韓国大手新聞 朝鮮日報14年7月19日記事抜粋
ソウル市瑞草区に住むJさん（72）の妻は今年3月初め、脳梗塞（こうそく）を発症し、同市内の大学病院で手術を受けた。Jさんは妻が過ごすのにふさわしい療養型病院を探し、同市や京畿道の十数カ所を回ったが、気に入った病院はなかった。モーテルを改造したような所や、避難場所がない所、通路が狭い所、さらにはスプリンクラーや消火器がない所もあった。安全は後回しという病院があまりにも多かったのだ。
Jさんは5月20日、ソウル市江南区細谷洞にある療養型病院に妻を入院させた。それから間もない同月28日、全羅南道長城郡の療養型病院で火災が発生し、21人が死亡した。Jさんは「恐らく、以前見て回った病院に妻を入院させていたなら、安心して寝られなかったところだ」と話した。その上で「ここ（現在妻が入院している病院）は心配ない。体が不自由な妻も、ここならば絶対安全だという信頼感がある」と語った。
旅客船「セウォル号」沈没事故が起こる2日前の4月14日に開院した江南区立幸福療養病院の安全システムが話題になっている。ソウル市初の区立病院である同病院の安全システムを学ぶため、サムスン・ソウル病院や延世大学江南セブランス病院、盆唐ソウル大学病院といった韓国内外の大規模な病院の関係者たちが視察に訪れている。その中には日本で最高レベルとされる療養型病院の理事長など、「安全大国」日本の関係者の姿もあった。
地下2階、地上5階建ての病院の建物で真っ先に目に付くのはバルコニーだ。病室のある2－5階の外側をベルトのように取り囲んでいるバルコニーは、全ての病室と連結している。それはまるで、全ての住戸が廊下でつながっているマンションのようだ。バルコニーの出入り口は、昼間は手で開けることができるが、夜間は自動的に施錠される。患者の転落を防ぐための措置だ。だが、火災警報器が火や煙を感知した場合は、直ちに施錠が解除され、避難することができる。病院の関係者は「緊急事態が発生した場合、階段を使って避難するのが容易ではない療養型病院の患者たちはバルコニーに出れば、有毒ガスによる窒息を避けることができる」と話した。病院内の各所に隠された、高齢者に合わせた安全システムの一つといえる。
バルコニーには傾斜型・垂直型の2種類の救助袋が設置されている。これをバルコニーの外側に投げると、地面につながる避難路がわずか5秒で出来上がる。患者はこの中に入り、滑り台を下りるように、すぐに脱出することが可能だ。非常階段が備えられている建物には、このような救助袋の設置は義務付けられていないが、この病院の3－5階には2台ずつ、計6台の救助袋が備えられている。この病院の消火器は、安全ピンを抜いて噴射する必要がない。火災が発生した場所に投げるだけでよい。またトイレの天井にもスプリンクラーが設置されている。病室のベッドのシーツやカーテンは全て燃えにくい素材を用いている。また、外装のペイントや床、天井も燃えにくい素材を用いた。火災が発生しても燃え広がりにくいだけでなく、火災自体が発生しにくいというわけだ。つまり、長城郡の療養型病院で発生したような惨事は、この病院では起こり得ないというわけだ。
4月25日にこの病院を訪れた東京の療養型病院の理事長と副院長は「完璧な安全設備を備えた病院が韓国にあるというので視察に来た」と話した。この病院は、日本の療養型病院の審査で最高の104点を付けられた。その理事長と副院長は、江南区立幸福療養病院を視察した後「安全面で本当に、ほかのどの病院よりも優れている」と驚いていた。
富裕層の街として知られる江南区に開設された病院だが、富裕層ばかりが入院できるわけではない。チョン・グンファ管理部長は「脳卒中や中風、関節炎といった高齢者に多い病気を抱えている患者は、全国どこに住んでいても先着順で入院できる」と語った。入院費は法律で定められた通りの額を受け取っている。
これまで、ほとんどが民営の療養型病院が乱立することにより、高齢者たちの安全がむしろ脅かされるという問題がたびたび浮上してきた。そんな中「療養型病院がどれだけ安全な医療サービスを提供できるか示そう」という点で一致し、2012年に着工したのが江南区立幸福療養病院だ。国や区の予算416億ウォン（約41億7400万円）のうち、19億ウォン（約1億9100万円）が消防や安全のための設備に投資された。着工から開院までの間には、消防や建築、土木、通信などの専門家10人からなる住民監理団が8回にわたり、安全システムのチェックを行った。
