落ち穂拾い<キリスト教の説教と講釈>

刈り入れをする人たちの後について麦束の間で落ち穂を拾い集めさせてください。(ルツ記2章7節)

元旦礼拝説教

2004-12-29 10:36:08 | 説教
2005年 元旦礼拝 (2005.1.1) 
空の鳥  マタイ6:27
1. ノア物語において
酉年の元旦にちなみ、聖書における「鳥」を学びたいと思う。聖書を初めから読んでいって、まず最初に現れる印象的な鳥はノア物語におけるカラスと鳩である。神はノアに洪水を予告する。それは神が創造した世界に罪がはびこり、神は地の全面を水で洗い直し、世界と歴史とを新しく創り直そうと思われたからである。水は世界の全面をおおい、すべての生き物は死に絶え、やがて水が引き始めた。箱船の中のノアは外の様子を探るために、まずカラスを放つ。しかし、カラスは飛び立ったまま、ついに帰って来ない。カラスは帰るための余力を残さなかったため箱船に戻ることが出来なかったのである。結局、カラスは何の役にもたたず、ノアは次ぎに鳩を放つ。鳩はあちら、こちら飛び回るが、休むことができる場所が見つからず、箱船に戻ってきた。そこで、ノアはまだ水が地の全面を覆っていることを知る。次ぎに、7日間待って、もう一度鳩を放つ。鳩は夕方になって戻って来る。その口にはオリーブの若芽をくわえていた。さらに7日間待って、もう一度鳩を放ったところ、今度はもはやノアの元には戻って来なかった。
ノア物語に登場する鳩は、新しい世界とその希望の告知者である。生きるということ、それは神の許しにおいて可能であり、神の恵みの元にあって、わたしたちは生かされているのだということ、鳩はわたしたちにその事実を告げてくれる。
2. エリアのカラス
ノア物語において、あまり評判のよくないカラスも預言者エリアの物語では重要な役割を果たす。時の王様、アハブは異教の王妃イゼベルと結婚し、彼女の関心を買うためにバールの神殿を国内に築く。そのことは信仰深い人々には我慢ならないことであった。国内は乱れる。その時、神は預言者エリアをアハブ王の所に遣わし、今度は洪水ではなく、干ばつを予告する。国内は大変な飢饉で食べの物がほとんどなくなってしまう。アハブ王は自分の罪を反省するどころか、そのことを予告した、エリアを殺そうとする。まさに、逆切れである。神はエリアに人里離れた山の中、ヨルダン川の支流であるケリテ川のほとりに逃れるように告げる。そこにはまだ水が流れていた。しかし、食べ物は全くなかった。すると、朝ごとにカラスが現れ、パンと肉を運んだとのことである。これが「エリアのカラス」である。
ここでは、カラスは預言者エリアが生きることを助けてくれる存在であった。というより、神がエリアを生かす手伝いをしている。たった二つの例で断言はできないが、聖書の中の鳥は神がわたしたちを生かしてくださっていうということの印のようである。
主イエスは、山上の垂訓の中で、「見上げてごらん、空の鳥を。蒔かず、刈らず、蓄えもしない。でも、天の父は養っておられる」(マタイ6:26 私訳)と述べておられる。

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