弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログです。

減給処分10%6か月の法的問題

2012-08-10 | 日記
Q185 問題を起こした社員がいたので,6か月に渡り減給処分10%としようと思いますが,法的に問題がありますか?

 労基法91条は,「就業規則で,労働者に対して減給の制裁を定める場合においては,その減給は,一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え,総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と規定しています。
 そして,労基法91条は,同条の制限に違反する減給の制裁を就業規則に定めることを禁止するのみならず,同条の制限に違反して減給することをも禁止しているものと考えられますから,同条の制限を超える減給の制裁が行われた場合,減給処分は無効となります。
 「6か月に渡り減給処分10%」という処分が減給の制裁として行われた場合,「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え」ていると考えられますので,労基法91条に違反し無効となります。
 なお,労基法91条違反については,30万円以下の罰金刑が規定されています(労基法120条1号)。

弁護士 藤田 進太郎

就業規則の作成届出義務の有無に関する労働者の人数は,企業単位,事業場単位のどちらで考えればいいのか?

2012-08-10 | 日記
Q184 「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則の作成届出義務があるとされていますが(労基法89条),労働者の人数は企業単位,事業場単位のどちらで考えればいいのでしょうか?

 これは,例えば,ある企業が,A事業場で7名,B事業場で7名の労働者を常時使用しているような場合に問題となります。
 この点に関しては,反対説もありますが,労基法が事業に使用される労働者に適用されるものであること,労基法90条が就業規則の作成変更の際の意見聴取を事業場単位で行うものとしていることから,常時使用する労働者の人数は事業場単位で考えるのが一般です。
 したがって,上記事例では,A事業場とB事業場がそれぞれ独立した事業場の場合,いずれの事業場についても,就業規則の作成義務はないことになります。

弁護士 藤田 進太郎