ソウル市瑞草区に住むJさん（72）の妻は今年3月初め、脳梗塞（こうそく）を発症し、同市内の大学病院で手術を受けた。Jさんは妻が過ごすのにふさわしい療養型病院を探し、同市や京畿道の十数カ所を回ったが、気に入った病院はなかった。モーテルを改造したような所や、避難場所がない所、通路が狭い所、さらにはスプリンクラーや消火器がない所もあった。安全は後回しという病院があまりにも多かったのだ。
Jさんは5月20日、ソウル市江南区細谷洞にある療養型病院に妻を入院させた。それから間もない同月28日、全羅南道長城郡の療養型病院で火災が発生し、21人が死亡した。Jさんは「恐らく、以前見て回った病院に妻を入院させていたなら、安心して寝られなかったところだ」と話した。その上で「ここ（現在妻が入院している病院）は心配ない。体が不自由な妻も、ここならば絶対安全だという信頼感がある」と語った。
旅客船「セウォル号」沈没事故が起こる2日前の4月14日に開院した江南区立幸福療養病院の安全システムが話題になっている。ソウル市初の区立病院である同病院の安全システムを学ぶため、サムスン・ソウル病院や延世大学江南セブランス病院、盆唐ソウル大学病院といった韓国内外の大規模な病院の関係者たちが視察に訪れている。その中には日本で最高レベルとされる療養型病院の理事長など、「安全大国」日本の関係者の姿もあった。
地下2階、地上5階建ての病院の建物で真っ先に目に付くのはバルコニーだ。病室のある2－5階の外側をベルトのように取り囲んでいるバルコニーは、全ての病室と連結している。それはまるで、全ての住戸が廊下でつながっているマンションのようだ。バルコニーの出入り口は、昼間は手で開けることができるが、夜間は自動的に施錠される。患者の転落を防ぐための措置だ。だが、火災警報器が火や煙を感知した場合は、直ちに施錠が解除され、避難することができる。病院の関係者は「緊急事態が発生した場合、階段を使って避難するのが容易ではない療養型病院の患者たちはバルコニーに出れば、有毒ガスによる窒息を避けることができる」と話した。病院内の各所に隠された、高齢者に合わせた安全システムの一つといえる。
バルコニーには傾斜型・垂直型の2種類の救助袋が設置されている。これをバルコニーの外側に投げると、地面につながる避難路がわずか5秒で出来上がる。患者はこの中に入り、滑り台を下りるように、すぐに脱出することが可能だ。非常階段が備えられている建物には、このような救助袋の設置は義務付けられていないが、この病院の3－5階には2台ずつ、計6台の救助袋が備えられている。この病院の消火器は、安全ピンを抜いて噴射する必要がない。火災が発生した場所に投げるだけでよい。またトイレの天井にもスプリンクラーが設置されている。病室のベッドのシーツやカーテンは全て燃えにくい素材を用いている。また、外装のペイントや床、天井も燃えにくい素材を用いた。火災が発生しても燃え広がりにくいだけでなく、火災自体が発生しにくいというわけだ。つまり、長城郡の療養型病院で発生したような惨事は、この病院では起こり得ないというわけだ。
4月25日にこの病院を訪れた東京の療養型病院の理事長と副院長は「完璧な安全設備を備えた病院が韓国にあるというので視察に来た」と話した。この病院は、日本の療養型病院の審査で最高の104点を付けられた。その理事長と副院長は、江南区立幸福療養病院を視察した後「安全面で本当に、ほかのどの病院よりも優れている」と驚いていた。
富裕層の街として知られる江南区に開設された病院だが、富裕層ばかりが入院できるわけではない。チョン・グンファ管理部長は「脳卒中や中風、関節炎といった高齢者に多い病気を抱えている患者は、全国どこに住んでいても先着順で入院できる」と語った。入院費は法律で定められた通りの額を受け取っている。
これまで、ほとんどが民営の療養型病院が乱立することにより、高齢者たちの安全がむしろ脅かされるという問題がたびたび浮上してきた。そんな中「療養型病院がどれだけ安全な医療サービスを提供できるか示そう」という点で一致し、2012年に着工したのが江南区立幸福療養病院だ。国や区の予算416億ウォン（約41億7400万円）のうち、19億ウォン（約1億9100万円）が消防や安全のための設備に投資された。着工から開院までの間には、消防や建築、土木、通信などの専門家10人からなる住民監理団が8回にわたり、安全システムのチェックを行った。
