年、監査院が行った疾病管理本部への監査では、原料を製品化するには最低でも4日は必要なことが分かった。このため監査院は、完成品として保管し、安全性や有効性などについて国からの検査を受けるよう指示した。これを受けて食品医薬品安全庁は、7月から完成品を製造して検査を行っているが、その結果、安全性が低いことが明らかになった。
 また、ワクチンの有効期間も問題だ。韓国で備蓄されている原料は、その多くが有効期間の3年を経過していた。
■炭疽菌やペスト菌などの対策は
 警戒が必要なのは天然痘だけではない。「恐怖の白い粉」といわれる炭疽菌への備えも重要だ。感染した場合の致死率は95%に達する。炭疽菌は9・11テロ直後、米国で何者かが郵便物に同封して送付し、5人が死亡した。これを受けて韓国でも治療剤を確保し、ワクチンを開発するなどの対策に乗り出している。疾病管理本部の関係者は「13年には炭疽菌ワクチンの製造と備蓄が可能になる見通しだ」と語る。国はペストのワクチンも備蓄しているが、大半がすでに有効期間を過ぎた状態のため、専門家は「生物テロに対して、ほぼ無防備な状態」と警告する。
■天然痘
 天然痘ウイルスによって発症する悪性の伝染病。咳をした際の飛沫(ひまつ)など空気感染で広まり、高熱、悪寒、発疹などの症状が出る。予防接種をしない場合の致死率は30%で、出血の症状が出た場合は百パーセント死亡する。




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