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弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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態度の悪い社員が会社をやめると言い残して退職届も提出せずに出ていってしまったら

2014-06-26 | 日記

社員の態度が悪いため改善するよう指導したところ口論になり,当該社員は会社を辞めると言い残して退職届も提出せずに出て行ってしまいました。どのように対応すればいいでしょうか?

 まずは,本人と連絡を取って,会社を辞めるのであれば退職届を提出するよう促して下さい。
 退職届等の客観的証拠がないと,口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず,解雇 したと認定されたり,解雇もなく合意退職も成立していないからまだ在職中であると認定されたりすることがあります。
 退職届を提出するよう促しても提出しない場合は,電子メールか書面で,会社を辞めるのであれば退職届を提出するよう促すとともに,退職する意思がないのであれば出社するよう促し,解雇していない事実を明確にして下さい。
 最近では,使用者や上司を挑発して解雇の方向に話を誘導して会話を無断録音し,後になってから不当解雇だと主張して多額の解決金を獲得しようとする問題社員 が増加しています。
 自ら進んで退職届を提出したのでは会社からお金を取れませんが,解雇されたことにして争えばある程度の解決金は取れると考える問題社員も中にはいるということです。


労基署に相談してから解雇すれば,裁判にも勝てるのか

2014-06-26 | 日記

労基署に相談してから解雇すれば,裁判にも勝てますよね?

 労基署は労基法違反を取り締まっていますので,労基法20条の解雇予告等をしてから解雇 するよう指導する等,労基法違反にならないようにするためのアドバイスはしてくれるかもしれません。
 労基官によっては,解雇には客観的に合理的な理由が必要であり,社会通念上相当なものである必要もあること(労契法16条)についても教えてくれるかもしれません。
 しかし,解雇の有効性を判断する最終的な権限があるのは裁判所(司法機関)であり,労基署(行政機関)には解雇が民事上有効かどうかを最終的に判断する権限がありませんし,裁判の見通しまで考えて指導してもらえるわけではありません。
 したがって,労基署に相談してから解雇を行ったとしても,直ちに裁判にも勝てることにはなりません。


問題社員に注意指導すると職場の雰囲気が悪くなってしまうので,直ちに解雇したほうがいいのか

2014-06-26 | 日記

問題社員に注意指導や懲戒処分をしたら,気分を害して職場の雰囲気が悪くなりますから,注意指導や懲戒処分なんてせずに直ちに解雇した方がいいのではないですか?

 確かに,問題社員 に注意指導や懲戒処分をした場合,一定の軋轢が生じることは予想されるところです。
 しかし,注意指導や懲戒処分もせずに問題社員の好き勝手にさせていることの方が,職場の雰囲気にとって大きな問題です。
 当然行うべきであった注意指導や懲戒処分をしなかった結果,上司に対する態度もますます悪化したり,新入社員に仕事を教えなかったりいじめたりして何人も辞めさせたりする等の問題行動がエスカレートしてしまうのです。
 問題社員に注意指導や懲戒処分をすることは,会社の秩序や真面目に働いている他の労働者を守るために必要不可欠なことですから,逃げずに注意指導し,それでも改善されない場合には懲戒処分に処するようにして下さい。


問題社員の解雇に臨むに当たってのあるべきスタンス

2014-06-26 | 日記

問題社員の解雇に臨むに当たってのあるべきスタンスを教えて下さい。

 最初に解雇 を決定してからどうやって辞めさせるかを検討するのではなく,解雇せずに正常な労使関係を回復する方法がないか検討したものの正常な労使関係を回復する現実的方法がないため,やむなく解雇に踏み切るというスタンスが重要です。
 余程ひどい事案でない限り,まずは十分に注意指導し,懲戒処分を積み重ね,それでも改善されない場合に初めて解雇に踏み切るべきことになります。


解雇に踏み切るタイミング

2014-06-26 | 日記

解雇に踏み切るタイミングを教えて下さい。

 解雇 に踏み切るのは,原則として解雇が有効であることを証拠により立証できるようにしてからです。
 まずは,何月何日にどこでどのようなことがあったといったような解雇に客観的に合理的な理由があることを基礎付ける事実を紙に書き出してみて下さい。
 紙に書かれた事実だけで,解雇に客観的に合理的な理由があるといえるでしょうか?
 解雇に客観的に合理的な理由があるといえるような事実を紙に書き出せないようでは,解雇は時期尚早と考えた方がいいでしょう。
 次に,紙に書き出した事実を立証するための証拠があるかどうかをチェックして下さい。
 客観的証拠がありますか?
 それとも,一般に証明力が低いと考えられる陳述書や法廷での証言で立証するほかない状態でしょうか?
 証拠の存否や証明力を考慮して事実認定した場合,解雇に客観的に合理的な理由があると評価できるだけの事実を証明することができないようであれば,やはり解雇は時期尚早と考えられます。
 解雇に客観的に合理的な理由があることを証明することができるだけの証拠がそろっている場合には,解雇の可否について最終的な検討に入ります。
 その解雇が社会通念上相当といえるかどうか,それを証明するための客観的証拠があるかどうかについても,紙に書き出してみるとよいでしょう。
 解雇が社会通念上相当であることを証明できると判断した場合には,解雇の準備が整ったことになります。
 以上が正攻法ですが,解雇の有効性を証明することができるだけの証拠がそろっていない時点で解雇するケースもなくはありません。
 しかし,解雇の有効性を証明することができるだけの証拠がそろっていないわけですから,和解金の金額が高額になりがちですし,労働者側が金銭解決を望まない場合には,どれだけ高額のお金を積んでも辞めてもらえないこともあります。
 特別な事情があれば別ですが,できる限り正攻法を選択することを会社の方針とするよう強くお勧めします。


誰の目から見ても勤務態度が悪い社員であっても,解雇に先立ち注意指導する必要があるか

2014-06-26 | 日記

誰の目から見ても勤務態度が悪く,改善するとは到底思えない社員であっても,解雇に先立ち注意指導する必要がありますか?


 解雇権の濫用に当たるかどうか(労契法16条)を判断するにあたっては,注意指導や懲戒処分歴の有無等が考慮されます。
 勤務態度の悪さが客観的に改善の見込みが乏しいことを立証できるのであれば別ですが,注意指導や懲戒処分をしていないのでは,よほど悪質な事案でない限り,勤務態度の悪さが客観的に改善の見込みが乏しいことを立証することに困難を伴うのが通常です。
 勤務態度の悪さが改善の余地がないと会社が勝手に思い込んでいるだけではないかと思われないようにするためにも,十分な注意指導をし,懲戒処分を積み重ねてから,解雇 すべきと考えます。