goo blog サービス終了のお知らせ 

弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログです。

④手続の相当性については,どのようなことを検討する必要があるか

2014-06-19 | 日記

④手続の相当性については,どのようなことを検討する必要がありますか?


 労働協約で整理解雇 に先立ち労働組合と協議する義務が規定されているような場合は,労働組合と協議せずに行った整理解雇は原則として無効となります。
 事前協議義務を定める労働協約がない場合であっても,裁判所は,使用者は労働者に対して整理解雇の必要性と時期・規模・方法について説明を行った上で,誠意を持って協議すべき信義則上の義務を負うと考える傾向にあります。
 使用者が労働者の理解を得るための努力をどの程度したのかが問題となるわけですが,説明に十分な時間をかけず,資料の提示を行わず,抽象的な説明に終始したような場合には,この要素を満たさないと判断されることになります。
 整理解雇を検討せざるを得ない場合には,労働者に対し,人員削減が必要な理由,時期・規模・方法等について,できる限りの説明をして下さい。
 その説明ができない段階では,未だ整理解雇に踏み切る準備ができていないと考えるべきでしょう。


③人選の合理性については,どのようなことを検討する必要があるか

2014-06-19 | 日記

③人選の合理性については,どのようなことを検討する必要がありますか?


 ③人選の合理性に関しては,人選基準そのものの合理性と実際のあてはめの合理性を検討する必要があり,その基準は使用者の恣意が入らない客観的なものであることが必要です。
 人選基準を設けなかった場合や客観性・合理性を欠く人選基準に基づいて整理解雇 がなされた場合は,③人選の合理性を欠くと判断されることになります。
 まずは客観的で合理的な人選基準の設定を行い,人選基準に基づいて整理解雇の対象となる労働者を選定して,後日,訴訟になった場合には,客観的で合理的な人選基準に基づいて整理解雇を行ったことを説明できるようにしておいて下さい。


②解雇回避努力については,どのようなことを検討する必要があるか

2014-06-19 | 日記

②解雇回避努力については,どのようなことを検討する必要がありますか?


 ②解雇回避努力として,使用者は,整理解雇 を行うに先立ち,希望退職の募集,配転,出向,一時帰休などの他の手段によって整理解雇回避の努力をする信義則上の義務を負うと考えられており,他の手段を十分に検討せずにいきなり整理解雇を行った場合,解雇権の濫用と判断されるリスクが高くなります。
 解雇回避措置の「検討」すらしていないのでは,この要素が否定されてしてしまいますので,必ず解雇回避措置を検討して下さい。
 解雇回避措置を検討したものの,現実には解雇回避措置を取ることができないというのであれば,解雇回避措置が取れない合理的理由を説明できるようにしておくべきでしょう。


①人員削減の必要性については,どのようなことを検討する必要があるか

2014-06-19 | 日記

①人員削減の必要性については,どのようなことを検討する必要がありますか?


 ①人員削減の必要性は,整理解雇 が有効とされる上で必要不可欠の要素であり,他の要素の要求水準を設定する役割も有しています。
 裁判所は,人員削減の必要性の有無について詳細に検討しますが,使用者の経営判断を尊重する傾向にあり,明白に人員削減の必要性がない場合を除けば,人員削減の必要性自体は肯定されるのが通常です。
 ただし,人員削減の必要性がそれ程高くないにもかかわらず実施された整理解雇は,②解雇回避努力が尽くされていないなどの理由から解雇権の濫用と判断されることが多いため,人員削減の必要性の程度についても慎重に検討した上で,整理解雇に踏み切るかどうかを判断する必要があります。
 ①人員削減の必要性では,整理解雇の前後で新規採用を行っている事実が問題とされることが多く,整理解雇の有効性を判断する上で不利に斟酌されることがあります。


整理解雇は,普通解雇(狭義)や懲戒解雇と比較して,有効となりやすいですか,無効となりやすいか

2014-06-19 | 日記

整理解雇は,普通解雇(狭義)や懲戒解雇と比較して,有効となりやすいですか,無効となりやすいですか?


