弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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≪大阪開催≫ 問題社員対応の実務

2012-01-04 | 日記
2012年2月29日(水)13:30-17:00 ,ホテルコンソルト新大阪(西中島)で,『問題社員対応の実務』を開催します。

弁護士 藤田 進太郎



≪大阪開催≫ 問題社員対応の実務
 


事業コード 111606
対 象 人事部門、労務部門、総務部門、法務部門などにおいて、関連する業務を担当される皆様
開催日時 2012年2月29日(水)13:30-17:00
プログラム

■ 講 師 ■

四谷麹町法律事務所  弁護士  藤田 進太郎 氏

■ 開催にあたって ■

    本セミナーでは、近年、増加傾向にある問題社員による各種トラブルについて、その法的
   対応策を具体的に検討し、問題社員対応の実務について、分かりやすく解説していきます。
   人事部門、労務部門、総務部門、法務部門などにおいて関連する業務を担当される皆様の
   ご参加をお勧めいたします。


■ プログラム ■

   以下のような近時よくある具体的事例を取り上げ、実務的な対応策を検討・解説いたします。
   ※ セミナー終了後、可能な範囲で個別のご質問もお受けいたします。

    (1)勤務態度が悪い。
    (2)派手な化粧・露出度の高い服装で出社する。
    (3)注意するとパワハラだと言って,指導に従わない。
    (4)虚偽の内部告発をして、会社の名誉・信用を毀損する。
    (5)転勤を拒否する。
    (6)就業時間外に社外で飲酒運転、痴漢、傷害事件等の刑事事件を起こして逮捕された。
    (7)会社の業績が悪いのに、賃金減額に同意しない。
    (8)賃金が残業代込みの金額である旨、納得して入社したにもかかわらず、割増賃金の
       請求をしてくる。
    (9)勝手に朝早く出社したり、夜遅くまで残業したりして、割増賃金の請求をしてくる。
   (10)仕事の能力が低い。
   (11)業務上のミスを繰り返して、会社に損害を与える。
   (12)精神疾患を発症して欠勤を繰り返し、出社しても仕事がまともにできない。
   (13)行方不明になってしまい、社宅に本人の家財道具等を残したまま、長期間連絡が
       取れない。
   (14)会社の機密情報を漏えいする。
   (15)競業他社に転職する。
   (16)社員を引き抜く。
   (17)退職勧奨したところ、解雇してくれと言い出す。
   (18)退職届提出日から退職日までの間、年休を取得してしまい、引継ぎをしない。
   (19)トラブルの多い社員が定年退職後の再雇用を求めてくる。
   (20)解雇した社員が合同労組に加入し、団体交渉を求めてきたり,会社オフィス前や
       社長自宅前で街宣活動をしたりする。

   ※ セミナー当日は、問題社員対応に関する最新情報を盛り込むため、上記に例示した事例を
     変更、追加する場合がございます。
  

会 場 ホテルコンソルト新大阪(西中島)
受 講 料
会員:31,500円(本体 30,000円)/一般:34,650円(本体 33,000円)
※公開セミナーに関するお問い合わせやご質問は、前頁の「よくあるご質問(FAQ)」をご参照下さい。
担 当 公開セミナー事業グループ(TEL.03-5215-3514)

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≪東京開催≫ 問題社員対応の実務

2012-01-04 | 日記
2012年3月8日(木)13:30-17:00,厚生会館(東京・麹町)で『問題社員対応の実務』を開催します。
よろしければ,参加をご検討下さい。

弁護士 藤田 進太郎


≪東京開催≫ 問題社員対応の実務 


事業コード 111607
対 象 人事部門、労務部門、総務部門、法務部門などにおいて、関連する業務を担当される皆様
開催日時 2012年3月8日(木)13:30-17:00
プログラム

■ 講 師 ■

四谷麹町法律事務所  弁護士  藤田 進太郎 氏

■ 開催にあたって ■

   本セミナーでは、近年増加傾向にある問題社員による各種トラブルについて、その法的対応策を
  具体的に検討し、問題社員対応の実務について分かりやすく解説していきます。人事部門、労務
  部門、総務部門、法務部門などにおいて、関連する業務を担当される皆様のご参加をお勧めいた
  します。

