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製造業派遣の原則禁止について製造現場で働く派遣社員のうち55.3%が「反対」と回答

2010-10-17 | 日記
東大社会科学研究所のアンケート調査によると,製造業派遣の原則禁止について製造現場で働く派遣社員のうち55.3%が「反対」と回答し,「賛成」は13.5%にとどまるようです。
実施により失業のリスクがかえって高まるのではないかと懸念する派遣労働者が多いとのコメントが掲載されています。
今回は,派遣会社のアンケート調査ではなく,「東大社会科学研究所」のアンケート調査ですからね。
無視することのできない結果だと思います。

確かに,正社員の労働条件が高い(高過ぎる)大企業から見れば,正社員としてまでは雇えない人も,たくさんいるでしょう。
同一企業の正社員間で大きな労働条件の格差を設定しにくく,正社員の解雇が難しい日本では,やむを得ないと思います。
円高も進んでいますし,日本国内で生産するよりも,タイなどの海外で生産した方がいいという会社も,増えています。
規制を強めれば,ますまず,国内製造業は空洞化していくことになるでしょう。
国内産業が育たなければ,正社員として雇いたくても雇えませんし,労働条件の向上もありません。
正社員化を促進したいのであれば,20年後,30年後も会社がその人件費を支払うことができるようにする必要がありますが,現状はその目処は立たないように思えます。

別の大きな問題は,派遣労働者がなりたい「正社員」は,「大企業(若しくはその関連会社)」の正社員だという点ではないでしょうか。
残念ながら,派遣労働者がなりたい「正社員」は,決して,地方の中小零細企業の正社員ではない(笑)。
また,製造業の派遣労働者は,別の業種で働くことを望まない・向いていない人が多く,求人があっても応募しないか,(コミュニケーション能力等,他の業種で求められる能力の)能力不足で採用されないか,採用されても長続きしないかということになりやすい。

製造業派遣に限った話ではありませんが,「中小零細企業で正社員として働いてみたけど,いろいろ納得できないことがあって,すぐに辞めました。以前,大手派遣会社から派遣されて派遣労働者として働いていたときの方が,快適に仕事ができて,ずっと良かったです。」というような話を耳にすることがあります。
派遣の規制を強めるのであれば,求人のミスマッチを解消する方法をよく考える必要があるのではないでしょうか?

中小零細企業の正社員になって働くのと,東京の大手派遣会社から上場企業に派遣されて働くのと,どちらがいいのでしょうか?
中小零細企業の正社員を選ばずに,東京の大手派遣会社から上場企業に派遣されて働くことを選択する人が,相当割合,いると思います。

地方の中小零細企業の正社員になるのと,東京の大手派遣会社から地方の中小零細企業に派遣されて働くのとでは,どちらがいいのでしょうか?
地方の中小零細企業の正社員を選ばずに,東京の大手派遣会社から地方の中小零細企業に派遣されて働く方がいいという人も,やはり,相当割合,いると思います。

結局,自分の魅力に見合った会社にしか就職できないし,自分の会社の魅力に見合った人しか採用できないのだと思います。
いい会社にいい労働条件で勤務したければそれに見合った魅力を身につけるしかないし,中小零細企業がいい人を採りたければそれに見合った魅力を備えた会社になるしかないのだと思います。
「失業するリスクはかえって高まる」という派遣労働者のコメントは,このような普遍的な法則を理解しているからこそのコメントだと思います。
自助努力ができないところに成功はなく,不釣り合いな関係が長続きするはずはないのです。
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