落ち穂拾い<キリスト教の説教と講釈>

刈り入れをする人たちの後について麦束の間で落ち穂を拾い集めさせてください。(ルツ記2章7節)

雅歌2:12

2005-01-10 18:06:55 | パン屑
花は地に咲きいで、小鳥の歌う時が来た。この里にも山鳩の声が聞こえる。(雅歌2:12)
今年は酉年ということで、この言葉を年賀状に書いた。この言葉を繰り返し読んでいると、五七五の文体ではないが、俳句と似ていると思う。素直な情景描写の中に、作者の心の脈動を感じる。人間たちの愚かな喧噪に妨げられて、見えなくなっていた花や聞こえなくなっていた鳥のさえずり、ここまでは抽象の世界である。しかし、「時すでに至り」という言葉で一挙の心の平静さを取り戻し、「この里」、「山鳩」という具体において、希望が見えてくる。「この里にも」という言葉の「にも」に様々な思いを想像する。そこは「戦場」なのか、自然災害の「現場」なのか。けっしてそこはのどかな里ではない。園庭の栴檀の木に沢山の野鳩が飛来し、栴檀の実を食べている。栴檀の実は彼らにとって最後の食料のような気がする。春はもうすぐそこに来ている。

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