■ プログラム ■

   以下のような近時よくある具体的事例を取り上げ、実務的な対応策を検討・解説いたします。
   ※ セミナー終了後、可能な範囲で個別のご質問もお受けいたします。

   (1)勤務態度が悪い。
   (2)派手な化粧・露出度の高い服装で出社する。
   (3)注意するとパワハラだと言って,指導に従わない。
   (4)虚偽の内部告発をして、会社の名誉・信用を毀損する
   (5)転勤を拒否する。
   (6)就業時間外に社外で飲酒運転、痴漢、傷害事件等の刑事事件を起こして逮捕された。
   (7)会社の業績が悪いのに、賃金減額に同意しない。
   (8)賃金が残業代込みの金額である旨納得して入社したにもかかわらず、割増賃金の請求を
       してくる。
   (9)勝手に朝早く出社したり夜遅くまで残業したりして、割増賃金の請求をしてくる。
  (10)仕事の能力が低い。
  (11)業務上のミスを繰り返して、会社に損害を与える。
  (12)精神疾患を発症して欠勤を繰り返し、出社しても仕事がまともにできない。
  (13)行方不明になってしまい、社宅に本人の家財道具等を残したまま長期間連絡が取れない。
  (14)会社の機密情報を漏えいする。
  (15)競業他社に転職する。
  (16)社員を引き抜く。
  (17)退職勧奨したところ、解雇してくれと言い出す。
  (18)退職届提出日から退職日までの間、年休を取得してしまい、引継ぎをしない。
  (19)トラブルの多い社員が定年退職後の再雇用を求めてくる。
  (20)解雇した社員が合同労組に加入し、団体交渉を求めてきたり、会社オフィス前や社長
       自宅前で街宣活動をしたりする。

  ※ セミナー当日は、問題社員対応に関する最新情報を盛り込むため、上記に例示した事例を
     変更、追加する場合がございます。

会 場 厚生会館(東京・麹町)
受 講 料
会員:31,500円(本体 30,000円)/一般:34,650円(本体 33,000円)
※公開セミナーに関するお問い合わせやご質問は、前頁の「よくあるご質問(FAQ)」をご参照下さい。
担 当 公開セミナー事業グループ(TEL.03-5215-3514)

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適性把握目的の有期労働契約

2012-01-04 | 日記
Q42 試用期間を設けても本採用拒否が無効と判断されるリスクがあるので,当社では正社員候補者であっても,まずは全員,有期労働契約を締結しています。その上で,正社員に相応しければ正社員として登用し,正社員に相応しくなれば期間満了で辞めてもらっています。いいやり方だと思うのですが,いかがでしょう?

 正社員について,試用期間を設けたとしても,本採用拒否(留保解約権の行使)が,解雇権濫用法理(労働契約法16条)により無効とされるリスクがあることから,最初から正社員として雇用するのではなく,まずは有期労働契約を締結して正社員と同様の職務に従事させ,労働者に問題があれば雇止めし,問題がない場合には正社員として登用することがあります。
 このようなやり方の法的効力は,どのようなものなのでしょうか?

 判例上,労働者の適性を評価・判断するための有期契約期間は,契約期間の満了により労働契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き,試用期間として取り扱われることになり,有期労働契約期間中の労働者が正社員と同じ職場で同じ職務に従事し,使用者の取扱いにも格段変わったところはなく,また,正社員登用時に労働契約書作成の手続が採られていないような場合には,原則として解約権留保付労働契約と評価され,本採用拒否(留保解約権の行使)が許される場合でない限り,労働契約を契約期間満了で終了させることができないことになります(神戸弘陵学園事件最高裁第三小法廷平成2年6月5日判決)。
 したがって,労働者の適性を評価・判断することを目的とした有期労働契約を締結した場合に,契約期間満了時に問題社員との労働契約を終了させることができるようにするためには,契約期間の満了により労働契約が当然に終了する旨の明確な合意を書面でしておくとともに,正社員に登用する労働者については正社員登用時に労働契約書作成の手続を確実に採っておくべきことになります。

