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大統領府は北の不満を聞く窓口なのか【記者手帳】                        

2014年10月30日 01時07分06秒 | Weblog
韓国大手新聞  朝鮮日報14年10月28日記事抜粋
板門店の南北直通電話(ファクス含む)は33回線だ。南北当局や赤十字の連絡事務所、海事当局、航空管制、会談支援など、分野別にこの回線を使い分けている。しかし最近、これらはほとんどが韓国からの送信専用回線と化している。北朝鮮から発せられる重要メッセージは、西海(黄海)の軍用通信線で入ってくる。北朝鮮の国防委員会が送り、韓国大統領府の国家安保室が受信する。今年に入って北朝鮮は、大なり小なり何か起こるたびに、軍用通信線を利用した。
 北朝鮮が第1次南北高官級接触(今年2月)を提案した時も、西海の軍用通信線を通してだった。続いて、西海北方限界線(NLL)交戦後に、北朝鮮の黄炳誓(ファン・ビョンソ)総政治局長が韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長に軍事会談を提案した時も(10月7日)、対北ビラ散布に抗議する通知文を送った時も(10月26日)、軍用通信線を利用した。不平をぶちまける時も対話を提案する時も、受信者は大統領府だった。このチャンネルを通して、南北高官級接触から西海交戦、対北ビラ問題に至るまで、さまざまなテーマが取り上げられた。10月15日に行われた南北軍事会談をめぐっても、北朝鮮は「北から軍部の金英徹(キム・ヨンチョル)偵察総局長を送るので、南からは大統領府の金寛鎮室長が出てくるべき」と要求した。統一部(省)の関係者は「金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に南北会談をかなりやったが、北朝鮮が直接大統領府を相手に話をしたケースはあまり記憶にない」と語った。
 北朝鮮が大統領府だけを相手にしようとする背後には、狙いがある。国策研究機関のある専門家は「北朝鮮は、5・24措置や金剛山観光中断などの懸案を一括妥結方式で解決したいから」と語った。「南北関係の改善」という大義の下、哨戒艦「天安」爆沈事件や延坪島砲撃、金剛山観光客銃撃事件など、北朝鮮による挑発を一つ一つ謝罪することなく、あいまいにやり過ごそうとしているわけだ。北朝鮮が南北関係で「度量の大きな決断」という言い回しを好んで使うのも、こういう理由からだ。
 韓国政府が、北朝鮮の「格」を高めてしまっているという面もある。昨年6月、統一部の長官が首席代表を務める南北閣僚級会談は、日付まで合意していたが、大統領府はぎりぎりになって「格」の問題を理由に会談を白紙にした。続く開城工業団地正常化のための会談でも、韓国側の代表を、特に説明もないまま途中で交代させた。北朝鮮からすれば「問題を解決するためには、大統領府と直接話をしなければならない」という考えを持つというわけだ。韓国政府の周辺でも、統一部は「とんま」で、対北政策は大統領府が直接扱っている、という声が聞かれた。
 大統領府が南北関係の前面に出ることには、利点もある。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の代理人同士が会うということで、速やかな意志決定が可能だ。また、合意事項がある場合、その執行も効率的だ。しかし実務的には、会談で「成果」をめぐる圧迫が強まりかねず、これが「誤った合意」につながることもあり得る。
 何より、南北関係がうまくいかない全ての責任が、大統領に帰することを避けられないだろう。仁川での南北高官級会談の後、既に「北との対話に、前のめりになり過ぎているようだ」「低姿勢であたふたしている」という指摘が出ている。「大統領が直接乗り出して、間違っていた場合、引き返す余地がない。下に任せられるものは任せるべき」という専門家のアドバイスを、大統領府は心に刻んだ方がいいと思う。
黄大振(ファン・デジン)政治部記者






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