弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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労働問題FAQ 改訂

2010-11-15 | 日記

労働問題FAQを改訂しました。

 

労働問題FAQ

 労働問題の弁護士相談(使用者側)においてよくある質問に関し,回答集を作成しました。
 労働問題の予防解決のために役に立つ回答内容になるよう心がけたつもりですが,FAQというものの性質上,回答内容が個別の事案にそのまま当てはまるとは限らないという点についてご留意いただきますようお願いします。
 労働問題について弁護士の踏み込んだアドバイスが必要な場合は,四谷麹町法律事務所(東京)労働相談(使用者側限定)を電話予約していただきますようお願いします。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

Q1
正社員の解雇が有効となるには,どのような要件を満たす必要がありますか?
Q2
普通解雇・懲戒解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情として,どのような事情を立証すればいいのですか?
Q3
整理解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情としては,どのようなものが考えられますか?
Q4
懲戒解雇を行うにあたり,特に注意すべき点はどのようなものですか?
Q5
懲戒解雇事由と普通解雇事由が両方ある場合にした解雇の効力は,どのようなものになりますか?
Q6
試用期間中の正社員の本採用拒否(解雇)をする場合,どのような点に注意する必要がありますか?
Q7
配転命令を拒否した正社員を解雇することはできますか?
Q8
有期雇用労働者との間の雇用契約を終了させる際には,どのようなことに注意する必要がありますか?
Q9
解雇・雇止めをした場合,労働審判・訴訟などにおいて,使用者はどのような請求を受けることが多いのでしょうか?
Q10
辞めさせたい正社員がいる場合,どのように対処すればいいのでしょうか?
Q11
労基法上,使用者が割増賃金(残業代等)の支払義務を負うのはどのような場合ですか?
Q12
労基法上,月給制の正社員に関する割増賃金の金額は,どのように計算することになるのですか?
Q13
終業時刻を過ぎても退社しないままダラダラと会社に残っている社員がいる場合,会社としてはどのような対応をすべきですか?
Q14
使用者と社員が合意することにより,以下のような定めをすることはできますか?
Q15
管理職には残業代を支払わなくてもいいのでしょうか?
Q16
労災保険給付がなされれば,使用者は,労働者から損害賠償請求を受けずに済むのでしょうか?
Q17
業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷に関し,使用者が負う安全配慮義務の具体的内容はどのようなものですか?
Q18
身体に対する加害行為を原因とする被害者の損害賠償請求において賠償額を決定するに当たり,損害の発生又は拡大に寄与した被害者の性格等の心因的要因は考慮されますか?
Q19
アスベスト(石綿)に関する過去の知見,規制は,どのようなものだったのですか?
Q20
アスベスト(石綿)の危険性に対する予見可能性,使用者の安全配慮義務の程度は,どのようなものですか?
Q21
アスベスト(石綿)に関する安全配慮義務違反の具体的事実としては,どのような事項が検討されるのですか?
Q22
労働審判制度の主な特徴はどのようなものですか?
Q23
労働審判の申立て件数,審理期間,紛争解決実績はどうなっていますか?
Q24
労働審判を申し立てられた場合における,使用者側の主な注意事項はどのようなものですか?
Q25
労働審判手続において調停が成立しなかった場合は,どうなるのですか?
Q26
「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「使用者」とは雇用主のみを指すのですか?
Q27
「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「労働者」とはどの範囲の者を指すのですか?
Q28
使用者が団体交渉に応じているにもかかわらず,団体交渉拒否と評価され,不当労働行為となることもあるのですか?
Q29
団体交渉が行き詰まった場合は,団体交渉を打ち切ることができますか?
Q30
労働組合による街宣活動が違法と評価されるのは,どのような場合ですか?

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日本アイ・ビー・エム事件最高裁第二小法廷平成22年7月12日判決(労経速2081-3)

2010-11-08 | 日記

本件は,被上告人が,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)に基づき,新設分割の方法により,その事業部門の一部につき会社の分割をしたところ,これによって被上告人との間の労働契約が上記分割により設立された会社に承継されるとされた上告人らが,上記労働契約は,その承継手続に瑕疵があるので上記会社に承継されず,上記分割は上告人らに対する不法行為に当たるなだと主張して,被上告人に対し,労働契約上の地位確認及び損害賠償を求めた事案です。