 弁護士がアドバイスを求められた場合は,上記判例を踏まえ,訴訟になっても勝てるように厳密な労務管理をして下さいとしか言うことができませんが,実際上は,判例が要求する要件を満たしているか否かにかかわらず,有期労働契約の形式を採っていた場合の方が,長期雇用に対する期待が低いことが多いせいか,辞めてもらいやすく,紛争になりにくい傾向にあるようです。
 どこまで厳密に対応するかについては,訴訟になった場合の法的リスクを踏まえた上で,経営者が判断すべきこととなります。

弁護士 藤田 進太郎

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期間雇用者を契約期間満了で雇止めしたところ,雇止めは無効だと主張してくる。

2012-01-04 | 日記
Q18 期間雇用者を契約期間満了で雇止めしたところ,雇止めは無効だと主張してくる。

 有期労働契約は契約期間満了で契約終了となるのが原則です。
 ただし,有期労働契約が反復更新されて期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合,雇用継続に対する労働者の期待利益に合理性がある場合は,雇止めに解雇権濫用法理が類推適用されることになります。
 雇止め解雇権濫用法理が類推適用される場合で,雇止めに客観的に合理的理由がない場合や,社会通念上相当なものでない場合は,雇止めが無効となり,契約が更新されることになります。
 解雇権濫用法理を類推適用する場合か否か,要求される合理的理由の程度について,裁判例では,「当該雇用の臨時性・常用性,更新の回数,雇用の通算期間,契約期間管理の状況,雇用継続の期待をもたせる言動・制度の有無」等が考慮されてきました(菅野『労働法』第九版192頁)。

 有期労働契約は,一般に,以下の①②③④に類型化されています。
 ②③④のタイプに対しては解雇権濫用規制が類推適用され,当該有期労働契約の事案に即した合理的理由が必要とされることになります。
 これに対し,①のタイプでは類推適用が否定され,期間満了による契約終了が肯定されることになります(菅野『労働法』第九版192頁)。
① 契約期間の満了によって当然に契約関係が終了する「純粋有期契約タイプ」
② 期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っていると認められる「実質無期契約タイプ」
③ 相当程度の反復更新の実態から,雇用継続への合理的な期待が認められる「期待保護(反復更新)タイプ」
④ 格別の意思表示や特段の支障がない限り当然に更新されることを前提に契約を締結したものと認められる「期待保護(継続特約)タイプ」

 基本的な対処方法としては,「実質無期契約タイプ」と評価されないためにも,最低限,契約更新手続を形骸化させず,更新ごとに更新手続を行う必要があります。
 また,不必要に雇用継続を期待させるような言動は慎み,契約更新を拒絶する可能性があることを労働条件通知書等に明記するとともに,よく説明しておくべきでしょう。
 有期労働者については,身元保証人の要否,担当業務の内容,責任の程度等に関し,正社員と明確に区別した労務管理を行うべきです。
 雇止めが無効となるリスクが高い事案においては,合意により退職する形にすることをお勧めします。
 上乗せ金の支払も検討せざるを得ないでしょう。
 年休を消化させたり,年休買い上げの合意を盛り込んだりしておくと,退職合意の有効性が認められやすい傾向にあります。 

 労働者の適性を評価・判断する目的で労働契約に期間を設けた場合は,期間の満了により労働契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き,契約期間は契約の存続期間ではなく,試用期間と評価されることになります。
 したがって,労働者の適性を評価・判断する目的の期間満了による雇止めが有効とされるためには,試用期間満了時における本採用拒否と同様,解約権留保の趣旨・目的に照らして,客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認される場合であることが必要となります。
 期間満了で労働契約を終了させられるようにしておきたいのであれば,当初の労働契約書において,期間満了により労働契約が当然に終了する旨の明確な合意をしておくとともに,期間満了により当初の労働契約は現実に終了させ,その後も正社員として勤務させる場合には,通常の正社員採用の際と同様,労働条件通知書を交付する等の採用手続を改めて行う必要があります。
 これを怠ると,当初から正社員として採用したものであり,当初の契約期間は試用期間に過ぎず,契約期間満了による退職(雇止め)は,試用期間における本採用拒否(解雇)と評価されるリスクが生じることになります。

