労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週1回の休日を与えなければならない。」と規定していますが,どの日が法定休日なのか特定することまでは必ずしも要求していません。
就業規則,労働契約等に法定休日の定めがあればそれによりますが,何の定めもない場合は,どのように考えればいいのでしょうか?
例えば,7日とか,8日,続けて労働させた場合に,労基法37条に基づき法定休日割増賃金の支払義務が生じるかが問題となることがあります。
この場合,通常の賃金は支払っているでしょうから,差額の35%増し部分の支払義務の有無が問題となるのが通常です。
この点,労働契約が短期間に限定されていた事案に関し,阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)は,勤務開始日から7日目が法定休日であると認定しました。
会社側は,労基法35条2項が変形週休制を認めており,4週間を通じれば4日以上の休日があるから休日が確保されていると主張しましたが,変形週休制の起算日が明らかでないことを理由に,会社の主張を排斥しています。
阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)における休日割増賃金の請求に関する判断は,以下のとおりです。
労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定するから,勤務開始日から7日目である勤務時間・残業代一覧表記載の平成19年12月19日及び平成20年1月23日は法定休日であると認められる。
したがって,労基法37条1項,労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令により,割増賃金の基礎となる賃金に0.35を掛けた1時間あたり700円が休日割増賃金となる。
よって,原告は法定休日に8時間労働しているから,5600円の休日割増賃金を請求でき,休日割増賃金の額は,勤務時間・残業代一覧表の「休日」欄記載のとおりとなる。
この点,被告は,労基法35条2項が変形週休制を認め,4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者には適用しないと規定し,原告は4週間を通じれば4日以上の休日があるから,休日が確保されていると主張する。
しかし,当然,変形週休制は,特定の起算日から4週間という単位期間を前提とする制度である。
起算日を明らかにすることにより,労働者に変形週休制がいつ始まるか明らかにし,使用者に対しては,起算日を適当に移動させて,変形週休制を恣意的に利用し,濫用することを防ぐことができる。
そして,労基法施行規則12条の2第2項は,「使用者は,法三十五条第2項の規定により労働者に休日を与える場合には,就業規則その他これに準ずるものにおいて,四日以上の休日を与えることとする四週間の起算日を明らかにするものとする」と規定する。
これらによれば,起算日が特定できない以上,変形週休制は利用することができないと解される。
そして,本件全証拠によっても,起算日は明らかでなく,変形週休制は採用できない。
よって,被告の主張は採用できない。
なお,被告は,行政通達(昭和22年9月13日発基第17号)に「出来る限り第三二条の二第一項に準じて」とあることを根拠に反論するが,この通達は1か月単位の変形労働時間制を採用する場合と同様に休日の特定をするように求めるものにすぎない。
就業規則,労働契約等に法定休日の定めがあればそれによりますが,何の定めもない場合は,どのように考えればいいのでしょうか?
例えば,7日とか,8日,続けて労働させた場合に,労基法37条に基づき法定休日割増賃金の支払義務が生じるかが問題となることがあります。
この場合,通常の賃金は支払っているでしょうから,差額の35%増し部分の支払義務の有無が問題となるのが通常です。
この点,労働契約が短期間に限定されていた事案に関し,阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)は,勤務開始日から7日目が法定休日であると認定しました。
会社側は,労基法35条2項が変形週休制を認めており,4週間を通じれば4日以上の休日があるから休日が確保されていると主張しましたが,変形週休制の起算日が明らかでないことを理由に,会社の主張を排斥しています。
阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)における休日割増賃金の請求に関する判断は,以下のとおりです。
労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定するから,勤務開始日から7日目である勤務時間・残業代一覧表記載の平成19年12月19日及び平成20年1月23日は法定休日であると認められる。
したがって,労基法37条1項,労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令により,割増賃金の基礎となる賃金に0.35を掛けた1時間あたり700円が休日割増賃金となる。
よって,原告は法定休日に8時間労働しているから,5600円の休日割増賃金を請求でき,休日割増賃金の額は,勤務時間・残業代一覧表の「休日」欄記載のとおりとなる。
この点,被告は,労基法35条2項が変形週休制を認め,4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者には適用しないと規定し,原告は4週間を通じれば4日以上の休日があるから,休日が確保されていると主張する。
しかし,当然,変形週休制は,特定の起算日から4週間という単位期間を前提とする制度である。
起算日を明らかにすることにより,労働者に変形週休制がいつ始まるか明らかにし,使用者に対しては,起算日を適当に移動させて,変形週休制を恣意的に利用し,濫用することを防ぐことができる。
そして,労基法施行規則12条の2第2項は,「使用者は,法三十五条第2項の規定により労働者に休日を与える場合には,就業規則その他これに準ずるものにおいて,四日以上の休日を与えることとする四週間の起算日を明らかにするものとする」と規定する。
これらによれば,起算日が特定できない以上,変形週休制は利用することができないと解される。
そして,本件全証拠によっても,起算日は明らかでなく,変形週休制は採用できない。
よって,被告の主張は採用できない。
なお,被告は,行政通達(昭和22年9月13日発基第17号)に「出来る限り第三二条の二第一項に準じて」とあることを根拠に反論するが,この通達は1か月単位の変形労働時間制を採用する場合と同様に休日の特定をするように求めるものにすぎない。