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弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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終業時刻を過ぎても退社しないままダラダラと会社に残っている社員に対する対応

2011-06-08 | 日記
Q60 終業時刻を過ぎても退社しないままダラダラと会社に残っている社員がいる場合,会社としてはどのような対応をすべきですか?

 残業するように指示していないのに,社員が終業時刻を過ぎても退社しないまま会社に残っているのが常態となっていて,それを上司が知っていながら放置していた場合に,当該社員から,黙示の残業命令があり,使用者の指揮命令下に置かれていたなどと退職後に主張されて,終業時刻後の在社時間について割増賃金の請求を受けることがあります。
 使用者としては,その時に帰りたいと言ってくれればすぐに退社させていた,今になって残業代の請求をしてくるのは不当だ,などと言いたくもなるかもしれませんが,残業してまでやらなくてもいいような仕事(所定労働時間内でやれば足りるような仕事)であったとしても,現実に仕事らしきものをダラダラとしていたような事案で労働時間性を否定するのは,なかなか難しいものがあります。
 使用者としては,終業時刻後も不必要に会社に残っている社員に対しては,速やかに退社するよう指示すべきでしょう。

弁護士 藤田 進太郎

労働時間性が問題となりやすい時間

2011-06-08 | 日記
Q59  労働時間性が問題となりやすいのは,どのような時間についてですか?

 私の個人的印象としては,
① 終業時刻後退社までの在社時間
② 出社後始業時刻までの時間(朝礼等の時間を含む。)
③ 休憩時間
④ 出社後作業現場までの移動時間や作業現場から会社に戻るまでの移動時間(会社から自動車で作業現場に向かう場合等。)
⑤ スキルアップのための研修・修業の時間
等の労働時間性について,労使の認識に齟齬が生じやすく,労働時間性が問題となりやすいという印象です。
 特に,「① 終業時刻後退社までの在社時間」については,要注意です。

弁護士 藤田 進太郎

労基法37条所定の割増賃金算定の基礎となる労基法32条の労働時間

2011-06-08 | 日記
Q58  労基法37条所定の割増賃金算定の基礎となる労基法32条の労働時間は,どの範囲の時間を指すのですか?

 労基法上の労働時間に該当するか否かは,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるかどうかにより客観的に定められ,当該労働を行うことを使用者から義務付けられ,またはこれを余儀なくされたときには,当該行為は特段の事情のない限り,使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ,当該行為に要した時間は,それが社会通念上必要と認められる限り,労基法上の労働時間に該当するものと考えられています(三菱重工業長崎造船所事件最高裁第一小法廷平成12年3月9日判決,労判778-11)。
 ただし,労働時間性について最高裁判例があるとはいえ,その判断基準が抽象的なため,割増賃金請求がなされた場合には,労使間で労働時間性についての認識に食い違いが生じることが多くなっています。

弁護士 藤田 進太郎