弁護士 藤田 進太郎

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退職届を提出したのに,後になってから退職の撤回を求めてくる。

2012-01-04 | 日記
Q17 退職届を提出したのに,後になってから退職の撤回を求めてくる。

 退職届の提出は,通常は合意退職の申し出と評価することができます。
 合意退職は退職の申込みに対する承諾がなされて初めて成立しますから,合意退職の申し出をした社員は,社員の退職に関する決裁権限のある人事部や経営者が承諾の意思表示をするまでは,信義則に反するような特段の事情がない限り,退職を撤回することができることになります。
 したがって,退職を早期に確定したい場合は,退職を承諾する旨の意思表示を早期に行う必要があります。
 退職を認める旨の決済がなされただけでは足りません。

 退職届を提出した社員から,心裡留保(民法93条),錯誤(民法95条),強迫(民法96条)等が主張されることもありますが,なかなか認められません。
 退職するつもりはないのに,反省していることを示す意図で退職届を提出したことを会社側が知ることができたような場合は,心裡留保(民法93条)により,退職は無効となります。
 錯誤,強迫が認められやすい典型的事例は,「このままだと懲戒解雇は避けられず,懲戒解雇だと退職金は出ない。ただ,退職届を提出するのであれば,温情で受理し,退職金も支給する。」等と社員に告知して退職届を提出させたところ,実際には懲戒解雇できるような事案ではなかったことが後から判明したようなケースです。
 懲戒事由の存在が明白ではない場合は,懲戒解雇の威嚇の下,自主退職に追い込んだと評価されないようにしなければなりません。

 退職自体は有効であっても,退職勧奨のやり方次第では,慰謝料の支払を命じられることがあります。
 退職勧奨のやり取りは,無断録音されていることが多く,録音記録が訴訟で証拠として提出された場合は,証拠として認められてしまいます。
 退職勧奨を行う場合は,無断録音されていても不都合がないよう気をつけて下さい。

 退職届等の客観的証拠がないと,口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず,在職中であるとか,解雇されたとか認定されることがあります。
 退職の申出があった場合は漫然と放置せず,速やかに退職届を提出させて証拠を残しておくようにして下さい。
 印鑑を持ち合わせていない場合は,差し当たり,署名があれば十分です。
 後から印鑑を持参させて,面前で押印させるようにして下さい。

弁護士 藤田 進太郎

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退職届提出日から退職日までの間,年休を取得してしまい,引継ぎをしない。

2012-01-04 | 日記
Q16 退職届提出日から退職日までの間,年休を取得してしまい,引継ぎをしない。

 労働者がその有する休暇日数の範囲内で,具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をしたときは,適法な時季変更権の行使がない限り,年次有給休暇が成立し,当該労働日における就労義務が消滅することになります。
 年休取得に使用者の承認は不要です。
 社員の年休取得を拒むことができるというためには,時季変更権(労基法39条5項)を行使できる場面でなければなりませんが,退職後に年休を与えることはできないため,退職までの全労働日の年休取得を申請された場合,使用者は時季変更権の行使ができず,退職日までの年休取得を拒絶することはできません。
 引継ぎをしてもらわなければ業務に支障が生じることもあるかもしれませんが,法的にはやむを得ません。
 年休取得を拒絶して業務の引継ぎをさせることはできない以上,退職する社員とよく話し合って,年休買い上げの合意をするか,退職日を先に延ばす合意をするなどして,引継ぎをするよう説得するほかありません。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨したところ,解雇してくれと言い出す。

2012-01-04 | 日記
Q15 退職勧奨したところ,解雇してくれと言い出す。

 退職勧奨した社員から解雇してくれと言われたからといって,安易に解雇すべきではありません。
 後日,解雇が無効であることを前提として,多額の賃金請求を受けるリスクがあります。