 業績不振による事業場閉鎖,企業経営の合理化等,経営上の理由から人員削減を行う整理解雇 は,労働者に帰責性のない解雇 のため,その有効性は厳格に判断されます。
 考慮すべき要素が異なるため一概には言えませんが,一般的には,整理解雇の有効性は,普通解雇 (狭義)や懲戒解雇 よりも無効と判断されやすい傾向にあります。


整理解雇が有効となるかどうかを判断する際に検討する事項は,どのようなものか

2014-06-19 | 日記

整理解雇が有効となるかどうかを判断する際に検討する事項は,どのようなものですか?


 整理解雇 が有効となるかどうかを判断する際に検討する事項は,以下のとおりです。
① 就業規則の解雇事由に該当するか
  就業規則がない場合に民法627条により整理解雇できるのは,狭義の普通解雇 と同様です。
② 解雇権濫用(労契法16条)に当たらないか
③ 解雇予告義務(労基法20条)を遵守しているか
④ 解雇 が制限されている場合に該当しないか


普通解雇の有効性が争われやすいのは,どのような場面か

2014-06-19 | 日記

普通解雇の有効性が争われやすいのは,どのような場面ですか?


 普通解雇 の有効性は,試用期間中の本採用拒否がなされた場合に問題となることが多く,多くの裁判例が存在します。
 普通解雇の有効性が争われた裁判例を判例集からピックアップしてみれば,試用期間 中の本採用拒否の有効性の問題として争われるケースが非常に多いことに気付くことと思います。 


普通解雇が社会通念上相当であるというためには,どういった事情が必要か

2014-06-19 | 日記

普通解雇が社会通念上相当であるというためには,どういった事情が必要となりますか?


 普通解雇 が社会通念上相当であるというためには,労働者の情状(反省の態度,過去の勤務態度・処分歴,年齢・家族構成等),他の労働者の処分との均衡,使用者側の対応・落ち度等に照らして,解雇 がやむを得ないと評価できることが必要となります。
 同じような状況にあるにもかかわらず,ある者は解雇し,別の者は軽い処分にとどめるといった対応をしたような場合に,問題となることが多い印象です。


普通解雇に客観的に合理的な理由があるというために必要なこと

2014-06-19 | 日記

普通解雇に客観的に合理的な理由があるというためには,どのような事情が必要となりますか?  


 普通解雇 に客観的に合理的な理由があるというためには,労働契約を終了させなければならないほど能力不足,勤務態度不良,業務命令違反等の程度が甚だしく,業務の遂行や企業秩序の維持に重大な支障が生じていることが必要となります。

 会社経営者が主観的に解雇 する必要があると判断しただけでは足りません。

 通常は,客観的に合理的な理由の存在を証明するための客観的証拠が必要となります。

 会社関係者の証言,陳述書も証拠となりますが,証明力が低く評価される傾向にあります。


解雇権の濫用(労契法16条)に当たるかどうかを判断する際に検討すること

2014-06-19 | 日記

解雇権の濫用(労契法16条)に当たるかどうかを判断する際には,どういった事情を検討することになりますか?


 普通解雇 (狭義)では,当該労働契約を終了させなければならないほど勤務成績,勤務態度等が不良で職務を行う能力や適格性を欠いているかが問題となり,
 ① 当該企業の種類,規模
 ② 職務内容,労働者の採用理由(職務に要求される能力,勤務態度がどの程度か)
 ③ 勤務成績,勤務態度の不良の程度(企業の業務遂行に支障を生じ,解雇 しなければならないほどに高いかどうか)
 ④ その回数(1回の過誤か,繰り返すものか),改善の余地があるか
 ⑤ 会社の指導があったか(注意・警告をしたり,反省の機会を与えたりしたか)
 ⑥ 他の労働者との取扱いに不均衡はないか
などを総合検討することになります(労働事件審理ノート参照)。


解雇権を濫用するとどうなるか

2014-06-19 | 日記

解雇権を濫用するとどうなりますか?


 労契法16条は,「解雇 は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」と規定しており,解雇権を濫用すると解雇は無効となります。
 解雇が無効と判断されれば,解雇したはずの社員が在職中であることが確認されてしまったり,実際には働いていないにもかかわらず,解雇後の期間(解雇期間)について賃金の支払が命じられたりすることになります。