会社分割における5条協議,7条措置の瑕疵と労働契約の承継の関係に関し,初めて最高裁判所が判断しました。

特定の労働者との関係において5条協議が全く行われなかった場合,5条協議の際の分割会社からの説明や協議の内容が著しく不十分であるため,法が5条協議を求めた趣旨に反することが明らかな場合には,当該労働者は承継法3条の定める労働契約承継の効力を争うことができるとしていますので,労働契約承継の効力を争おうとする労働者は,このような場合に該当することを主張立証していくことになりそうです。

そして,個別の事案において行われた7条措置や5条協議が法の求める趣旨を満たすか否かを判断するに当たっては,それが指針に沿って行われたものであるか否かも十分に考慮すべきことになります。

弁護士 藤田 進太郎

 

【5条協議】

法は,労働契約の承継につき以上のように定める一方で,5条協議として,会社の分割に伴う労働契約の承継に関し,分割計画書等を本店に備え置くべき日までに労働者と協議をすることを分割会社に求めている(商法等改正法附則5条1項)。

これは,上記労働契約の承継のいかんが労働者の地位に重大な変更をもたらし得るものであることから,分割会社が分割計画書を作成して個々の労働者の労働契約の承継について決定するに先立ち,承継される営業に従事する個々の労働者との間で協議を行わせ,当該労働者の希望等をも踏まえつつ分割会社に承継の判断をさせることによって,労働者の保護を図ろうとする趣旨に出たものと解される。

ところで,承継法3条所定の場合には労働者はその労働契約の承継に係る分割会社の決定に対して異議を申し出ることができない立場にあるが,上記のような5条協議の趣旨からすると,承継法3条は適正に5条協議が行われ当該労働者の保護が図られていることを当然の前提としているものと解される。

この点に照らすと,上記立場にある特定の労働者との関係において5条協議が全く行われなかったときには,当該労働者は承継法3条の定める労働契約承継の効力を争うことができるものと解するのが相当である。

また,5条協議が行われた場合であっても,その際の分割会社からの説明や協議の内容が著しく不十分であるため,法が5条協議を求めた趣旨に反することが明らかな場合には,分割会社に5条協議義務の違反があったと評価してよく,当該労働者は承継法3条の定める労働契約承継の効力を争うことができるというべきである。

【7条措置】

他方,分割会社は,7条措置として,会社の分割に当たり,その雇用する労働者の理解と協力を得るよう努めるものとされているが(承継法7条),これは分割会社に対して努力義務を課したものと解され,これに違反したこと自体は労働契約承継の効力を左右する事由になるものではない。

7条措置において十分な情報提供等がされなかったがために5条協議がその実質を欠くことになったといった特段の事情がある場合に,5条協議義務違反の有無を判断する一事情として7条措置のいかんが問題になるにとどまるものというべきである。

【指針】

なお,7条措置や5条協議において分割会社が説明等をすべき内容等については,「分割会社及び承継会社等が講ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関する措置の適切な実施を図るための指針」(平成12年労働省告示第127号。平成18年厚生労働省告示第343号による改正前のもの。なお,同改正前の表題は「分割会社及び設立会社等が講ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関する措置の適切な実施を図るための指針」。以下「指針」という。)が定めている。

指針は,7条措置において労働者の理解と協力を得るべき事項として,会社の分割の背景及び理由並びに労働者が承継される営業に主として従事するか否かの判断基準等を挙げ,また5条協議においては,承継される営業に従事する労働者に対して,当該分割後に当該労働者が勤務する会社の概要や当該労働者が上記営業に主として従事する労働者に該当するか否かを説明し,その希望を聴取した上で,当該労働者に係る労働契約の承継の有無や就業形態等につき協議をすべきものと定めているが,その定めるところは,以上説示したところに照らして基本的に合理性を有するものであり,個別の事案において行われた7条措置や5条協議が法の求める趣旨を満たすか否かを判断するに当たっては,それが指針に沿って行われたものであるか否かも十分に考慮されるべきである。

 

 


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事務所ウェブサイト 業務内容ご案内ページ改訂

2010-11-08 | 日記
事務所ウェブサイトの業務内容ご案内ページを改訂しました。

弁護士 藤田 進太郎


労働問題に関する弁護士相談(使用者側限定)

 労働問題に関する無料弁護士相談(使用者側限定)を行っていますので,従業員とのトラブルでお悩みの経営者様は,お気軽にご相談下さい。
 詳しくは「労働相談」ページを参照していただきますようお願いします。