 即時解雇した場合,解雇予告手当の請求を受けることがありますが,解雇予告手当は平均賃金の30日分を支払えば足りますので(労基法20条1項),金額はたかが知れています。
 解雇予告手当の請求は,解雇の効力を争わないことを前提とした請求なので,解雇予告手当の請求を受けた場合は,むしろ運がよかったと考えられる事案が多いと考えます。
 解雇の無効を前提として,解雇日以降の賃金請求がなされた場合に会社が負担する可能性がある金額は,高額になることが多いからです。
 単純化して説明しますと,月給30万の社員を解雇したところ,解雇の効力が争われ,2年後に判決で解雇が無効と判断された場合は,既発生の未払賃金元本だけで,30万円×24か月=720万円の支払義務を負うことになります。
 解雇が無効と判断された場合,実際には全く仕事をしていない社員に対し,毎月の賃金を支払わなければならないことを理解しておく必要があります。

 最近では,経営者を挑発して解雇させ,多額の金銭を獲得してから転職しようと考える社員も出てきています。
 また,退職勧奨,解雇のやり取りは,無断録音されていることが多く,録音記録が訴訟で証拠として提出された場合は,証拠として認められてしまいます。
 退職勧奨,解雇を行う場合は,感情的にならないよう普段以上に心掛け,無断録音されていても不都合がないようにしなければなりません。

 労働者側弁護士事務所のウェブサイトの中には,解雇されるとお金をもらえるチャンスであるかのような宣伝しているものも見受けられます
 解雇問題を「ビジネス」として考えている労働者側弁護士もいることに注意しなければなりません。

 解雇してくれと言われて解雇したところ,解雇の効力が争われ,解雇が無効と判断されるリスクが高いような場合は,解雇を撤回し,就労を命じる必要がある場合もあります。
 この場合,概ね,解雇日の翌日から解雇撤回後に就労を命じた初日の前日までの解雇期間に対する賃金の支払義務を負うことになります。 勤務態度が悪い社員,能力が著しく低い社員を退職勧奨したところ,解雇して欲しいと言われ,本当の理由を告げて解雇すると本人が傷つくからといった理由で,解雇理由を「事業の縮小その他やむを得ない事由」等による会社都合の解雇(整理解雇)とする事案が散見されます。
 このような事案で解雇の効力が争われた場合,整理解雇の有効要件を満たさない以上,ほぼ確実に会社側が負けることになります。
 解雇が避けられないような場合,ありのままの解雇理由を伝える必要があります。
 虚偽の解雇理由を伝えてはいけません。

 「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと。」(雇用保険法施行規則36条9号)は,「特定受給資格者」(雇用保険法23条1項)に該当するため(雇用保険法23条2項2号),退職勧奨による退職は会社都合の解雇等の場合と同様の扱いとなり,労働者が失業手当を受給する上で不利益を受けることにはなりません。
 つまり,失業手当の受給条件を良くするために解雇する必要はありません。
 退職届を出してしまうと,失業手当との関係で自己都合退職として扱われ,失業手当の受給条件が不利になると誤解されていることがありますので,丁寧に説明し,誤解を解く努力をするようにして下さい。

弁護士 藤田 進太郎

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試用期間中の本採用拒否(解雇)なのに,解雇は無効だと主張して,職場復帰を求めてくる。

2012-01-04 | 日記
Q14 試用期間中の本採用拒否(解雇)なのに,解雇は無効だと主張して,職場復帰を求めてくる。

 使用者と試用期間中の社員との間では,既に留保解約権の付いた労働契約が成立していると考えられる事案がほとんどです。
 本採用拒否の法的性質は,留保された解約権の行使であり,解雇の一種ということになるのが通常のため,解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用されることになります。
 採用の場面とは異なりますから,試用期間中だからといって,自由に本採用拒否(解雇)できるわけではありません。

 試用期間中の解雇は緩やかに認められるというイメージがありますが,それは,「当初知ることができず,また知ることが期待できないような事実」に基づく本採用拒否について言えることであって,採用当初から知り得た事実を理由とした場合は,緩やかな基準で解雇することはできません。
 例えば,本採用拒否(解雇)したところ,「本採用拒否の理由となるような事情がない。」といった趣旨の指摘がなされたことに対する反論として,「本採用拒否の理由となるような事情がないようなことを言っているが,そんなことはない。採用面接の時から,あいつがダメなやつだということは分かっていた。」というようなものは,通用しないことになります。

