法律相談はむずかしい

2014-05-13 02:36:51 | 法曹実務

当支部が実施している法律相談は30分枠で実施している。自治体や法テラスがの相談も同じ時間。つまり、30分間で相談者から事実経過を聴き取り、法的なアドバイスをおこなう必要がある。

 

これがなかなか難しい。まず、話を聞くまで何の相談かがわからない。比較的件数の多い離婚や相続であっても、社保や税務にからむと不勉強ゆえドキドキする。間違いを言うわけにはいかないので、「わかりません」と告白して後日に調べてお答えすることも。あんまり繰り返すとみっともないので日々の勉強が大事ですね。

 

正確な回答の前提として、相談者が何を知りたいと思ってきているのかを聴き取り、事実経過を把握する。ところがこれも簡単ではない。当然のことながら、多くの相談者にとって何が法的問題(非法的問題)なのか、何が重要な事実なのかはわからない。弁護士によっていろいろやり方があろうが、まずはできる限り介入せずに話していただき、途中で弁護士が引き取って法的問題点・一応の回答をすることが多い。とはいえ、どうしても時間に限りがあるため、こちらが主体的に交通整理をしてしまうこともある。これをやり過ぎると「弁護士に話を聞いてもらえなかった」とご不満になる。やはり難しい。

 

本日、新入会員弁護士の模擬相談を講評する機会を得た。同業の法律相談を見聞することは非常に少ないので、新鮮な勉強になった。他人のアラをあれこれ論評するのは簡単だけど、我が身を振り返れば反省ばかり。すべて自分のことを棚に上げた発言ですので悪しからず・・・。

 

あえて自分なりの「模範的法律相談」を。

30分のうち、相談者がいちばん聞きたいことを知るためにも、10~15分程度は相談者主体で話してもらう。もっとも、キーとなる事実(離婚で言えば婚姻時期~子の出生時期~別居時期等)は適宜質問を加える。場合によっては20分程度になってもよい。

その上で、「今までお聴きした事実を前提に」ということで、実体法上の扱い・それを実現する手続について説明する。専門用語はあまり使わない。お伝えする情報は多ければいいわけではなく、大きな枠組み(離婚ならば、子ども・財産分与・慰謝料)・手続の大きな流れ(話し合い→家裁)を示すほうがよいだろう。

弁護士として、あくまでも「法律」相談であることに自覚的にあるべきだと思う。しょせん弁護士が答えられる事柄などたかが知れている。法律相談の場で、道徳や人生観をおおっぴらに語るべきではない。・・・と思いつつも、たまに脱線してないかな。

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