労使紛争の予防解決

 四谷麹町法律事務所は,使用者側専門の法律事務所として,解雇・退職に関する紛争,割増賃金(残業代)請求,うつ病への罹患・アスベスト(石綿)吸引による死亡等を理由とする損 害賠償請求などの労働問題に関する訴訟,労働審判,団体交渉の対応等,労使紛争の予防解決に力を入れています。


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事務所ウェブサイト トップページ改訂

2010-11-08 | 日記
事務所ウェブサイトのトップページを改訂しました。

弁護士 藤田 進太郎


 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係こそが経済活動・社会生活の核心であると考えており,使用者側専門の立場から,労働問題の予防・解決に力を入れています。
 問題社員に対する対応,労働審判・団体交渉等の労使紛争でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。
 労働問題に関する初回の弁護士相談(使用者側限定)は,無料です。

 近年,解雇・退職に関する紛争,割増賃金(残業代)の請求,うつ病への罹患・アスベスト(石綿)吸引による死亡等を理由とする損害賠償請求などの労働問題が急増し,弁護士に対する相談件数が増えています。
 ところが,労務リスクが高い状態となっていることを会社経営者が軽視し,十分な準備をせずに社員を解雇したり,残業代を基本給と区別して支払っていなかったり,労働安全衛生の問題を軽視しているなど,リスク管理が不十分な会社がまだまだ多く,無防備な状態のまま,労働者から訴訟を提起されるなどして多額の解決金の支払を余儀なくされて初めて,対策を検討し始める会社経営者が多いというのが実情です。
 会社経営者が,自社が深刻な労務リスクにさらされているという認識が希薄なまま,何らの対策も取らないでいた結果,労働問題が発生し,訴訟などで多額の解決金の支払を余儀なくされてから,社員に裏切られたとか,詐欺にあったようなものだとか,社員にも裁判官にも経営者の苦労を分かってもらえないだとか,法律が社会の実情に合っていないだとか嘆いてがっかりしている姿を見ていると,本当に残念な気持ちになります。
 せっかく一生懸命育ててきた会社なのですから,労働問題で大きなダメージを被って取り返しがつかない結果になる前に,十分な対策を練っておかなければなりません。
 最低限,労働者の解雇は慎重に行うとか,残業代は基本給とはしっかり区別して支払うとか,長時間労働はさせないといった基本的な対策を取っただけでも,労務リスクは大幅に下がりますので,すぐにでも始めていただければと思います。

 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っています。
 労働審判,団体交渉,問題社員に対する対応等,従業員とのトラブルでお悩みでしたら,四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎にご相談下さい。
 労働問題に関する初回の弁護士相談(使用者側限定)は,無料です。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

|所長弁護士藤田進太郎 経歴・所属等

  • 東京大学 法学部 卒業
  • 日本弁護士連合会 労働法制委員会 委員・事務局員
  • 第一東京弁護士会 労働法制委員会 委員・労働契約法制部会副部会長
  • 経営法曹会議 会員
  • 全国倒産処理弁護士ネットワーク 会員


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弁護士津谷裕貴先生

2010-11-04 | 日記
秋田弁護士会会長を務め,日弁連では消費者問題対策委員長を務めていた弁護士津谷裕貴先生が,自宅で刺殺されたとの報道がなされています。
まずは,お悔やみ申し上げます。

横浜の件といい,弁護士も,真剣に,自分の身を守ることを考えなければいけませんね。

弁護士 藤田 進太郎

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アスベスト:ニチアス集団訴訟について

2010-11-02 | 日記
10月29日,ニチアスに対する集団訴訟が,元従業員らにより提起されたとの記事が,あちこちに掲載されていました。
記事を読んでみて,補償を受けられていない?元従業員らがニチアスを非難し,損害賠償請求訴訟を提起したこと,元従業員らを速やかに救済する必要があるという趣旨の記事であることはよく分かりました。
ただ,会社の安全配慮義務違反の内容,補償を受けられていない理由,団体交渉ができなかった理由,労働委員会に対する救済命令申立てがなされたのかどうか等については,よく分かりませんでした。
これまでの経緯,双方の主張内容,その理由等を書いてもらえれば,元従業員らとニチアスのどちらの言い分が正しいのか,より理解しやすくなると思います。
客観的事実経過,双方の主張内容について,知りたいところです。

弁護士 藤田 進太郎

 

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