 試用期間満了前の本採用拒否(解雇)についてですが,使用者の立場からすれば,試用期間を設ける意味は,採用決定後も社員として雇用し続けるか否かの判断を留保し,試用期間満了時までに社員としての適格性を審査して,社員として相応しくないと判断した場合に本採用を拒否して雇用を打ち切ることにありますので,試用期間満了前であっても社員として不適格であると判断した場合は,早期に本採用拒否(解雇)して雇用を打ち切りたいところかもしれません。
 しかし,労働者からすれば,少なくとも試用期間中は雇用を継続してもらえると期待するのが通常であり,試用期間満了前の本採用拒否(解雇)が容易に認められてしまうと,このような労働者の期待が裏切られる結果となってしまいますから,採用後間もない時期の本採用拒否(解雇)等,試用期間満了までの期間が長期間残っている時点での本採用拒否(解雇)は,客観的合理性,社会的相当性を欠くものとして無効(労働契約法16条)と判断されるリスクが高いものと考えられます。
 仮に,使用者から,労働者に対し,試用期間満了前であっても本採用拒否(解雇)することがある旨明示し,労働者がそれに同意して採用されたような場合であれば,労働者がそのような期待を持つことはないとも思われますが,試用期間満了時まで本採用するかどうかの最終判断を留保していることに加え,試用期間満了前の本採用拒否(解雇)まで容易に認められてしまうと,使用者の「いいとこ取り」となり,労働者の立場があまりにも不安定となってしまいますから,やはり,試用期間満了までの期間が長期間残っている時点での本採用拒否(解雇)は,客観的合理性,社会的相当性を欠くものとして無効(労働契約法16条)と判断されるリスクが高いものと考えられます。
 試用期間満了前の本採用拒否(解雇)は慎重に考えるべきであり,試用期間満了時まで社員としての適格性を審査しても適格性がないという結論が出ることが明らかな場合に限り行うべきでしょう。

 解雇の予告(労基法20条)が不要なのは,就労開始から14日目までであり,14日を超えて就労した場合は,試用期間中であっても,解雇予告の手続が必要となります(労基法21条但書)。
 また,就労開始から14日目までなら自由に解雇できると思い込んでいる方もたまにいますが,完全な誤解であり,むしろ,勤務開始間もない時期の本採用拒否(解雇)は解雇権を濫用したものとして無効となる可能性が高いというのが実情ですから,注意が必要です。

 試用期間の残存期間が30日を切ってから本採用拒否(解雇)を通知する場合は,所定の解雇予告手当を支払う等する必要があります。
 試用期間満了ぎりぎりで本採用拒否(解雇)し,解雇予告手当も支払わないでいると,解雇の効力が生じるのはその30日後になってしまうため,試用期間中満了日の解雇(本採用拒否)ではなく,試用期間経過後の通常の解雇と評価されるリスクが生じることになります。

 訴訟で本採用拒否(解雇)の効力を争われた場合には,本採用拒否に客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されるといえるだけの「証拠」がそろっているかどうかが問題となります。
 抽象的に勤務態度が悪いとか,能力が低いとか言っていたところで,裁判官には伝わりません。
 具体的に,何月何日にどういうことがあったのか記録に残しておく必要があります。
 可能であれば,毎日,本人に反省点等を記載させて,指導担当者がコメントするような形式の記録をその都度作成しておくことが望ましいでしょう。
 本採用拒否が予想される場合は,原則として,本人が達成すべき合理的事項を事前に書面で明示し,本人に努力する機会を与えた上で,それが達成できなかった場合に行うべきと考えます。

 長期雇用を予定した新卒社員については,試用期間中であっても,能力不足を理由とした本採用拒否は難しいと考えておいた方がいいでしょう。
 中途採用者あっても,地位を特定されて採用されたわけではなく,一定の能力を有することを前提として採用されたわけでもない場合,賃金額がそれ程高くない場合,若年層の中途採用の場合等は,能力不足を理由とした本採用拒否は必ずしも容易ではありません。

 本採用拒否に十分な理由がある場合であっても,まずは話合いが先です。
 まずは自主退職を促すべきでしょう。

 採用活動も,試用期間における本採用拒否(解雇)は必ずしも容易ではないことを念頭に置いて行うべきでしょう。
 安易な採用をしてはいけません。
 「取りあえず採用してみて,ダメだったら辞めてもらう。」という発想の会社は,トラブルが多く,社員の定着率が低い傾向にあります。

