シニア花井の韓国余話

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「海を知らない人たち」が牛耳る海洋警察                              

2014年05月27日 16時30分31秒 | Weblog
警備艇での勤務経験ない人物が海洋警察庁長官に
歴代長官13人のうち、海洋警察出身はたった2人
地方海洋警察庁は幹部のポストのための「屋上屋」
 旅客船「セウォル号」沈没事故への対応の不手際をめぐり、海洋警察が世論の集中砲火を浴びていた5月6日、与党セヌリ党の金在原議員が報道資料を公開した。その上でキム議員は「海洋警察は頭でっかちで手足がない奇形の組織に変貌した。今や、地方海洋警察庁を廃止してその人材を全て第一線の海洋警察署に配置し、警監(日本の警視に相当)級以上の幹部の階級を一つ落とすよう、政府に対し強く求める」と主張した。これは海洋警察に対する国民の失望を背景に強く表現した発言ともいえるが、その裏には多くの真実が隠されている。
■組織は大きくなったが、実務を担える人材が不足
 海洋警察は6・25戦争(朝鮮戦争)の休戦直後の1953年12月、内務部(省)治安局傘下の海洋警察隊として発足した。隊員は658人、警備艇は海軍から譲渡された181トン級の古いものが6隻あるだけだった。その後、組織を拡大し続けてきた海洋警察は、1996年に警察庁から分離して海洋水産部の外局となり、独自の道を歩み始めた。2005年には海洋警察庁長官の階級が警察庁長官と同じ治安総監(最高の階級)になり、次官と同等の地位になった。現在、海洋警察は全国4カ所の地方海洋警察庁と17の海洋警察署を置き、職員数は計8685人に達する(戦闘警察隊〈機動隊〉と義務警察官〈兵役の代わりに警察に勤務する〉の約2000人を除く)。
 海洋警察が担当する海の広さは、韓国の面積の4.5倍に達する。年間に1000件以上発生する海難事故や、250件以上発生する海洋汚染、数の増加と凶暴化の一途をたどる中国漁船の違法操業などを取り締まっている。陸地の警察職員の数が10万人程度であることを考慮すると、無駄に大きな組織とはいえない。だが問題は、組織が現場の実務担当者を中心としたものではないという点だ。深海での救助能力を有する「特殊救助団」は9人(事務担当の2人を除く)しかおらず、しかも釜山にしか駐留していない。
海洋警察の全職員のうち、海の警備を行う職員は3700人(42.6%)で、この中には捜索や救助など行うダイバー482人(5.6%)が含まれている。また、海洋汚染を防ぐ職務を担当する職員は261人(3%)だ。残りの職員のうち半分程度は、企画や捜査、行政支援、派出所勤務など、陸地の警察とほとんど変わらない部署で勤務しているというわけだ。
 このような問題は「海を知らない人たち」が海洋警察の組織を主導していることに起因するとの見方が出ている。現在、地方海洋警察庁長官や本庁の警務官(警視監に相当、局長級)以上の幹部14人のうち、艦艇勤務を経験した人は半分しかいない。金錫均(キム・ソクキュン)海洋警察庁長官も警備艇で勤務した経験がない。1996年に警察庁と海洋警察庁が分離した後、海洋警察庁長官を務めた13人のうち、海洋警察出身者はたった2人で、残りは全て警察庁出身だ。
■「海洋警察の役割を明確化し、組織を整備すべき」
 海洋警察が2006年以降運営している4カ所の地方海洋警察庁(東海〈日本海〉、西海〈黄海〉、南海〈東シナ海〉、済州)は、各海域の特性に応じた高度の治安維持を担うという趣旨で設けられた。ところが実際には、幹部たちのポストを用意するために「屋上屋を架した」だけと指摘する声が少なくない。海洋警察内部でも「本庁が全国17の海洋警察署を直接指揮しても特に問題はないのに、その間に地方海洋警察庁を設けることで、報告の手続きが増えるだけとなった」と批判する声が出ている。陸地の警察が、ソウル地方警察庁の傘下に31警察署、京畿地方警察庁の傘下に41警察署を置いているのと比べると、海洋警察庁の本庁が17の海洋警察署を直接指揮するのは全く問題がないように思える。
 海洋警察の組織を刷新するためには、何よりも海洋警察がどのような業務を担当する機関なのかを明確に定義すべきだ、と指摘する声が出ている。政府組織法は「海洋での警察業務を行うとともに、海洋汚染を防止するため、海洋水産部の外局として海洋警察を置く」と定めている。だが、この規定はあまりにも広範囲であいまいなため、海洋警察は警察、消防防災庁、海洋水産部、環境部、地方自治体が管轄する幾つもの業務に手を出し、組織が乱れ、与えられた役割に集中できなくなっているというわけだ。国立木浦海洋大学のイム・チェヒョン教授(海洋警察学)は「韓国の海洋警察は日本(海上保安庁)や米国(沿岸警備隊)と異なり、韓国的な特殊性のため、北朝鮮に対する対応、中国漁船(の違法操業)への対応、捜査分野などに多くの人材を投入している一方、海洋汚染の防止や海水浴場の管理に至るまで、あまりにも多様な業務を担当している。『海洋組織法』のような法令を定め、海洋警察の役割を明確化し、組織をスリムにした上で、効率的な再編を行うべきだ」と指摘した。
仁川= 崔在鎔(チェ・ジェヨン)記者
韓国大手新聞 朝鮮日報14年5月24記事抜粋




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