落ち穂拾い<キリスト教の説教と講釈>

刈り入れをする人たちの後について麦束の間で落ち穂を拾い集めさせてください。(ルツ記2章7節)

詩編第56編題目

2005-02-27 09:22:27 | パン屑
「遠きところにをる音をたてぬ鴿(はと)」のしらべ(詩編56編題目) 音楽の調子を表現するのにこういう言い方があるのは面白い。音をたてないのであるから「調べ」などない。これは一体どういう調べなのか。残念!わかりません。 いろいろな解釈は注解書をどうぞ。要するに「音なき声」に合わせて歌う、ということであろうか。 先日、手話による歌を「聞いた」。感動した。衣擦れの音、息づかい、形容しがたい雑音が、一つの . . . 本文を読む

イザヤ書38:14

2005-02-24 20:15:44 | パン屑
われは燕(つばくろ)のごとく鶴のごとくに哀(かなしみ)なき、鳩のごとくにうめき、わが眼は上を視ておとろう。(イザヤ書38:14) 天高く舞い上がるヒバリの声、春を知らせるホトトギスの鳴き声、楽しそうな小鳥のさえずり。鳥の発する声は明るく、楽しそうである。ところが、ここでは哀しみ、うめきの声として鳥の鳴き声を聞いている。残念ながら、燕と鶴の鳴き声を聞いたことがないので、どんなに悲しそうな泣き声をして . . . 本文を読む

大斎節第3主日

2005-02-24 19:56:38 | 説教
2005年 大斎節第3主日 (2005.2.27)  水の問題  出エジプト記17:1-7 1. 水問題  宗教における御利益の問題 イスラエルの民がエジプトから脱出して間もない頃、大勢の民衆を食べさせるための食料が問題になった。出エジプトをした当時のイスラエルの人口は出エジプト記12章37節によると成人の男だけで60万人と言われている。ということは、言葉どおりに数えると約200万人の人口というこ . . . 本文を読む

大斎節第2主日

2005-02-14 20:01:38 | 説教
2005年 大斎節第2主日 (2005.2.20)  父の家を離れ  創世記12:1-8 1. 信仰の出発点 本日のテキストには深い思い出がある。思い出というか、むしろ今日のわたしという人間の出発点がここにある。従って、他だ単に過去の「思い出」ではなく、現在もここに立って生きているという出発点である。高校生のころ、将来をいろいろ夢見ていた頃、わたしには「牧師という職業」が頭の中を駆け巡っていた。牧 . . . 本文を読む

イザヤ書31:5

2005-02-13 19:51:41 | パン屑
鳥の雛を守るがごとく萬軍の主はエルサレムを守り給わん。(イザヤ書31:5) 巣の中にいる雛が外的から狙われたときの、親鳥の行動は感動的である。相手が自分よりどれ程強そうでも、大きくても、勝てそうでなくても、親鳥は必死で、果敢に攻撃をする。そこには損得の計算などない。使命感さえない。ただ、それが当然であるというように、自然に立ち向かう。萬軍の主に勝てる相手はいない。だから、萬軍の主は必死にならなくて . . . 本文を読む

箴言30:17

2005-02-10 09:21:29 | パン屑
おのれの父を嘲り、母に従うことをいやしとする眼は、谷の鴉(からす)これを抜きいだし、鷲の雛(こ)これを食らわん。(箴言30:17) 「耳の穴から手突っ込んで奥歯ガタガタいわしたろか」とか、「てめえのどてっ腹に風穴あけたろか」とか、恐ろしい言葉がある。凡人はそんな恐ろしいこと言うたらあかん。でも、旧約聖書、とくに箴言には結構恐ろしい啖呵がある。「親をないがしろにし、侮辱する奴の面玉は山の鴉がえぐり出 . . . 本文を読む

大斎節第1主日

2005-02-10 09:10:21 | 説教
2005年 大斎節第1主日 (2005.2.13) 人間とは  創世記2:4b-9,15-17,25-3:7 1.  裸でいることに耐えられない存在 本日の旧約聖書のテキストは、素朴なストーリーの中に人間の本質が見事に描かれている。これこそ、聖書というもののすごさである。いかなる哲学よりも、いかなる神話よりもより根本的に人間の本質を抉り出す。この物語の前で、わたしはこれに当てはまらないと言える人間 . . . 本文を読む