弁護士 藤田 進太郎

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採用内定取消に応じない。

2012-01-04 | 日記
Q13 採用内定取消に応じない。

 原則として,採用内定により(始期付解約権留保付)労働契約が成立するため,採用内定取消の法的性質は解雇であり,解雇権濫用法理が適用されることになります。
 したがって,自由に採用内定取消を行うことはできず,採用内定を取り消すことができる場面は限定されます。
 基本的には,一方的に内定を取り消すのではなく,話し合いにより内定を辞退してもらうべきでしょう。
 十分な内定取消の理由がない場合は,補償金の支払いを約束するなどして,内定者の理解を得るよう最大限の努力をすべきことになります。
 内定取消はできるだけ早い時期に行った方が内定者のダメージが小さく,紛争になりにくい傾向にあります。
 内定取消が避けられない場合は,いつまでもずるずる決断を先延ばしにするのではなく,速やかに内定辞退についての話し合いに入り,内定者が就職活動を早期に再開できるよう配慮すべきでしょう。

 採用内定の取消事由は,採用内定当時知ることができず,また知ることが期待できないような事実であって,これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られます。
 採用内定当時知ることができた問題点については,採用を躊躇するようなものであれば採用内定は出さないようにする必要があります。
 取りあえず採用内定を出してみて,問題が改善されるかどうか様子を見るというやり方はできません。
 いったん採用内定を出したら,原則として定年まで雇用し続けなければならないという覚悟が必要だと思います。

 なお,企業が経営の悪化等を理由に留保解約権の行使(採用内定取消)をする場合には,いわゆる整理解雇の有効性の判断に関する①人員削減の必要性,②人員削減の手段として整理解雇することの必要性,③被解雇者選定の合理性,④手続の妥当性という四要素を総合考慮のうえ,解約留保権の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ,社会通念上相当と是認することができるかどうかを判断すべきとする裁判例があります。
 また,新規学卒者の採用内定を取り消す場合は,予め公共職業安定所長又は学校長等関係施設の長にその旨を通知する必要があります。
 一定の場合は,厚生労働大臣により企業名等が公表されることもあります。

弁護士 藤田 進太郎

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精神疾患を発症して欠勤を繰り返し,出社しても仕事がまともにできない。

2012-01-04 | 日記
Q12 精神疾患を発症して欠勤を繰り返し,出社しても仕事がまともにできない。

 精神疾患を発症して欠勤を繰り返す社員の対応としては,まずは専門医に受診させて,専門医の助言を求め,専門医の助言を参考にして,対応を検討することが重要です。
 本人が提出した主治医の診断書の内容に疑問があるような場合であっても,専門医の診断を軽視することはできませせん。
 主治医への面談(本人の同意が必要です。)を求めて診断内容の信用性をチェックしたり,精神疾患に関し専門的知識経験を有する産業医等への診断を求めたりして,病状を確認することになります。

 休職制度の運用は,公平・平等に行うことが重要です。
 勤続年数等により異なる扱いをする場合は,予め就業規則に規定しておく必要があります。
 休職命令の発令,休職期間の延長等に関し,同じような立場にある社員の扱いを異にした場合,紛争になりやすく,敗訴リスクも高まる傾向にあります。

 業務により精神障害が悪化することがないよう配慮する必要もあります。
 精神疾患を発症していることを知りながらそのまま勤務を継続させ,その結果,業務に起因して症状を悪化させた場合は,労災となり,会社が安全配慮義務違反を問われて損害賠償義務を負うことになりかねません。
 社員が精神疾患の罹患していることが分かったら,それに応じた対応が必要であり,本人が就労を希望していたとしても,漫然と放置してはいけません。

 所定労働時間内の通常業務であれば問題なく行える程度の症状である場合は,時間外労働や出張等,負担の重い業務を免除する等して対処すれば足りるでしょう。
 しかし,長期間にわたって所定労働時間の勤務さえできない場合は,原則として,休職制度がある場合は休職を検討し,休職制度がない場合は普通解雇を検討せざるを得ません。

