2005年 復活節第2主日 (2005.4.3)
死と再生の物語 創世記8:6-16、9:8-16
1. 死と再生の物語
復活の物語は、単なる古代神話ではなく、荒唐無稽な人間の願望を語っているのでもない。それはまさに人間の根本的な在り方を語る「死と再生」の物語である。人間が人間であるという在り方には「死と再生」という構造が含まれている。人間は常に死につつ、また同時に再生しつつ存在し . . . 本文を読む
牝鶏のその雛を翼の下に集むるごとく。(マタイ伝23:37)
子どもたちは自分の母親は絶大な能力を持っていると思っている。この思いの根拠は母親は絶対に子どもを見放さない、という信念に基づいている。マスコミがどんなに子どもを放置したり、虐待する母親のニュースを報道しても、子どものこの信念は揺るがない。よその母親が全部そうだとしても、自分の母親はわたしを見捨てないと信じている。だから、母親の腕に抱かれて . . . 本文を読む
2005年 復活日 (2005.3.27)
紅海徒渉 出エジプト記14:10-15:21
1. イースター
教会にとって、また全てのキリスト者にとってイースターという日がどんなに大切か、また喜ばしい日であるか今更説明することもない。それはまさに、わたしたちの全存在を成り立たせているる出来事であり、主イエスのご復活なしには、わたしたちの信仰もなく、また教会も存在しない。
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2005年 受苦日 (2005.3.25、奈良基督教会)
踏み絵 ヨハネの手紙Ⅰ3:16
はじめに
はじめに聖書の言葉を読みます。ヨハネの手紙Ⅰ 3;16
イエスは、わたしたちのために、命を捨ててくださいました。そのことによって、わたしたちは愛を知りました。だから、わたしたちも兄弟のために命を捨てるべきです。
キリスト教の家庭に生 . . . 本文を読む
我らのたましいは捕鳥者(とりとり)の羅(わな)をのがるる鳥のごとくに逃れたり。羅(わな)は破れて我らは逃れたり。(詩編124:7)
捕鳥者の罠が破れた。普通はそんなことはあり得ない。鳥の力で罠が破けた訳でもない。捕鳥のプロの罠が破れるということは、常識ではあり得ない。奇跡である。奇跡が起こった。そのような感動がこの文章から響いてくる。とくに、命が助かったということよりも、わたしの魂が悪人の歯牙から . . . 本文を読む
2005年 復活前主日 (2005.3.20)
受難週 イザヤ書45:21-25
1. 聖週(受難週)について
今週は聖週とか受難週とか呼ばれる特別な週である。月曜日は聖月曜日であり、火曜日は聖火曜日と呼ばれる。特に金曜日は聖金曜日と呼ばれ、ご承知の通り主イエスが十字架上で処刑されたとする受苦日である。
この日の福音書は毎年のことであるが、非常に長い。特に今年はマタイの年であるから、一人の朗読 . . . 本文を読む
鳩のその窠(すみか)にとびかえるがごとくしてきたる者はたれぞ。(イザヤ書60:8)
鳩の帰巣本能については周知のことである。ただ、この本能も環境によってかなり影響を受けるらしい。要するに鳩舎に対する愛着心の程度によって帰巣時間や帰巣距離に差が出てくるとのこと。あまり居ごごちのよくない巣には帰りたがらないのは人間だけではないようだ。巣に帰っても餌がなければ、外で探すしかないのだろう。こ . . . 本文を読む
2005年 大斎節第5主日 (2005.3.13)
枯れた骨 エゼキエル書37:1-14
1. ドライボーンのイメージ
ここに描かれている「枯れた骨の谷」のイメージは、殺伐とした情景である。そのイメージは陰惨とか、残酷とかのイメージをはるかに超えて「生命」というイメージから最も遠く離れた情景である。この殺伐とした情景から見れば、「死」は生命と隣り合わせであるとさえ思う。ここに描かれている枯れた . . . 本文を読む
鳥の速やかに羅にいりて、その生命を喪うに至をしらざるがごとし。(箴言7:23)
経験しなければ分からないことが沢山ある。罠に罹ったら殺されるということを鳥自身は知らない。それを知った鳥は生死を分けるその重要な情報を仲間に伝えることができないからである。しかし、人間には自分だけが知り得た経験的情報を文書にして仲間や子孫に伝えることができる。問題は、それを受け取った者たちが信じるか、否かということであ . . . 本文を読む
2005年 大斎節第4主日 (2005.3.6)
何時まで サムエル記16:1-13
1. サウロ王への失望
イスラエルの最初の王、サウロは始めの間は神の祝福を受け、国民からも支持されていたが、即位後数年にして、他国の王たちと同様に、堕落し、権力を思うままに使うようになり、預言者サムエルとしばしば対立するようになる。本日のテキストはそういう状況のもとで預言者サムエルが新しい王となるべき人物を探 . . . 本文を読む