 私傷病に関する休職制度は,普通解雇を猶予する趣旨の制度であり,必ずしも休職制度を設けて就業規則に規定しなければならないわけではありません。
 休職制度を設けずに,私傷病に罹患して働けなくなった社員はいったん退職扱いとし,私傷病が治癒したら再就職を認めるといった運用をすることもできます。

 精神障害を発症した社員が出社と欠勤を繰り返したような場合であっても休職させることができるように,例えば,「精神の疾患により,労務の提供が困難なとき。」等を休職事由として,一定期間の欠勤を休職の要件から外すか,一定期間の欠勤を休職の要件としつつ,「欠勤の中断期間が30日未満の場合は,前後の欠勤期間を通算し,連続しているものとみなす。」等の通算規定を置くかしておくべきでしょう。
 再度,長期間の欠勤がなければ,休職命令を出せないような規定を置くべきではありません。

 休職制度があるにもかかわらずいきなり解雇するのは,通常は解雇が無効と判断されるリスクが高いので,お勧めできません。
 解雇が有効と認められるのは,休職させても回復の見込みが客観的に乏しい場合に限られます。
 医学的根拠もなく,主観的に休職させても回復しないだろうと思い込み,精神疾患に罹患した社員を休職させずに解雇した場合,解雇が無効と判断されるリスクが高くなります。

 本人が休職を希望している場合は,休職申請書を提出させてから,休職命令を出すことになります。
 休職申請書を提出させることにより,休職命令の有効性が争われるリスクが低くなります。

 「合意」により休職させる場合は,休職期間(どれだけの期間が経過すれば退職扱いになるのか。)についても合意しておく必要があります。
 通常,就業規則に規定されている休職期間は,休職「命令」による休職に関する規定であり,合意休職に関する規定ではありません。
 原則どおり,本人から休職申請書を提出させた上で,休職「命令」を出すのが,簡明なのではないでしょうか。

 精神疾患が治癒しないまま休職期間満了が満了すると退職という重大な法的効果が発生することになりますので,休職命令発令時に,何年の何月何日までに精神疾患が治癒せず,労務提供ができなければ退職扱いとなるのか通知するとともに,休職期間満了前の時期にも,再度,休職期間満了日や精神疾患が治癒しないまま休職期間が満了すれば退職扱いとなる旨通知すべきでしょう。

 休職と復職を繰り返す社員に対する対策としては,復職後間もない時期(復職後6か月以内等)に休職した場合には,休職期間を通算する(休職期間を残存期間とする)等の規定を置くことが考えられます。
 そのような規定がない場合は,普通解雇を検討せざるを得ませんが,有効性が争われるリスクが高くなります。

 復職の可否は,
① 休職期間満了時までに
② 休職前の職務を通常どおりに行えるか否か
により判断されるのが原則ですが,例外的な事案もあり,判断が難しいことがあります。

 ①の例外ですが,休職期間満了時までに精神疾患が治癒せず,休職期間満了時には不完全な労務提供しかできなかったとしても,間もない時期に完全な労務提供ができる程度に精神疾患が改善する可能性がある場合は,休職期間満了により退職扱いとするか否かについて慎重な判断が必要となります。
 休職期間満了から間もない時期に精神疾患が治癒する蓋然性が高いような場合は,直ちに退職扱いとすることはできませんので,休職期間の延長等で対処することになります。

 ②の例外ですが,職種や業務内容を特定せずに労働契約が締結されている場合は,現に就業を命じた業務について労務の提供が十分にできないとしても,当該社員が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供ができ,かつ,本人がその労務の提供を申し出ているのであれば,債務の本旨に従った履行の提供があると評価される可能性があります。
 労務提供があると評価された場合,欠勤扱いにしたり,休職させたり,休職期間満了により退職扱いにしたり,解雇したりしたとしても,これらの扱いは無効となり,会社は賃金の支払義務を免れないことになります。

弁護士 藤田 進太郎

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平成24年

2012-01-04 | 日記
四谷麹町法律事務所は,今日が平成24年最初の営業日です。
今年もよろしくお願いします。

弁護士 藤田 進太郎

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